2025年9月5日(金)10:10~11:00 第9会場(L506)
日本心理学会第89回大会・小講演・東北学院大学
ロトレリーフの展開的研究
(続き)(8ページ目)
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(弾性感のある)ロトレリーフとは異なり、(立体感のある)ロトレリーフではエンベロープはキャリアを超えて移動せず、変位のみが変わる。下図は線形なデモで、それぞれ縦波の変位のデモと横波の変位のデモである。横波の変位のデモにおいても、縦波と同様、奥行き感が生じる。
結論
①(立体感のある)ロトレリーフ(= 立体奥行き効果)は、エンベロープが固定された状態で振動する縦波と横波の合成(それも全方向について)であると考えられる。
参考 エンベロープが移動する状態での(立体感のある)ロトレリーフ
② (立体感のある)ロトレリーフは、運動視差(Wilson et al., 1983)ときめの密度を手がかりとして、面の奥行き方向の傾きを知覚できると考えられる。
③ 以上の検討によって新たに明らかになったことや、これからの研究のヒントとなるものがいくつも見出され、本研究は視覚の研究に貢献できる意義のあるものと考えている。しかし、デュシャンの(立体感のある)ロトレリーフあるいはムサッティの立体奥行き効果はオリジナルであるというだけでなく、プログラミングを必要とせず、絵を描いた円盤を回転させるだけで実現できるという点で、研究以外にも、教育的に、あるいはエンターテインメント的に価値が高い。
④ (弾性感のある)ロトレリーフ(非剛体的な運動知覚)については、引き続き検討を進めたい。
おしまい