京都茗渓会講演
2014年11月15日(土) 16:45-17:40
京都タワーホテル 6階 アテネの間

あのレディ・ガガも驚いた「錯視」について

立命館大学 文学部 心理学専攻(心理学域) 北岡 明佳 email HP

2014/11/8 より  配布物(ガガさんもの) 配布物(回転錯視)


「ピンクのガンガゼ」

ガクガクして見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 5)






『ヴィーナスの誕生』 サンドロ・ボッティチェリ作 1483年頃

レディー・ガガのアルバム「アートポップ」と錯視のデザイン


Richard Hamilton: Just what is it that makes today's homes so different, so appealing? (1956)


ジェフ・クーンズの作品


  

"Fractal Illusion" and "Fractal Zap"

Copyright Jeff Berkeley 1993 (Fractal Illusion), 1994 (Fractal Zap)

((c) 2000 Lifesmith Classic Fractals, Palmdale, CA, USA; 16-045 Published by AQUAIUS; Printed in the UK. www.aquariusimages.com; 福井県こども歴史文化館による情報)

"These are two of my fractal posters still sold at stores like Spencer's Gifts... "


シマシマガクガク錯視

Kitaoka, A. (2014). Visual illusion in ARTPOP and pop art. Japanese Journal of Psychonomic Science, 32(2), 232-234. PDF, PDF (scanned copy)

「ガンガゼ」

ガクガクして見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (March 11)


シマシマドリフト錯視・シマシマガクガク錯視





オオウチ錯視・蘆田最適化版の短辺のところを灰色にすると


円形領域はやはり動いて見える。あるいは錯視量増大。


円形領域が動いて見える。


円形領域が動いて見える。

文献

Kitaoka, A. (2014). Visual illusion in ARTPOP and pop art. Japanese Journal of Psychonomic Science, 32(2), 232-234. PDF



「タイガース」

横縞分が上下に揺れて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)



「落ちつかないハート」

ハートが動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)



「もっと落ちつかないハート」

ハートが動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)



「もっとも落ちつかないハート」

ハートが動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 2)



「動くモナリザ顔」

顔が動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 9)




<色の錯視クイズ>


左のハートと物理的に同じ色は(1)(2)(3)のうちどれでしょう。


問1

解答



問2

解答



問3

解答



問4

解答


2012/8/17


ムンカー錯視を用いた作品「赤の渦巻き」↓

赤紫がかった赤い螺旋とオレンジ色がっかった赤い螺旋があるように見えるが、どちらも同じ赤である。

Copyright A.Kitaoka 2002


ムンカー錯視を用いた作品「緑の渦巻き」↓

黄緑の螺旋と青緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ緑である。

Copyright A.Kitaoka 2002


ムンカー錯視を用いた作品「水色と黄緑の渦巻き」↓

水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。この色の錯視はモニエ・シェベル錯視に近いと思うが、彼らの理論には合わないのかもしれない。

Copyright A.Kitaoka 2003


ムンカー錯視(Munker illusion)

黄と青の縞の青部分に赤を乗せるとオレンジ色に見え、黄部分に赤を乗せると赤紫がかって見える。緑を乗せるとそれぞれ黄緑と青緑に見える。高空間周波数図形で錯視量が多い。

Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. München: Habilitationsschrift.

ムンカー錯視のページ


ムンカー錯視の作り方



「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」

渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)


「武田信玄」

薄い黄色と濃い青色の渦巻きがあるように見えるが、左半分は白(R=255, G=255, B=255)と黒(R=0, G=0, B=0)であるのに対し、右半分は黄(R=255, G=255, B=0)と青(R=0, G=0, B=255)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)

「風林火山」

「武田信玄」の白黒黄青と同じであるが、この図では違いがはっきりわかる。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


「小家族」

左の鳩も右の鳩も同じ色なのだが、左の方は黄味がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


Left: Green (assimilation) + Red (contrast of cyan) = Yellow induction; Right: Cyan (assimilation) + Magenta (contrast of Green) = Blue induction

OK?


Left: Blue (assimilation) + Blue (contrast of yellow) = Blue induction; Right: Yellow (assimilation) + Yellow (contrast of blue) = Yellow induction


色の土牢錯視 (Chromatic dungeon illusion)

「犬」

赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン  別バージョン2

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)

土牢錯視(dungeon illusion)(Bressan, 2001)とは?

左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


色の土牢錯視とは?

左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。

引用文献は調査中(ないかもしれない)

色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。



「4種類の色の錯視の作り方」

物理的に同じ色(R=255, G=0, B=127)のハートが錯視によってピンクとオレンジのハートに見える。左から、ムンカー錯視(Munker illusion)、色の土牢錯視(chromatic dungeon illusion)、ドット色錯視(dotted color illusion)、デヴァロイス・デヴァロイス錯視(De Valois-De Valois illusion)である。 上図の高解像度ファイルはこちら(8000 x 3262 pixel, 10MB)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 1)

References

Munker illusion Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. Habilitationsschrift, Ludwig-Maximilians-Universität, München.
chromatic dungeon illusion For the dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.
Kitaoka (2007) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saishin22e.html
dotted color illusion For the dotted brightness illusion: White, M. (1982) The assimilation-enhancing effect of a dotted surround upon a dotted test region. Perception, 11, 103-106.
Kitaoka (2008) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/color10e.html
De Valois-De Valois illusion De Valois, R. L. and De Valois, K. K. (1988) Spatial Vision. New York: Oxford University Press.


北岡明佳 (2012) 色の錯視いろいろ (4) 簡単で錯視量の多い色相の錯視図形の作り方 日本色彩学会誌, 36(1), 45-46. PDF(スキャンコピー) <配布資料>




<錯視的錬金術>


問: 下記のような色から金色を作る方法はあるか?








答: ある。




「青い金閣」

青フィルターがかかっていやな感じではあるが金閣は金色に見える。金色は黄色系統でなければならないという前提があるなら、この合成画像で金閣が金色に見えることは錯視であり、知覚される金色は物理的には青系統の色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (July 14)





黄色系統でなくても金色に見える。


「立命館大学ののぼりの色の恒常性」
"Ritsumeikan flags"

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (November 30)

色の恒常性錯視デモ用のプリント用ファイル DOC


この種の色の恒常性の文献

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. PDF(スキャンコピー), PDF(高解像度スキャンコピー)

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (1)「目の色の恒常性」という錯視の絵 日本色彩学会誌, 35(2), 118-119. PDF(スキャンコピー)


加法的色変換
Additive color changes

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. <図2>


乗法的色変換
Multiplicative color change

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. <図4>

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. PDF(スキャンコピー), PDF(高解像度スキャンコピー)


加法的色変換の例・・・「清流」の緑は山の緑
Example of additive color changes

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (August 3)


問: 下記のような色から、オレンジ色と赤紫色を同時に作る方法はあるか?










答: ある。



Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)








いろいろな組み合わせでできる。


Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)


Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)



「ムンカー錯視と色の恒常性の色材研究」

左の「色材」は赤が赤紫とオレンジに見え、「研究」は水色と黄緑色に見える。右の「色材」は灰色が赤紫とオレンジに見え、「研究」は青緑色が水色と黄緑色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (September 16)



< 静脈錯視 >


「静脈錯視」

青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、せいぜい灰色であり、色の錯視(色の対比)だった!

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)

写真は北岡の右足です。

静脈錯視発見の時のfacebookページ→ 



類似の錯視

一番右の正方形は灰色であるが水色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)

この錯視を私が見つけたサイト


「静脈錯視:手」

この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低いオレンジ色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)

写真は北岡の右手です。對梨成一氏撮影。



下2図は、物理的には青いピクセルはないことをスポイトツールなどで確めるための画像


「静脈錯視:腕」

この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低いオレンジ色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)

Thanks to MK for your tremendous contribution!



「静脈錯視:腕 2」

青白く撮れた写真の場合でも、この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低い黄色かオレンジ色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)


「静脈錯視:手の甲」

この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、ほぼ灰色あるいは彩度の低い黄色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)



「静脈錯視:基本図形?」

ほとんど灰色の彩度の低い黄色の領域が青みがかって見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)



静脈錯視についての皆様からのご意見→ 





「錯視的青のリング」

本図はすべて少し赤みの入った黄色の色相の画素でできているが、青みを帯びたリングが知覚される。

produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)




「錯視的青のリング 2」

本図はすべて少し赤みの入った黄色の色相の画素でできているが、青みを帯びたリングが知覚される。

produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)

< 誘導色の彩度が低くても効果がある。>




「錯視的水色のリング」

本図はすべて赤の色相の画素でできているが、水色を帯びたリングが知覚される。

produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)




「錯視的赤みのリング 2」

本図はすべて水色(シアン)色の色相の画素でできているが、赤みを帯びたリングが知覚される。

produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 31)


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 29)

立命館大学リサーチオフィス衣笠の柚木一さんの静脈


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 30)

北岡明佳 (2014) 色の錯視いろいろ (14) 静脈の色の錯視・その2 日本色彩学会誌, 38(5), 367-368. PDF(スキャンコピー)





2014年6月25日(水)の京都新聞朝刊で取り上げられた。

立命館大学のfacebookで紹介された。

立命館大学HPで紹介された。

Yahoo! ニュース・トップ・主要に

<June 25, 2014>


Yahoo! ニュース・トップ・科学に

<June 26, 2014>


2014年6月30日(月)のJSTのニュースで取り上げられた。


< 静脈錯視の応用 >



「静脈錯視を応用した静脈可視化ツール」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (上) After (下)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)


「北岡明佳の右手の掌の皮下静脈」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (左) After (右)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)


「北岡明佳の左手首付近の皮下静脈」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (左) After (右)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)


「北岡明佳の左手甲の皮下静脈」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (左) After (右)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 30)


「北岡明佳の注射のやりやすい方の左腕」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (上) After (下)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)


「北岡明佳の注射のやりにくい方の右腕」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (左) After (右)  ナマでも結構見えているような気がするのだが・・・

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)



Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 4)


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 4)


「北岡明佳のふともも 2」

vein_visualization02JPEGb.exe

Before (左) After (中) それらの合成(右)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 5)


「マウスのしつぽ」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (左) After (中)

produced Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 1)

Thanks to Chieko




静脈可視化ツールについての皆様からのご意見→ 


vein_visualization02JPEGb.exe

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (May 5)



静止画が動いて見える錯視 フレーザー・ウィルコックス錯視群



「蛇の回転 2011」

円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (January 23)

EPSON PM-4000PXの写真用紙印刷に調整したバージョン


黒→濃い灰色→白→薄い灰色→黒 の方向に動いて見える。

Direction: black → dark-gray → white → light-gray → black


「蛇の回転」の作り方


この錯視のわかりやすい説明のある本

北岡明佳著 人はなぜ錯視にだまされるのか? トリック・アイズ メカニズム カンゼン刊

(定価:1,600円(税別) ISBN 978-4-86255-020-0) アマゾンのページ

錯視のメカニズムの解説多し!




北岡明佳著 錯視入門 朝倉書店 (2010年7月)  new! 

 もっと情報



北岡明佳(監修) ニュートン別冊 脳はなぜだまされるのか? 錯視 完全図解 (2007年10月刊行)

 もっと情報


北岡明佳の著書一覧



「赤と紫の円盤の回転」

明るいディスプレーでは円盤は時計回りに回転して見える。印刷物を暗いところで見ると反時計回りに回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 6)

文献

Kitaoka, A. (2014). Color-dependent motion illusions in stationary images and their phenomenal dimorphism. Perception, 43(9), 914-925. http://www.perceptionweb.com/abstract.cgi?id=p7706




「てんとう虫の回転」

てんとう虫のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 7)


「夜のてんとう虫の回転」

てんとう虫のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 7)



「からしれんこんの回転」

れんこんが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (December 11)


「からしれんこんの回転」(最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプIIa)の作り方



静止画が動いて見える錯視 時間差の錯視


「踊るハート達」

ハートが動いて見える。めがねをかけている人は、めがねを動かすとよく見えるかもしれない。離れたところから見ると、明るくなった時のハートは白のランダムドットより手前に見え、暗くなった時のハートは奥に見える人が過半数と予想される。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (December 20)




モノクロでOK


「踊るハート達」 (MS-Word ファイル)
北岡明佳 (2006) 色が強くなる錯視 A・F・Tジャーナル, 31 (Summer), pp. 01.



低輝度→脳内処理時間が長い
cf. プルフリッヒ効果

低輝度コントラスト→脳内処理時間が長い <our finding!>

1. High-luminance parts show shorter latency than low-luminance part.
2. High-contrast parts show shorter latency than low-contrast part. <our finding!>
Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035. PDF




cf. 踊るハート(fluttering-heart illusion)

(Helmholtz, 1867; Nguyen-Tri and Faubert 2003; von Grünau 1975a, 1975b, 1976; von Kries 1896)


中山(2008)によると、踊るハートは赤が重要。青不要。ピンクはダメ。
中山明子 (2008) 「踊るハート」錯視(1844)と「踊るハート達」錯視(2006)の比較検証 2008年度立命館大学文学部(人文学科心理学専攻)卒業論文



「緑背景に赤の踊るハート」

印刷して暗いところで動かすとハートがよく動いて見える(明るくても見えるが)。パソコン画面でもメガネをかけている人はメガネを上下させれば見ることができる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (January 21)

この色の組み合わせが錯視量最大に見えるなあ・・・




「青背景に赤の踊るハート」


「踊るハート工作セット」

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 31)



large bitmap



トゲトゲドリフト錯視

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (August 23)

なぜ動いて見えるかの説明

Kitaoka, A. (2010) The Fraser illusion family and the corresponding motion illusions. 33rd European Conference on Visual Perception (ECVP 2010), EPFL, Lausanne, Switzerland, 2010/8/22-26, 8/26 poster publication. Poster (Kitaoka, A. (2010) The Fraser illusion family and the corresponding motion illusions. Perception, 39, Supplement, #61, p. 178)



顔の錯視




ホロウマスクのデモを作るためにインターネット販売(日本装飾造花)で手に入れたお面達




お面を裏返すだけでホロウマスク錯視



「サッチャー錯視のイラスト版」

左の図は笑顔の女性を描いたイラストをさかさまにしたもので、右の図は左の図の目と口をそれぞれ上下反転させたものである。右の図を見るとあまり奇妙な感じは受けないが、図をさかさまにして見る(下図)と、かなり奇妙な顔になっていることがわかる。この錯視はサッチャー錯視と呼ばれ、Peter Thompson先生が1980年(サッチャーが首相になった次の年)に発表した。Peterは自分自身の顔でもやっているが、ヒゲまでさかさまにするのは反則では(笑)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (November 15)


顔の錯視のレビュー論文

北岡明佳 (2012) 顔の錯視のレビュー BRAIN and NERVE 神経研究の進歩, 64 (7) (増大特集 顔認知の脳内機構), 779-791. PDF(スキャンコピー)


1. アイシャドーによる視線方向の錯視

1.1 暗いアイシャドーによる視線方向の錯視(対比的効果)


すっぴんの顔がこうだとする。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010

左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は付けたアイシャドーとは反対の方向に変位して見える。



Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010

この錯視を起こすためにはベタ塗りでよい。グラデーションに描かなくてもよい。





Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010

両眼にそれぞれ上下にアイシャドーを付けると、どこを見ているかわからない顔になる。一方、両眼の耳側にアイシャドーを付けると寄り目に見え、鼻側に付けると開散した目に見える。目の相対的位置が変わって見える幾何学的錯視も起きる。


1.2 明るいアイシャドーによる視線方向の錯視(同化的効果)


すっぴんの顔がこうだとする。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010

左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は付けたアイシャドーの方向に変位して見える。


「モナリザご機嫌錯視・不機嫌錯視」

モナリザの目の上に白いアイシャドーを付けると機嫌がよく見え、目の下に付けると不機嫌に見える。

Produced Akiyoshi Kitaoka 2012 (June 2)

就職活動の面接で人柄を明朗に見せたい時は、白いアイシャドーを目の上に付けるとよい。 (「おもろいやつだ」と即採用されるかも)


1.3 暗いアイシャドーと明るいアイシャドーによる視線方向の錯視の合成

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010

左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は暗いアイシャドーとは反対方向に、明るいアイシャドーとは同方向に変位して見える。

肌と白目の間の輝度コントラストが相対的に低い側に視線方向が変位して見える錯視であるとも言える。


視線方向の錯視のページ


「土蔵(とくら)作:太った顔がやせて見える錯視(FFT錯視)画像」

左のほっぺたのぷっくりしたお兄さんの肖像をさかさまにすると、右のようにそんなにぷっくりしていないように見える。土蔵久代氏作品(2011年制作)。許諾を得て掲載。

Copyright Hisayo Tokura 2011
(uploaded February 12, 2012)

今のところ、イラストでは世界最強のFFT錯視画像と思う。



「さかさま顔の過大視は正立顔の過小視だった!」

Araragi et al. (2012) によると、正立顔が過小視して見えている。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2014 (May 15)

Araragi, Y., Aotani, T., and Kitaoka, A. (2012). Evidence for a size underestimation of upright faces. Perception, 41, 840-853.



「上下方向のウォラストン錯視・ヘプバーンとモンローの合成顔」

オードリー・ヘプバーン(一番左)の目と眉を取り出してマリリン・モンロー(一番右)の肖像の目と眉と入れ替えると、正面を見ていたヘプバーンの目だったのに、合成顔の人物は上を向いて見える(左から2番目)。マリリン・モンローの(一番右)の目と眉を取り出してオードリー・ヘプバーン(一番左)の目と眉と入れ替えると、下目づかいにこちらを見ていたモンローの目だったのに、合成顔の人物は下を向いて見える(右から2番目)。本図は、上田彩子著 「『恋顔』になりたい ~愛される顔にはルールがある~」 (2011年、講談社)の図4(p.22)である。

北岡明佳のコメント これなら上下方向のウォラストン錯視は確実にあると言えよう。

Produced by Sayako Ueda 2011

上田彩子 (2011) 「恋顔」になりたい ~愛される顔にはルールがある~ 講談社 ISBN978-4-06-217064-2

上田先生は顔ガクガク錯視論文の第一著者である。Ueda, S. なのは、「あやこ」でなくて「さやこ」さんだからです。

Ueda, S., Kitaoka, A., and Suga, T. (2011). Wobbling appearance of a face induced by doubled parts. Perception, 40, 751-756. new!


明日です!
北岡明佳講演 2014年11月16日(日)14:00-15:30 「だまし絵と錯視」 兵庫県立美術館・ミュージアムホール だまし絵II
http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/hyogo2014.html

 

い 

北岡明佳の錯視のページ