視覚科学技術コンソーシアム(VSAT) 第1回 オープンイベント
東洋インキ製造株式会社 本社9階会議室
2009年3月6日(金)14:10-15:40

視の思議つい

錯視のいろいろな種類~多彩な色の錯視群と運動視の錯視について紹介・考察

北 岡  明 佳 立命館大学文学部心理学専攻 since March 2, 2009


錯視(visual illusion)とは、視覚性の錯覚のことである。


いて

カタログ(配布)


オオウチ錯視(蘆田最適化版)

内側の領域が動いて見える。

References

Ouchi, H. (1977) Japanese optical and geometrical art. Mineola, NY: Dover.

Spillmann, L., Heitger, F. and Schuller, S. (1986) Apparent displacement and phase unlocking in checkerboard patterns. Paper presented at the 9th European Conference on Visual Perception, Bad Nauheim


Ashida, H. (2002) Spatial frequency tuning of the Ouchi illusion and its dependence on stimulus size. Vision Research, 42, 1413-1420.


「踊るハート達」

ハートが動いて見える。めがねをかけている人は、めがねを動かすとよく見えるかもしれない。離れたところから見ると、明るくなった時のハートは白のランダムドットより手前に見え、暗くなった時のハートは奥に見える人が過半数と予想される。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (December 20)

文献

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035.

Kitaoka, A, Kuriki, I. and Ashida, H. (2006) The center-of-gravity model of chromostereopsis. Ritsumeikan Journal of Human Sciences, 11, 59-64. PDF



モノクロでOK


配布物
「踊るハート達」 (MS-Word ファイル)
北岡明佳 (2006) 色が強くなる錯視 A・F・Tジャーナル, 31 (Summer), pp. 01.


踊るハート錯視
(fluttering-heart illusion)

(Helmholtz, 1867; Nguyen-Tri and Faubert 2003; von Grünau 1975a, 1975b, 1976; von Kries 1896)

 中山(2008)によると、踊るハートは赤が重要。青不要。ピンクはダメ。

中山明子 (2008) 「踊るハート」錯視(1844)と「踊るハート達」錯視(2006)の比較検証 2008年度立命館大学文学部(人文学科心理学専攻)卒業論文

「蛇の回転」

蛇の円盤が勝手に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2003 (September 2, 2003)

(配布物)



質問紙(調査票)

 


 立命館大学衣笠キャンパス・以学館5号教室において、付属校である(北海道の)立命館大学慶祥中学校1年生のご一行様に、北岡は「立命館で錯覚を研究する」というタイトルで大学模擬講義(講演のこと)をした(2008年3月5日(水))が、その時の生徒さん(および引率の先生)に協力して頂いて、「『蛇の回転』の錯視は若いほどよく見える」という仮説を調べるために、「蛇の回転」錯視がどの程度見えるかを調査した。図はA4版の用紙に印刷したものを配布した(キヤノン・普通紙・両面厚口に、FUJI XEROX DocuPrint C3540に対して最適化したバージョンを印刷)。

 これまでの図示の様式に従うと、結果は下図の通りであった。183名のご協力を頂いた。この調査では、中学1年生向けの模擬講義のため、年齢は12歳と13歳に集中した。成人6人は引率の先生あるいはコーディネート担当の事務職員と考えられる。「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は、 r = .00 で、「蛇の回転」錯視の強さと年齢との間には、今回の調査では相関はなかった。年齢層が偏っていたので、当然の結果とも言える。


評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。



 評定値の割合を示したのが下図である。成人のデータをはずし、中学1年生のデータのみの度数分布図である。大学生や高校生だけで調べたデータと比較すると、大体同じ傾向である。すなわち、4分の3程度が「よく動いて見え」、少数ながら「動いて見えない」人がいた。今回の標本の大きさは177と大きいことと、生徒さんが大変協力的であったことを考えると、このデータの信頼性は高いと考えられる。すなわち、若い人でもこの錯視が起きない人が少数いることがわかっていたが、その割合は2%程度(50人に1人)であることが、強く示唆された。

 一方、過去のデータでは、60歳以上の高齢者では20%程度(5人に1人)であった。だからと言って、この錯視の見えと老化の間には関係があるとは言えない。現時点で言えることは、この錯視が見えない人は若年層から一定の割合で存在し、年齢が上がるとともにその割合は増加するが、高齢者でもこの錯視が見えない人は少数派のままにとどまる、という性質があるということである。また、この錯視が見えない人から、何らかの問題が報告されたことはないという事実も強調しておく必要がある。これに関連して、いわゆる色覚異常の方でこの錯視が見えない方が、色覚異常とこの錯視に何らかの関連性があるのではないかと示唆して下さったことがあったが、それはこの錯視が見えない人が年齢とともに増加することとは矛盾する(色覚異常は生得的な特性と考えられるので)。


評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。


この錯視が見えなかった方へ。個人差ですので、心配しないで下さい。錯視が見えた方がたぶん面白いのですが、仕方ないです。私にも、言われている通りに見えない錯視があります。どうぞ、他の見える錯視を楽しんで下さい。


 今回のデータに、全回のデータ(東京大学医学部の皆様)、全々回のデータ(静岡科学館る・く・るの来場者の皆様)、前々々回のデータ(「非線形数理東京フォーラム」の来場者の皆様)、前々々々回のデータ(立命館大学の情報処理心理学 I の受講生の皆様)、前々々々々回のデータ(仙台育英高校の皆様)、前々々々々々回のデータ(尼崎の高齢者の皆様)、前々々々々々々回のデータ(難波市民センターの皆様)、前々々々々々々々回のデータ(放送大学面接講義の皆様)を込みにすると、下図のようになった。若い人のデータで「よく動いて見える」と回答した人が多かったのと、高齢者に「動いて見えない」という回答が少なくなかったことから、「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は r = -.40 と絶対値がやや大きく、この相関は統計学的に有意(p < .01)であった。「若いとみんな見えて、トシを取ると見えなくなる」という関係にあるわけではないが、サンプル数が十分あると無視できない強さで逆相関が現れる(しかも、その年齢に関係した性質の強弱は生活の質にはまったく影響がない)。何を意味しているんだか・・・ 少なくとも、通常想定される老化(調節力低下や白内障など)とは関係がない。

 立命館慶祥中学校1年生の皆様、ご協力ありがとうございました。また、『蛇の回転』の錯視が見えないと報告してくれた4名の皆様、模擬講義では肩身の狭い思いをさせて申し訳なかったですが、ありがとうございました。貴重なデータとなります。4名の皆様はこの錯視が見えなくておもしろくないとは思いますが、練習によって見えるようになることは多分ありませんし(輝度の高いディスプレーで見ると見えることがあるらしいですが)、この錯視が見えないことで何か不都合があるわけではありませんので、これからはどうぞ別の見える錯視を楽しんで下さい。 <2008年3月6日>


これなら見える?
(すべて正方形か長方形でできているが、カープが感じられる) 


「赤い蛇の回転の詰め合わせ」

リングがゆっくり、あるいは急速に回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (March 19)


「ぶどうの回転」

ぶどうのリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 12)



「左右に動く蛇」

蛇が左右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 12)


「豆の回転」

豆のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 12)


(北岡による勝手な)
最適化型フレーザーウィルコックス錯視の最新の分類

Type Basic illusion that
motion direction is
from dark to light
Basic illusion that
motion direction is
from light to dark
Examples
(click the thumbnail)
I







IIa







IIb







III







IV
new!








(VSS DemoNight 2007)


参考 北岡明佳著 「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」



拙著、錯視本「トリック・アイズ メカニズム」もご参考に!


1. Fraser and Wilcox (1979)

Fraser, A. and Wilcox, K. J. (1979) Perception of illusory movement. Nature, 281, 565-566.


2. Faubert and Herbert (1999)

Faubert, J. and Herbert, A. M. (1999) The peripheral drift illusion: A motion illusion in the visual periphery. Perception, 28, 617-621.


3. Naor-Raz and Sekuler (2000)

Naor-Raz, G. and Sekuler, R. (2000) Perceptual dimorphism in visual motion from stationary patterns. Perception, 29, 325-335.


4. Kitaoka and Ashida (2003)

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2003) Phenomenal characteristics of the peripheral drift illusion. VISION (Journal of the Vision Society of Japan), 15, 261-262


5. Following papers or articles

Kuriki, I., Ashida, H., Murakami, I. and Kitaoka, A. (forthcoming) Functional brain imaging of the Rotating Snakes illusion by fMRI. Journal of Vision, in press new!

Hisakata, R. and Murakami, I. (2008) The effects of eccentricity and retinal illuminance on the illusory motion seen in a stationary luminance gradient. Vision Research, 49, 1940-1948.

Chi, M-T., Lee, T-Y., Qu, Y., and Wong, T-T. (2008) Self-Animating Images: Illusory Motion Using Repeated Asymmetric Patterns. ACM Transaction on Graphics (Proceedings of SIGGRAPH 2008), 27, No.3. SIGGRAPH2008 --- Authors' page --- PDF (SIGGRAPH)

Scientific American Reports Special Edition on Perception (2008).

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035. PDF request to Akiyoshi Kitaoka

Newton Press (Ed.), A. Kitaoka (Supervisor) (2007) Newton magazine book: Special issue "How is the brain deceived? Perfect demonstration of visual illusions" Tokyo: Newton Press (in Japanese; published in October 2007). 

Ramachandran, V. S. and Rogers-Ramachandran, D. (2007) A Moving Experience: How the eyes can see movement where it does not exist. Scientific American Mind, February/March, 14-16.

Kitaoka, A. (2007) Phenomenal classification of the “optimized” Fraser-Wilcox illusion and the effect of color. Poster presentation in DemoNight, VSS2007, GWiz, Sarasota, Florida, USA, May 14, 2007.

Murakami, I., Kitaoka, A. and Ashida, H. (2006) A positive correlation between fixation instability and the strength of illusory motion in a static display. Vision Research, 46, 2421-2431. PDF request should be sent to Dr. Murakami

Kitaoka, A. (2006) Anomalous motion illusion and stereopsis. Journal of Three Dimensional Images (Japan), 20, 9-14. PDF (manuscript but the same as the printed one)

Kanazawa, S., Kitaoka, A. and Yamaguchi, M. K. (2006) Infants see the “Rotating Snake” illusion. Dorsal and ventral streams in the visual system (Talk): Monday, 21 August 2006; 12:00-12:30 (29th European Conference on Visual Perception, St-Petersburg, Russia, 20th-25th August, 2006) Abstract

Kitaoka, A., Ashida, H., and Murakami, I. (2005) Does the peripheral drift illusion generate illusory motion in depth? Journal of Three Dimensional Images (Tokyo), 19, 6-8. PDF (scanned copy) (poor quality) --- MS-Word file (manuscript, the same as the paper) (high quality)

Conway, R. B., Kitaoka, A., Yazdanbakhsh, A., Pack, C. C., and Livingstone, M. S. (2005) Neural basis for a powerful static motion illusion. Journal of Neuroscience, 25, 5651-5656. PDF request should be sent to Dr. Conway

Backus, B. T. and Oruç, I. (2005) Illusory motion from change over time in the response to contrast and luminance. Journal of Vision, 5, 1055-1069. http://journalofvision.org/5/11/10/


"Dark to light" (in gradation) might be stronger.


"Light to dark" might be stronger.


"Dark to light"


"Light to dark"


"Dark to light" and "light to dark" in cooperation


I propose an empirical observation that color might enhance the illusion in some conditions.


Observation 1. The illusion from dark to light is enhanced by red or blue.


Observation 2. The illusion from light to dark is enhanced by yellow or green.


Observation 3. The illusion from dark to light is enhanced by red or blue, while the illusion from light to dark is enhanced by yellow or green. Both illusions work additively.



「作者サイン入り蛇の回転」

ディスクが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (January 13)


この作品の高解像度ファイル(6724 x 4853, 53MB)(改変不可)

「蛇の回転」の高解像度ファイル → (9900 x 7425, 33MB)




「赤いだけの蛇の回転」

ディスクが一応回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 19)



「蛇の回転・エコ」

ディスクが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 19)


謎の赤と紫特有の錯視

「後藤」

(後藤は漫画のキャラクター名です。 文献

図が回転・拡大して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (January 16)

cf. Wezit




「ボケの拡大」

花が拡大して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 20)



「オニシバリの実の回転」

オニシバリの実のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 19)



「赤い円盤の回転」

赤い円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 18)

配布したものはこちら →



錯視 (本日のメニュー)
 1. 色の対比
 2. 色の同化
 3. 彩度対比
 4. ムンカー錯視
 5. 色の土牢錯視
 6. 遠隔色対比・遠隔色同化
 7. 「第3の」強力な色相の錯視
 8. 色のフィリング・イン
 9. 図地分離による色の錯視
10. 色収差による錯視
11. 主観色
12. 色の残像

 1. 色の対比 (Color contrast)

色の対比

ある領域が別の色の領域で囲まれると、そこに囲んだ色の反対色が誘導される現象。灰色領域が青で囲まれると黄が誘導され(左図)、同じ灰色領域が黄で囲まれると青が誘導される(右図)。


「強化型色対比」

正方形の色は a = d と b = c のように見えるが、物理的な色は b = d である。

by Akiyoshi Kitaoka 2005 (May 27)

ただの色対比にあらず。上下の正方形を取ると、錯視量が減る(下図)。

Piersの論文1)に刺激されて作成。

1) Howe, P. D. L. (2005) White's effect: Removing the junctions but preserving the strength of the illusion. Perception, 34, 557 - 564.

もし先行研究で同じものがあるのを発見されましたら、ご一報下さい。直ちに修正します。 北岡にメールする


栗木一郎先生のデモ  元のページ(NTT CS基礎研究所)  そのコピー(アクセスできない場合に使用) 


最初に作った作品「ドラゴン」・・・錯視量が少ない↓

左の大きい正方形の中心の小さい正方形は緑色に見えるが、下の列の左の黒(r = 50, g = 50, b = 50)と同じである。一方、右の大きい正方形の中心の小さい正方形は紫色に見えるが、下の列の右の灰色(r = 80, g = 80, b = 80)と同じである。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (October 13)


「緑のタヌキ」と「ピンクの正方形」・・・色の恒常性の一種?色の対比の一種?

中央の灰色が緑に見える。こういう深い緑はモニターでは出せないはずだったのだが・・・

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (October 14)

中心の小さい正方形はピンクに見えるが、実際には灰色(のグラデーション)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (October 14)


キルシュマンの法則(色の対比の法則)
(1)誘導領域(取り囲む領域)と比較してテスト領域(ターゲット領域)が小さければ小さいほど、色の対比は大きい。

(2)色の対比は2つの領域が離れていても起こる。しかし、離れれば離れるほど対比の効果は減少する。

(3)色の対比の量は誘導領域の面積によって異なる。

(4)色の対比は、明るさの対比がないか少ないところで最大となる。 (第3法則と呼ばれる)

(5)明るさが同じならば、色の対比は誘導する色の飽和度(彩度)に影響される。


Graham, C. H. and Brown, J. L. (1965) Color contrast and color appearance: Brightness constancy and color constancy. In C. H. Graham (Ed.), Vision and visual perception, New York: John Wiley & Sons (pp 452-478). (In this paper, the third and fourth laws are exchanged)

Kirschmann, A. (1891) Über die quantitativen Verhältnisse des stimultanen Helligkeits- und Farben-Contrastes. Phil. Stud., 6, 417-491.

Yund, E. W. and Armington, J. C. (1975) Color and brightness contrast effects as a function of spatial variables. Vision Research, 15, 917-929.

第3法則には否定的見解が出ている。
Kinney, J. A. S. (1962) Factors affecting induced colors. Vision Research, 2, 503-525.
Oyama, T. and Hsia, Y. (1966) Compensatory hue shift in simultaneous color contrast as a function of separation between inducing and test fields. Journal of Experimental Psychology, 71, 405-413.
しかし、

「入学式」

灰色で描いたサクラの花びらに、色が付いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 2)

図にカーソルを載せると、花びらは灰色であることがわかる。


「急速色対比」

シアン色(水色)の正方形内の円が赤味を帯びて見えるが、それは右の円の輝度と同じ灰色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)

「遅延色対比」

しばらく眺めていると、マゼンタ色の正方形内の円が緑味がかって見えてくるが、それは右の円の輝度と同じ灰色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)






「遅延色対比 2」

しばらく眺めていると、物理的には灰色の円が緑味がかって見えてくる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)


「青い錯視環」

この画像は彩度と明度の異なる赤だけで描かれているが、青い環が描かれているように見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 26)

色の対比? 色の恒常性? ヘルソン・ジャッド効果? ランドの二色法? ゲーテの色影現象?


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


 2. 色の同化 (Color assimilation)

色の同化
(視覚の実験的研究でよく出てくるタイプ)

ある領域に、色の付いた細い線が乗ると、その色味が誘導されて見える現象。赤い領域に青線を乗せると赤紫に見え(左図)、同じ赤の領域に黄線を乗せるとオレンジ色に見える(右図)。


色の同化
(デザインの教科書等によく見かけるタイプ)

等間隔で細い縞模様を描くと、隣合った色相が誘導される。左の赤は青みがかって見え、右の赤は黄みがかかって見える。


「顔色がよくなる錯視」

顔色がよくなった。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 10)


 3. 彩度対比 (Saturation contrast?)

彩度対比

彩度(色の鮮やかさ)の高い色に囲まれた領域の彩度は低く見え(左図)、彩度の低い色の囲まれた領域の彩度は高く見える(右図)。


「絆創膏」

絆創膏(バンドエイドあるいはカットバン)の真ん中の正方形は左右とも同じ色であるが、左の方が鮮やかに見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 6)


彩度対比はヘルソン・ジャッド効果(Helson-Judd effect)と関係あり?

Helson, H. (1938) Fundamental problems in color vision. I. The principle governing changes in hue, saturation, and lightness of non-selective samples in chromatic illumination. Journal of Experimental Psychology, 23, 439-476.



左上5列の「灰色」と右下5列の「赤」は物理的には同じであり、右上5列の「灰色」と左下5列の「緑」は物理的には同じである。


左上5列の「灰色」と右下5列の「青」は物理的には同じであり、右上5列の「灰色」と左下5列の「黄」は物理的には同じである。

酒井香澄(「Landの二色法による色再現とBelseyの仮説検証」立命館大学文学部哲学科心理学専攻2002年度卒業論文)の発見をベースにしている。


「あじさい」

斜めに並んだ3個同士は同じ色であるが、右の方が赤味が多く見える。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 26)


 4. ムンカー錯視 (Munker illusion)

ムンカー錯視

黄と青の縞の青部分に赤を乗せるとオレンジ色に見え、黄部分に赤を乗せると赤紫がかって見える。緑を乗せるとそれぞれ黄緑と青緑に見える。高空間周波数図形で錯視量が多い。

Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. München: Habilitationsschrift.

ムンカー錯視のページ


cf. ホワイト効果

White, M. (1979) A new effect on perceived lightness. Perception, 8, 413-416.


ムンカー錯視を用いた作品「赤の渦巻き」↓

赤紫がかった赤い螺旋とオレンジ色がっかった赤い螺旋があるように見えるが、どちらも同じ赤である。

Copyright A.Kitaoka 2002
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)


ムンカー錯視を用いた作品「緑の渦巻き」↓

黄緑の螺旋と青緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ緑である。

Copyright A.Kitaoka 2002
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)


ムンカー錯視を用いた作品「水色と黄緑の渦巻き」↓

水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。この色の錯視はモニエ・シェベル錯視に近いと思うが、彼らの理論には合わないのかもしれない。

Copyright A.Kitaoka 2003


ムンカー錯視を用いた作品「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」・・・被誘導領域は2つの誘導領域の明るさの中間になくてもよい↓

「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」

渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)


「青と黄の渦巻き・昼と夜」

左の青と黄の渦巻きは鮮やかに見えるが、右のはダルに(鮮やかさが少なく)見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 8)


「武田信玄」

薄い黄色と濃い青色の渦巻きがあるように見えるが、左半分は白(R=255, G=255, B=255)と黒(R=0, G=0, B=0)であるのに対し、右半分は黄(R=255, G=255, B=0)と青(R=0, G=0, B=255)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)

「風林火山」

「武田信玄」の白黒黄青と同じであるが、この図では違いがはっきりわかる。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


「小家族」

左の鳩も右の鳩も同じ色なのだが、左の方は黄味がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


 5. 色の土牢錯視 (Chromatic dungeon illusion)

「犬」

赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン  別バージョン2

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)

土牢錯視(dungeon illusion)(Bressan, 2001)とは?

左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


色の土牢錯視とは?

左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。

引用文献は調査中(ないかもしれない)

色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。

次の犬年は11年後か・・・


「バレンタインデー・錯視ギフトセット」

ピンクのハートとオレンジのハートは実際には同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 12)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「水色と黄緑色のハートの絨毯」

水色のハートと黄緑色のハートがあるように見えるが、どちらも同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「水色と黄緑色のハートの絨毯(部分)」

水色のハートと黄緑色のハートがあるように見えるが、どちらも同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「黄色のハートと青のハート」

この図には青紫と橙と灰色しか使っていないのに、黄色のハートと青のハートが見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 12)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「黄と白のハート」

黄色のハートと白のハートがあるように見えるが、物理的には同じ黄色である。*

*物理的には黄色、という表現は、厳密に言えば心理学的ではないなあ・・・

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「おひなさまぎらぎらハート」

実際にはハートは青緑色(R=0, G=255, B=150)なのだが、水色がかって見えるか、黄緑色がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 3)



「肌色錯視」

左のお肌は赤っぽく、右のお肌は黄色っぽく見える。ドット色錯視を適用。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 3)

ドット色錯視・・・左右の赤い領域は同じ色であるが、左はオレンジに、右はマゼンタに見える。

ドット色錯視は、ホワイトのドット明るさ錯視の色バージョンである。

ホワイトのドット明るさ錯視・・・灰色の正方形は同じ明るさであるが、左は右よりも明るく見える。

White, M. (1982) The assimilation-enhancing effect of a dotted surround upon a dotted test region. Perception, 11, 103-106.





オマケ

ランダムドット色錯視・・・左右の赤い領域は同じ色であるが、左はオレンジに、右はマゼンタに見える。

cf. Anstis, S. M. (2005) White's Effect in color, luminance and motion. In Harris, L. and Jenkin, M. (Eds), Seeing Spatial Form. Oxford: Oxford University Press.


 6. 遠隔色対比・遠隔色同化 (Remote color conrtrast and assimilation)

遠隔色対比

赤い線がある程度青い線より離れたところに置かれると、青の補色の黄色味がかって見える。黄色の線の間に置かれると黄の補色の青味がかって見える。

北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(6)・色彩知覚の知られざる不安定性 日経サイエンス, 31(7), 128-129.



キルシュマンの法則(色の対比の法則)
(1)誘導領域(取り囲む領域)と比較してテスト領域(ターゲット領域)が小さければ小さいほど、色の対比は大きい。

(2)色の対比は2つの領域が離れていても起こる。しかし、離れれば離れるほど対比の効果は減少する。

(3)色の対比の量は誘導領域の面積によって異なる。

(4)色の対比は、明るさの対比がないか少ないところで最大となる。 (第3法則と呼ばれる)

(5)明るさが同じならば、色の対比は誘導する色の飽和度(彩度)に影響される。


Graham, C. H. and Brown, J. L. (1965) Color contrast and color appearance: Brightness constancy and color constancy. In C. H. Graham (Ed.), Vision and visual perception, New York: John Wiley & Sons (pp 452-478). (In this paper, the third and fourth laws are exchanged)

Kirschmann, A. (1891) Über die quantitativen Verhältnisse des stimultanen Helligkeits- und Farben-Contrastes. Phil. Stud., 6, 417-491.

Yund, E. W. and Armington, J. C. (1975) Color and brightness contrast effects as a function of spatial variables. Vision Research, 15, 917-929.


作品「色の分裂」・・・遠隔色対比の誘導図形は線でなくてもよい。↓

青色の正方形のまわりの赤はオレンジ色に見え、黄色の正方形のまわりの赤はマゼンタ色に見えるが、同じ赤である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (May 27)


遠隔色同化

赤い線がある程度青い線より離れてはいるが近くに置かれると、青味がかって見える。黄色の線に近づくと、黄味がかって見える。

北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(6)・色彩知覚の知られざる不安定性 日経サイエンス, 31(7), 128-129.


遠隔色対比と遠隔色同化を用いた作品「赤いメガネ」↓

左右のメガネの赤は同じであるが、違った色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (April 18)


遠隔色対比と遠隔色同化を用いた作品「花屋さん」↓

同じ赤がオレンジ色やマゼンタ色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2002
in Trick Eyes, 2002


 7. 「第3の」強力な色相の錯視

遠隔色対比と「色の逆同化」の組み合わせによる色の錯視表現


基本図形

cf. ムンカー錯視と色の土牢錯視


「色の逆同化」

左の赤はやや青みかがって見え、右の赤はやや黄みががって見える。


「論語式色の逆同化」

左右の文字は同じ色であるが、左は水色、右は黄緑色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (July 7)


「4枚カード問題」

カードの内側のグリッドが水色と黄緑に見えるが、同じ色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (July 7)


「ぐるぐる 7」

それぞれの同心円の内側の4つのリングは同じ色であるが、違う色に囲まれると異なって見える。画面から離れてみた方が効果が大きい。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 15)

「ぐるぐる」という絵本がある。

  鈴木亜弥(絵)・安井智草(文) 「ぐるぐる」 新風舎 ISBN4-7974-5595-0 (定価1000円 + 税)


「ぐるぐる 6」

それぞれの同心円の内側の4つのリングは同じ色であるが、違う色に囲まれると異なって見える。画面から離れてみた方が効果が大きい。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 15)


「ぐるぐる 3」

それぞれの同心円の内側の4つのリングは同じ色であるが、違う色に囲まれると異なって見える。画面から離れてみた方が効果が大きい。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 15)


 8. 色の補完

ネオン色拡散

色の十字の周りがパッチ状に同色に色づいて見える。

Varin, D. (1971) Fenomeni di contrasto e diffusione cromatica nell'organizzazione spaziale del campo percettivo. Rivista di Psicologia, 65, 101-128.

Van Tuijl, H. F. J. M. (1975). A new visual illusion: Neonlike color spreading and complementary color induction between subjective contours. Acta Psychologica, 39, 441-445.

Redies, C. and Spillmann, L. (1981). The neon color effect in the Ehrenstein illusion. Perception, 10, 667-681.


水彩錯視

回廊部分がうすく緑に色づいて見える。

Pinna, B., Brelstaff, G., and Spillmann, L. (2001) Surface color from boundaries: a new ‘watercolor’ illusion. Vision Research, 41, 2669-2676.



下図は水彩錯視いろいろ


波線色錯視

オレンジ色の波線の背景の白がオレンジ色がかって見える。

produced by Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 19)

Sohmiya, S. (2007) A wave-line colour illusion. Perception, 36, 1396-1398.


「ネオン色拡散による針差し格子錯視」1)

一様な白い背景上を縦横に水色の線が走って見える。「クモの巣の糸」(Spinnwebfäden)2)あるいは「色の筋」(colored street)3)と呼ばれたものと同じと考えられる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

1) 北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(7):工学的にはとらえきれない幻の光知覚 日経サイエンス, 31(8), 66-68.

2) Prandtl, A. (1927). Über gleichsinnege Induktion und die Lichtverteilung in gitterartigen Mustern. Zeitschrift für Sinnesphysiologie, 58, 263-307.

3) Redies, C., Spillmann, L. and Kunz, K. (1984). Colored neon flanks and line gap enhancement. Vision Research, 24, 1301-1309.


「色光線錯視2」1)

一様な白い背景上を黄色の線が斜めに走って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

1) 北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(7):工学的にはとらえきれない幻の光知覚 日経サイエンス, 31(8), 66-68.


「色光線錯視3」1)

一様な白い背景上を緑色の線が斜めに走って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

1) 北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(7):工学的にはとらえきれない幻の光知覚 日経サイエンス, 31(8), 66-68.


「黄ばみ錯視」

格子の中央部分が黄ばんで見える。しかし、これらの図には黄色は使っていないし、輝度条件から考えるとネオン色拡散が起こる位置が逆である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (September 18)

cf.

Van Tuijl, H. F. J. M. (1975). A new visual illusion: Neonlike color spreading and complementary color induction between subjective contours. Acta Psychologica, 39, 441-445.

Sohmiya, S. (2005) Explanation for neon color effect in achromatic line segments on chromatic inducers based on the multiple interprertation hypothesis. Perceptual and Motor Skills, 101, 267-282.


以下、類似図形。


「黄ばみ研究C」

同心円の内部がドーナツ状に黄ばんで見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (September 27)

「黄ばみ研究B」

同心円の内部がドーナツ状に黄ばんで見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (September 27)

「黄ばみ研究A」

同心円の内部がドーナツ状に基盤ではなくて黄ばんで見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (September 27)

「黄ばみ研究S」

同心円の内部がドーナツ状に黄ばんで見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (September 27)


「謎の水彩錯視」

回廊部分が薄い黄色に色づいて見える。しかし、これらの図には黄色は使っていないし、輝度条件から考えると水彩効果が起こる位置が逆である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (June 23)

水彩効果(watercolor effect)あるいは水彩錯視(watercolor illusion):

Pinna, B., Brelstaff, G., and Spillmann, L. (2001) Surface color from boundaries: a new ‘watercolor’ illusion. Vision Research, 41, 2669-2676.


 9. 図地分離による色の錯視

A と D、B と C が同じ感じに見えるが、物理的には C と D が同じである。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (August 12)


「馬」

黄色の馬と赤色の馬が描かれているように見えるが、物理的にはどちらも同じ色の馬である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (August 18)

(CorelDRAW 9 のクリップアートを使用)


「月とブラックホール」

円内は上下とも同じパターンであるが、上は月に見え、下はブラックホールに見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (August 25)


「サーチライト」

黄色のサーチライトが当たっているように見える。各縦列の円の中の色グラデーションは同じであるが、上2つは黄色の円に見え、下2つは青の円に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (December 7)


「満月と夕日」

円内は左右で同じパターンであるが、左は満月に見え、右は夕日に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (August 21)


Color phantoms


 10. 色収差による錯視 (Chromatic abberation-dependent illusion)

色立体視(進出色・後退色) (chromostereopsis)

赤が青より手前に見える人が過半数を占めるが、青が赤よりも手前に見える人も20%程度いる。


「青い穴」

青い穴が開いているように見える。離れて見ると効果的。孔の周囲のドットが赤紫に見えるが、その外側の赤と同じ色である。

Copyright Akitaoka Kitaoka 2007 (March 9)


「カマボコ」

赤い部分がカマボコ形の頂点に見える、という見え方をする人が多いと推定される。

Copyright A.Kitaoka 2003


色収差による色ずれの作品「色収差錯視チェッカーボード」・・・めがねの人専用↓

「色収差錯視チェッカーボード」

近眼で眼鏡をかけている人は、顔を右に向けて目は左でこの図を見ると、上半分のそれぞれの正方形の左側は鮮やかな水色、右側は黄色(あるいはオレンジ色)に見える。この時、下半分の正方形の両側は緑色に見える。顔を左に向けた場合はその反対。遠視あるいは老視の眼鏡をかけている人は多分逆。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (October 9)


色収差による色ずれの作品「額がガクガク」↓

青い線の正方形が赤と緑の境界のところでずれているように見える。作者にはそう見えるが、理論的にはそう見えない人もいると思われる。そのほか、ヘルマン格子錯視や色の同化が見られる。

Copyright A.Kitaoka 2003 (June 16, 2003)


 11. 主観色 (Subjective color)

「宇宙線とオーロラ」

モノクロ画像なのに主観色が見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 5)

cf. Luckiesh, M. and Moss, F. K. (1933) A demonstrational test of vision. American Journal of Psychology, 45, 131-139. (I do not know the appropriate reference of this type of subjective color)


ベンハムのコマ(フェヒナー色)

回転すると色が見える。


色が変わる錯視の作品「2つの輪」

内側のリングは縮小して見え、外側のリングは拡大して見える(最適型フレーザー・ウィルコックス錯視)。中心を見ながら図に目を近づけたり遠ざけたりすると、リングがお互いに反対方向に回転して見える(回転オオウチ錯視)。また、中心を見ながら図に目を近づけると内側のリングが赤味を増し、目を遠ざけると外側のリングが赤味を増す。1つの図で3つも錯視が楽しめるおトクな錯視デザイン。

Copyright A.Kitaoka 2005 (April 1)

トリック・アイズ グラフィックスに掲載


色が変わる錯視を説明する仮説・・・処理速度説↓

刺激イメージが網膜上で動いた場合、長波長の刺激の視覚処理が早く、短波長の刺激の視覚処理が遅いと考えると説明できる。図では矢印の先の赤が増加して見え、後方に残る青は黄色と打ち消しあって無彩色に近くなる。


 12. 色の残像 (Color afterimage)


色の残像

一方の十字をしばらく(10秒以上)眺めて、もう一方の十字に目を移すと、色の陰性残像(反対色)が見える。


「赤いハートとピンクのハート」

左の図形をしばらく見つめ、右の空白に目を移すと、その赤いハートとピンクのハートが見える。左のハートは水色と黄緑に見えるが、実際には同じ色(R=0, G=255, B=151)なので、同じ色が違う色の残像を生じさせるわけである。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (June 5)



「ピンクのハートとオレンジのハート」

左上と右下のハートは黄色く見え、右上と左下のハートは青白く見えるが、どちらも背景と同じ白である。このハートの陰性残像は、それぞれピンクのハートとオレンジのハートである。左の十字を目を動かさず10秒以上眺め、右の十字に目を移すと、短時間見える。「陰性残像」(negative afterimage)とは反対色に見える残像という意味なので、将来、用語を変更する必要が出てくるかもしれない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 25)


「赤い玉と黄色い玉」

左の十字を10秒以上見つめ、右の十字に目を移すと、その上下に色の付いた円が見える。上は水色の背景の上に赤色の円が9つ、下は青の背景の上に黄色の円が9つ見える。左側の順応刺激の9つずつの円は灰色(30%ブラック、あるいは、R=178, G=178, B=178)であるから、無彩色の残像として有彩色が見えたことになる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 22)


「武田信玄の顔色変化」

この動画は、2枚の静止画から成っている。1枚目(下図「風林火山」)は6秒間提示され、2枚目(下図「武田信玄」)は1秒だけ提示される。どちらの画像も、左側は白と黒の渦巻きで、右側は黄と青の渦巻きである。どこか同じ場所を見つめながら眺めていると、6秒間提示される1枚目は「正しく」見えるが、1秒間だけ提示される2枚目は、左側は黄と青の渦巻きで、右側は白と黒の渦巻きに見える。この錯視は、「錯視残効」 というものに違いない(そんなカテゴリーは今までなかったと思うが)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (November 27)


下図は6秒間提示

「風林火山」

渦巻きの色は、下図「武田信玄」の白黒黄青と同じであるが、この図では違いがはっきりわかる。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


↓↑


下図は1秒間提示

「武田信玄」

薄い黄色と濃い青色の渦巻きがあるように見えるが、左半分は白(R=255, G=255, B=255)と黒(R=0, G=0, B=0)であるのに対し、右半分は黄(R=255, G=255, B=0)と青(R=0, G=0, B=255)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


 13. 色のきらめき格子錯視 (Chromatic scintillating grid illusion)


「スウェーデンの光」

白丸に青い光が点滅するように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (April 25)

スウェーデンには行ったことがないので、この作品は単に国旗からのイメージです。


「悟りの窓」

青あるいは緑の格子に描いた黒点がオレンジ色あるいは赤に光って見える。黄色説もあり。

Copyright A.Kitaoka 2005 (April 25)

こうなると、悟りの窓も錯視の窓。



「梶田の色のきらめき格子錯視」

左上の図形はすべて赤でできているのに、ドットが青味がかって見える。ドットの実際の色は右上に示した。また、右下の図形はすべてマゼンタ(赤紫)でできているのに、ドットが青味がかって見える。ドットの実際の色は左下に示した。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)

梶田高由先生のページより





「梶田の色のきらめき格子錯視 2」

左右の図形とも、白のドットが赤味がかって見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)


ご清聴ありがとうございました。





オマケ

錯視の分類
1. 形の錯視(幾何学的錯視) カタログ 専門書
2. 明るさの錯視  カタログ 
3. 色の錯視  カタログ 色の錯視いろいろ(配布資料) 
4. 動きの錯視  静止画が動いて見える錯視のカタログ

(5. 立体視の錯視)
(6. 視覚的補完の錯視) カタログ
(7. だまし絵) 解説
錯視のカタログのページ
錯視のカタログのある本
関連する知覚心理学の本
北岡の「だまされる視覚 錯視の心理学」(2007年)
ニュートンムック「錯視 完全図解」(2007年)
他の錯視に及ぼす色の効果
   
色が動く錯視に及ぼす効果(ロレアル賞受賞記念講演)
参考 色彩学会2005年シンポジウムの発表

北岡明佳の錯視のページ