錯覚ニュース 8
since October 30, 2007
静岡科学館る・く・るにおいて、北岡は「だまされる視覚~錯視の楽しみ方~」というタイトルで講演した(2008年2月10日(日))が、その時の来場者に協力して頂いて、「『蛇の回転』の錯視は若いほどよく見える」という仮説を調べるために、「蛇の回転」錯視が見えるかどうかを調査した。図はA4版の用紙に印刷したものを配布した(エプソン写真用紙<絹目調>に、EPSON PM-A900に対して最適化したバージョンを印刷)。
これまでの図示の様式に従うと、結果は下図の通りであった。112名のご協力を頂いた。この調査ではこれまでの最年少の4歳から、75歳までの方にご協力頂いた。「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は、 r = -.43 で、この相関は統計学的に有意(p < .01)であった。すなわち、「蛇の回転」錯視の強さと年齢との間には、強いとまでは言えないが、有意な逆相関があった。今回は調査協力者のサンプル数と年齢の分布が理想的で、このデータだけでも相当な自信をもって主張を展開することができる。
評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。
評定値の割合を示したのが下図である。大学生や高校生だけで調べたデータと比較すると、「よく動いて見える」人の割合が少ないことがわかる。少ないと言っても、半数を超えているが、若い人の方が多かった影響と考えられる。今回の調査では、児童の皆さんのデータを多く得られていることと、40代以上でこの錯視が見えないと報告した人が少なくなかったことが、特筆すべき点である。
評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。
この錯視が見えなかった方へ。個人差ですので、心配しないで下さい。錯視が見えた方がたぶん面白いのですが、仕方ないです。私にも、言われている通りに見えない錯視があります。どうぞ、他の見える錯視を楽しんで下さい。
今回のデータ(静岡科学館る・く・るの来場者の皆様)に、前回のデータ(「非線形数理東京フォーラム」の来場者の皆様)、前々回のデータ(立命館大学の情報処理心理学 I の受講生の皆様)、前々々回のデータ(仙台育英高校の皆様)、前々々々回のデータ(尼崎の高齢者の皆様)、前々々々々回のデータ(難波市民センターの皆様)、前々々々々々回のデータ(放送大学面接講義の皆様)を込みにすると、下図のようになった。若い人のデータで「よく動いて見える」と回答した人が多かったのと、高齢者に「動いて見えない」という回答が少なくなかったことから、「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は
r = -.44 と絶対値が大きく、この相関は統計学的に有意(p < .01)であった。「若いとみんな見えて、トシを取ると見えなくなる」という関係にあるわけではないが、サンプル数が十分あると無視できない強さで逆相関が現れる(しかも、その年齢に関係した性質の強弱は生活の質にはまったく影響がない)ということが、ほぼ確実になった。何を意味しているんだか・・・ 少なくとも、老化とは関係がない。
静岡科学館る・く・るにご来場の皆様、ご協力ありがとうございました。 <2008年2月11日>
東京大学数理科学研究科で開催された非線形数理東京フォーラム「人と自然の数理」において、北岡は「錯視と数学」というタイトルでトークした(2008年2月2日(土))が、その時の来場者に協力して頂いて、「『蛇の回転』の錯視は若いほどよく見える」という仮説を調べるために、「蛇の回転」錯視が見えるかどうかを調査した。図はA4版の用紙に印刷したものを配布した(エプソン写真用紙クリスピア使用)。今回は仮説がもう一つあって、「東京大学の若い人は『蛇の回転』が見えにくい」というものであった。
これまでの図示の様式に従うと、結果は下図の通りであった。43名のご協力を頂いた。この調査ではこれまでの最年少の11歳から、66歳までの方にご協力頂いた。「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は、 r = -.41 で、この相関は統計学的に有意(p < .01)であった。これには11歳の方と66歳の方のデータが強く影響しているが、これらをはずしても相関係数は r = -.34 で、5%有意であった。すなわち、「蛇の回転」錯視の強さと年齢との間には、強いとまでは言えないが、有意な逆相関があった。「東京大学の若い人は『蛇の回転』が見えにくい」という仮説については、特にそれらしい兆候は観測されなかった。
評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。
評定値の割合を示したのが下図である。大学生や高校生だけで調べたデータと比較すると、「よく動いて見える」人の割合が少ないことがわかる。少ないと言っても、半数を超えているが、20歳代の方が多かった影響かもしれない。
評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。
この錯視が見えなかった方へ。個人差ですので、心配しないで下さい。錯視が見えた方がたぶん面白いのですが、仕方ないです。私にも、言われている通りに見えない錯視があります。どうぞ、他の見える錯視を楽しんで下さい。
今回のデータ(東大・数理のフォーラムの来場者の皆様)に、前回のデータ(立命館大学の情報処理心理学 I の受講生の皆様)、前々回のデータ(仙台育英高校の皆様)、前々々回のデータ(尼崎の高齢者の皆様)、前々々々回のデータ(難波市民センターの皆様)、前々々々々回のデータ(放送大学面接講義の皆様)を込みにすると、下図のようになった。若い人のデータで「よく動いて見える」と回答した人が多かったのと、高齢者に「動いて見えない」という回答が少なくなかったことから、「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は
r = -.46 と絶対値が大きく、この相関は統計学的に有意(p < .01)であった。「若いとみんな見えて、トシを取ると見えなくなる」という関係にあるわけではないが、サンプル数が十分あると無視できない強さで逆相関が現れる(しかも、その年齢に関係した性質の強弱は生活の質にはまったく影響がない)ということが、ほぼ確実になった。何を意味しているんだか・・・ 少なくとも、老化とは関係がない。
非線形数理東京フォーラム「人と自然の数理」にご参加の皆様、ご協力ありがとうございました。なお、「東京大学の若い人は『蛇の回転』が見えにくい」という仮説は、特に実証されませんでしたが、ご来場の若い方が東大以外の方だったかもしれないので(東大の人が多かったとは思いますが)、手続き上は何も検証したことになっておりません、念のため。 <2008年2月4日>
非線形数理東京フォーラム(2月2日~3日)が迫る。北岡は「錯視と数学」についてトークする。 ホームページ ポスター <2008年1月30日>
朝日新聞のウェブサイト「asahi.com」の「コミミ口コミ」のコーナーで「目にも不思議なけしごむ」が紹介された。 <2008年1月28日>
高崎市少年科学館 冬の特別展
「錯視の世界展~北岡明佳の錯視カタログ~」
2008年2月1日(金)~2月29日(金)
開館時間:8時30分~17時30分 入場料:無料
会 場 : 高崎市少年科学館 2階展示フロアー
〒370-0065 高崎市末広町23-1 ℡027-321-0323
主 催 : 財団法人高崎市文化スポーツ振興財団
協 力 : 立命館大学 北岡明佳教授
科学館web http://www.t-kagakukan.or.jp
<2008年1月27日>
来週、1月23日~25日に日本視覚学会が、新宿・工学院大学で開催されます。 <2008年1月16日>
大会のホームページ
視覚学会のメーリングリストに流された知覚コロキウムの案内を転送します。 <2008年1月16日>
視覚学会の皆様
千葉大学の木村です。
このたび、第41回の知覚コロキウムを千葉大学でお世話させていただくことになり、以下の要領で3月の末に開催いたします。
知覚コロキウムは、主として知覚に関する研究を行っている研究者と学生が集まって行う、合宿形式の研究会です。
多数の皆様のご参加をお待ちしています。
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春恒例の知覚コロキウムも第41回を迎え、今回は千葉大学がお世話をさせていただくことになりました。和やかな雰囲気で活発な議論がなされる楽しい会となりますよう精一杯務めさせていただきますので、全国から多数の皆様にご参加いただきますようお願い申し上げます。
以下、簡単にご案内させていただきます。詳細につきましては、下記ホームページをご覧ください。
http://www.psy.l.chiba-u.ac.jp/chicollo2008/
また、お近くの方々にもお知らせいただければ幸いです。
■
期日: 2008年3月28日(金)~3月30日(日)
■ 会場: ウェルサンピア千葉(千葉厚生年金休暇センター)
http://www.kjp.or.jp/hp_43/
■
参加費:一般(学振研究員を含む) 33,000 円、学生 23,000 円を予定
しています。
■ 申込締切: 2008年2月4日(月) 必着
■ 特別プログラム:
※ 招待講演:以下の先生方にお願いしています。
*
河原純一郎先生 (産業技術総合研究所)
* 栗木一郎先生 (東北大学 電気通信研究所)
*
小山慎一先生 (千葉大学大学院工学研究科)
* 溝上陽子先生 (千葉大学大学院融合科学研究科)
※
第3回「今井賞(錯視の館賞)」表彰式・記念講演
■ 参加申し込み・発表申し込み:
※ 「参加・発表申し込み用紙」にご記入の上、電子メールもしくは郵送にてお送り下さい。
・電子メールアドレス:
・郵送宛先:
〒263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
千葉大学文学部心理学講座木村研究室内
第41回知覚コロキウム世話人会
宛
※「参加・発表申し込み用紙」は、ホームページからダウンロードできます。また、世話人会宛にご連絡いただければお送りいたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしています。
==== 第41
回知覚コロキウム
世話人会 ============================
木村英司(千葉大学)・一川誠(千葉大学)・柳淳二(千葉大学)
E-mail:
第41回知覚コロキウムウェブサイト:
http://www.psy.l.chiba-u.ac.jp/chicollo2008/
「顔ガクガク錯視」については、double vision と呼んでいる充実したサイトがあるという報告がありました(Sさん、ありがとう)。double vision あるいは diplopia は日本語では複視と訳され、ものが二重に見える病気のことです。
しかし、顔ガクガク錯視は病気ではないので、複視ではありません。複視ではなく、複視的錯視(illusion of double vision)とか呼ぶのなら、OKと思います。複視的錯視は、オオウチ錯視や蛇の回転などと同様の静止画が動いて見える錯視の一種です。
いずれにしましても、だれが最初にこの現象を発見したのかを知りたいので、さらに情報を求めます。よろしくお願い致します。 <2008年1月12日>
オオウチ錯視
「蛇の回転」(一部)
新年早々新しい錯視が報告された。 <2008年1月11日>
土星の惑星(ミマス)と土星の輪(F環)の錯視
(Lakdawalla, 2008)
Thanks to Hershel
朝日BE「赤ちゃんを科学する」に登場した「蛇の回転」の赤ちゃんの知覚の話(by 山口真美先生)を、下記(中央大学のページ)でご覧頂けます。 <2007年12月27日>
http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/randdev/f02_05_109_j.html
「シルエット錯視の図解的説明」の大きいビットマップ(6400 x 2536 pixel)を、理研の視覚刺激ライブラリーである Visiome にアップロードした。教育用、研究用、個人用にご利用頂けます。 <2007年12月24日>
「シルエット錯視の図解的説明」
ご覧の通りである。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 23)
参考 シルエット錯視
(c) Nobuyuki Kayahara 2003
目にも不思議なけしごむのページが製造元にできました。 <2007年12月17日>
http://www.seedr.co.jp/new/new.html
ニュートン別冊「錯視 完全図解」の第2刷出ました! 増刷したばかりと言うのに、もう在庫が寂しいらしい。 <2007年12月13日>
第41回知覚コロキウム(千葉)のお知らせ <2007年12月7日>
NHK「爆笑問題のニッポンの教養」に北岡と錯視デザインが出ました(11月27日(火)放送)。 過去放送記録(NHKのページ)
<2007年12月7日>
「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」がまもなく増刷! <2007年11月27日>
だまされる視覚―錯視の楽しみ方
北岡明佳(著) 化学同人 B6・196頁・定価1470円(本体1400円+税) ISBN978-4-7598-1301-2
NHK「爆笑問題のニッポンの教養」に北岡と錯視デザインが出ました(11月27日(火)放送)。12月4日(火)午前8:30~ BS2にて再放送予定。 過去放送記録(NHKのページ)
NHK「爆笑問題のニッポンの教養」の錯視のページ(当ホームページ内)
<2007年11月28日>
NHK「爆笑問題のニッポンの教養」に北岡と錯視デザインが出ます。11月27日(火)午後11時~11時半放送です。爆笑問題さんとお話しましたよ! 「次回予告」に登場中
タイトルが「この世はすべて錯覚だ」となっていますが、私が付けたタイトルではありません。この世は錯覚ではないですよお。
<2007年11月19日>
NHK「爆笑問題のニッポンの教養」に立命館大学が登場します(11月27日(火)午後11時~11時半)。錯視がいろいろオンエア。 <2007年11月16日>
ロケをした大沢池。紅葉にはまだ早かった(10月29日(月)撮影)。
ニュートン別冊「錯視 完全図解」が12月10日頃増刷! <2007年11月15日>
週刊現代(講談社)11月10日号(49巻12号)で錯視特集(「『錯視』の不思議- 視覚の死角」、pp. 95-98)。週刊誌では世界初のことでは!? 「蛇の回転」や「無限階段」などが掲載されています。 <2007年11月6日>
既に昨日の段階で11月17日号が発売中で、11月10日号はコンビニにも本屋にもなかった。さすがは週刊誌! <2007年11月7日>
日本視覚学会2008年冬季大会参加・発表登録受付中! (11月末日まで)
<2007年11月5日>
コラム: (錯視で)あかちゃんを科学する by 山口真美先生(中央大学)
朝日新聞BE日曜版10月28日掲載
<2007年10月30日>
錯覚ニュース7 (2007年9月~2007年10月) 「蛇の回転」と年齢の関係の研究など
錯覚ニュース6 (2007年6月~2007年9月) ニュートン別冊「錯視 完全図解」発売など
錯覚ニュース5 (2007年1月~2007年5月) 日本認知心理学会・独創賞受賞など
錯覚ニュース4 (2006年6月~2006年12月) ロレアル色の科学と芸術賞受賞など
錯覚ニュース3 (2006年1月~2006年5月) トリビアの泉で文字列傾斜錯視など
錯覚ニュース2 (2005年4月~2005年12月) 東大駒場博物館で錯覚展など
錯覚ニュース1 (2002年~2005年3月) 錯視の科学ハンドブック発売など