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「蛇の回転」錯視の見えと年齢の関係が疑われている。そのため、それらの関係の調査を、放送大学の面接授業「錯覚の心理学」の授業の中で行なった。25名の回答が得られた。年齢は32歳から70歳であった。回答選択肢は、「蛇の回転」錯視が、「よく動いて見える」(評定点3)、「動いて見える」(評定点2)、「わずかに動いて見える」(評定点1)、「全く動いて見えない」(評定点0点)であった。その結果、24名が動いて見え、1名が全く動いて見えなかった(下図)。全く動いて見えなかった1人は広範囲の視野欠損があるとのことであった。視野欠損があると「蛇の回転」が見えない、という仮説が成り立つなら、「蛇の回転」を使って視野欠損を検出する簡便なテストができることになるが、これまで「蛇の回転」が見えないと報告してくれた人々は視野欠損については何も語っていない。24名の「蛇の回転」が見えた人のうち20名は「よく動いて」見え、4名は「動いて」見えた。「わずかに動いて」見えたと報告であろう錯視量の少ない人はいなかった。この調査は、年齢に応じて「錯視が見える・見えない」だけでなく、定量的な相関も求めたのであるが、年齢が高くなると「蛇の回転」が見えにくくなるという傾向は見られなかった。

謝辞 回答を頂きました受講生の皆様に感謝致します。

(この調査は、この調査に協力をしたくない人がいた場合でもその人が協力しなかったことが他の人にわからないよう配慮した方法で実施しました)

追伸 放送大学滋賀学習センター所長T先生と、「生命科学と人間」という講義を担当された滋賀県立大学のS先生は、お二人とも「蛇の回転」は見えなかったようです。正確には、S先生は「端っこの方で回転して見えるの?」とお尋ねになったところから推定して、「わずかに動いて見える」(評定値1)であったのでしょう。両先生ともおそらく70歳前後でしたから、高齢になると「蛇の回転」は見えない、という説も簡単には捨てられないようです。


東京新聞(および中日新聞)の2005年12月12日夕刊に、錯視のサイエンスコラムが出た。<2005年12月17日>



東京新聞データベース部の許可を得て掲載

東京大学駒場博物館の錯覚展は、只今新潟県立自然科学館に巡回・開催中(12月3日〜12月25日)。 <2005年12月6日>


「蛇の回転」が感覚知覚心理学(生理学を含む)のテキストに登場! <2005年12月6日>

Jeremy M. Wolfe, Keith R. Kluender, Dennis M. Levi, Linda M. Bartoshuk, Rachel S. Herz, Roberta L. Klatzky, and Susan J. Lederman (2005) Sensation & Perception. Sunderland, Massachusetts: Sinauer Associates. Webpage

書評: この本はなかなかいいです。推薦します。ゼミで何か輪読するということになったら使おうかな。だれか翻訳して。


ピラミッド社のポスター "Mind Warp" シリーズを、「蛇の回転」使用ポスターとして、私とカンゼンが使用許諾しました。 <2005年12月5日>

Pyramid posters
Enter keyword "Mind Warp"


11月25日(金)に、東京デザインセンター(品川区五反田)におけるロレアル賞連続ワークショップ2005第2回講演で、「錯視における色の役割」と題して北岡が講演。もう一人の講演者は坂井克之先生(東京大学)。参加者は約180名。 <2005年11月26日>


朝日新聞にトリックアイズグラフィックスの書評(by 大津由紀雄先生・慶應義塾大学)が出ていたことが判明。 asahi.com <2005年11月26日>


ブルーバックスの表紙にも錯視デザインが進出。<2005年11月21日>

山口真美 (2005) 視覚世界の謎に迫る―脳と視覚の実験心理学 講談社 Blue Backs PDF(スキャンコピー)

山口先生は中央大学文学部心理学研究室の助教授である。乳児の視覚の研究をしている。


立命館大学の立命館大学の英語広報誌で北岡の錯視研究が紹介された。<2005年11月21日>

私のページ

PDF (Fall 2005)


表紙

錯視のページ


11月25日(金)のロレアル賞連続ワークショップ2005第2回講演で、会場に大判の錯視ポスターが展示される予定である。 <2005年11月19日>


北岡の発見した幾何学的錯視たくさんをウェーブレット分析で検討した論文が出た。

新井仁之・新井しのぶ (2005) ウェーブレット分解で見る,ある種の傾き錯視における類似性 VISION, 17, 259-265. 

別刷り請求は新井先生まで: 〒153-8914 東京都目黒区駒場3-8-1 東京大学大学院数理科学研究科

北岡談: 図が楽しめます。うれしいが難しい。


北岡の透明視の論文がJapanese Psychological Research誌に出た。アブストラクトは下左図。<2005年10月18日>

Kitaoka, A. (2005) A new explanation of perceptual transparency connecting the X-junction contrast-polarity model with the luminance-based arithmetic model. Japanese Psychological Research, 47, 175-187

この論文は、コントラスト極性によるエーデルソン・アナンダン・アンダーソンの透明視の現象的分類モデルを、メテッリ風の代数モデルから説明できることを初めて明らかにした。透明視の別の分類として、オブジェクト透明視とレイヤー透明視を新たに提唱した(下右図)。

透明視を研究している研究者の皆様におかれましては、どこからでもかかってきなさい、と北岡は言っております。


ダイヤモンド錯視を発見したのは渡辺功先生とアンスティス先生である、とした2005年4月11日の私の記述は誤りで、アンスティス先生からの情報では、発見者はカバナ先生だそうである。<2005年10月1日>


11月にロレアル賞連続ワークショップ2005という催しで、錯視の話題あり。 <2005年9月29日>


大山正先生がホームページを開設! <2005年9月24日>


大山正先生私(北岡)が第1回今井賞(錯視の館賞)を受賞。授賞式は、YPS2005(栃木県大田原市シャトーエスポワール)にて。今井賞は、北海道大学名誉教授の今井四郎先生が創設された錯視の賞である。野口薫先生(日本大学)、椎名健先生(筑波大学)、菊地正先生(筑波大学)、仁平義明先生(東北大学)が審査員である。本当は2003年にやることになっていたのだが、2年遅れのため、第1回、第2回、・・・と呼ぶことになった。 <2005年9月22日>  私の受賞記念講演のスライド  受賞作「カメ」の説明



賞状と副賞の藍染め

その藍染めの説明


錯視の館
(今井四郎先生宅)

フェンスが手前・奥にジグザグしているように見える錯視の写真。他にも階段部分にも錯視あり。

東大錯覚展の入場者数が、終了1日前(9月18日(日))にして、延べ1万人を超えた。連休とよい天気のおかげで、18日は700人近く来てくれたらしい。東大錯覚展は本日で円満に終了であるが、順次巡回展(入場無料に限る)として全国の博物館等に貸し出す予定で、申し込みは東京大学駒場博物館まで。<2005年9月19日>


トリックアイズ英語版が出版された。<2005年9月8日>


大型フルカラー錯視本「トリック・アイズ グラフィックス」が出版された。<2005年8月15日>


日本基礎心理学会・東京大学教養学部自然科学博物館主催のシンポジウム「イリュージョン・錯覚から知る心と脳の働き」にて、「周辺ドリフト錯視からわかること」と題して講演した。他に、野澤晨先生と村上郁也先生が講演。長谷川寿一先生がプロデュース。長谷川先生のキクちゃん


錯視デザイン本の新刊、「トリックアイズ グラフィックス」(ISBN 4-901782-53-3)は、お盆明けの8月17日頃より店頭に並ぶ見通しです。豪華な印刷のA4版で、錯視のカタログが充実しており、専門家の皆様のご使用にも耐えます。定価は 1,880円(税別)とお買い得。 <2005/7/30>


トリックアイズの出版社カンゼンのホームページに錯視デザインのページができた。 <2005/7/30>


朝日新聞日曜版「be on Sunday」の「目の冒険」というコラムに、錯視の話を連載中。12回連載予定(7月〜9月)。 <2005/7/29>


東京大学駒場博物館にて錯覚展を開催中です。私の作品も展示されています。期間は2005年7月16日(土)〜9月18日(日)です。京王井の頭線・駒場東大前駅下車徒歩1分。入場無料。建物も必見。 <2005/7/29>


 

筑波大学のシンポジウムでも、「蛇の回転」が見えるかどうかと年齢との関係を調査した。34名のデータが得られ、60歳以上は1名で「蛇の回転」の錯視は見え、33名の60歳未満のうち、2名(ともに30歳台)に錯視が認められなかった。全体としては錯視が見えた確率は94%なので、VSS時の調査と同じであったが、年齢が高いと「蛇の回転」が見えにくい、ということはなかった。ただ、60歳以上が1人しかいないので、データが偏っている。<2005/7/9>

北岡明佳 (2005) 静止画が動いて見える錯視 (21世紀COEプログラム「こころを解明する感性科学の推進」第2回公開シンポジウム「感性を知る・測る・探る2」・筑波大学総合研究棟D・2005年7月5日) Presentation (html)

VSS2005での調査結果(PDF)


傾いて見える階段の錯視の論文が、日本心理学会発行の学術専門誌である心理学研究に載っていた。<2005/7/9>

對梨成一 (2005) 階段の水平踏面が傾いて見える錯視の実験的解明 心理学研究, 76, 139-146

別刷り請求


東大の錯覚展のポスター(PDF)チラシ(PDF)ができました。<2005/6/30>


7月3日(日)より、朝日新聞日曜版(be on Sunday)の「目の冒険」というコラムにて、「錯視の話」を連載します。赤瀬川原平先生の「錯覚と想像力」シリーズの後釜です。9月くらいまでやる予定です。<2005/6/23>


この夏、東大(駒場)で錯覚展やります。<2005/6/21>

 出展候補作品


次の錯視デザインの拙著の名称が「トリック・アイズ グラフィックス」に決定!<2005/6/17>


Journal of Neuroscience誌に、周辺ドリフト錯視の生理学的研究の論文が載った。<2005/6/10>

http://www.jneurosci.org/cgi/content/short/25/23/5651

Conway, R. B., Kitaoka, A., Yazdanbakhsh, A., Pack, C. C., and Livingstone, M. S. (2005) Neural basis for a powerful static motion illusion. Journal of Neuroscience, 25, 5651-5656.

「蛇の回転」の変形版が表紙を飾りました。

http://www.jneurosci.org/content/vol25/issue23/cover.shtml


日本心理学会が、不思議な感覚体験の創作・発見コンテストの作品を募集しています。要するに、錯視デザインや街角錯視・錯覚を募集中です。小・中・高校生のための心理学を学ぶ教育プロジェクト(なんだかすごいな)の一環です。<2005/4/23>

日本心理学会のページ

募集要項のページ


現代のエスプリの臨床心理学の特集号に錯視の論文が出た。この取り合わせはひょっとして世界初なのでは? <2005/4/20>

表紙はサクラの回転

私の書いたところはコミュニケーション論というところです。

北岡明佳 (2005) 静止画が動き出す原理 現代のエスプリ(特集・臨床の語用論T 行為の方向を決めるもの), 454, 70-77.


日本バーチャルリアリティ学会誌に錯視・錯覚の特集号が出た。んー、そんなに驚くべきことでもないか・・・ <2005/4/4>

私のも載っています。

北岡明佳 (2005) 幾何学的錯視のリアリティ 日本バーチャルリアリティ学会誌, 10(1), 8-12


ノーベル錯視賞できる。<2005/4/1> 真偽


色のホワイト効果はムンカー錯視であることが判明。<2005/4/1>


錯覚ニュース1(2002年〜2005年3月)


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