第41回日本香粧品学会
有楽町朝日ホール・2016年6月9日(木)16:30-17:20

特別講演 「色関係の錯視について」

立命館大学総合心理学部 北岡 明佳 email

2016/6/4 より 配布物


< 静脈錯視 >


「静脈錯視」

青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、せいぜい灰色であり、色の錯視(色の対比)だった!

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)

写真は北岡の右足です。

静脈錯視発見の時のfacebookページ→ 



類似の錯視

一番右の正方形は灰色であるが水色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)

この錯視を私が見つけたサイト


「静脈錯視:手」

この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低いオレンジ色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 23)

写真は北岡の右手です。對梨成一氏撮影。



「静脈錯視:腕」

この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低いオレンジ色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)

Thanks to MK for your tremendous contribution!



「静脈錯視:腕 2」

青白く撮れた写真の場合でも、この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、彩度の低い黄色かオレンジ色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)


「静脈錯視:手の甲」

この手の青く浮き出て見える静脈は物理的には青くなく、ほぼ灰色あるいは彩度の低い黄色であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 24)



静脈錯視についての皆様からのご意見→ 


「静脈錯視」のページ


関連文献 (収集中、北岡までご連絡下さい)

●Asahi.com (2005). 血管が青いのはなぜ? ののちゃんのDO科学記事 2005年7月10日付け(と思われる)

「血は電球(でんきゅう)と違って自分では光(ひか)らないでしょ。だから、私たちが血の色だと思っているのは、外からあたった光の一部が血に反射(はんしゃ)したあと、目に届(とど)いた色なの。白い光で照(て)らしたとき、血からは赤い光の成分(せいぶん)が反射してきて赤く見えるのだけれど、同じ白い光で照らしても、皮膚や血管の壁を通して反射してくると、光の色は少し青っぽくなるというわけ。」

Changizi, M. A., Zhang, Q., Shimojo, S. (2006). Bare skin, blood and the evolution of primate colour vision. Biology Letters, 2, 217–221.

●土居元紀・来海 暁・西省 吾・富永昌治 (2013). 光学モデルに基づく青みを帯びた皮膚色のシミュレーション 日本色彩学会・視覚情報基礎研究会・第17回研究会発表会論文集, 15-18 (CSA-FVI-2013-15)

「蒙古斑の色はメラニン量が増すにつれ茶色から灰色に近くなる。青色にはならない。周囲の画像が色の見えに影響していることを示唆している。」

Edwards, E. A. and Duntley, S. Q. (1939). The pigments and color of living human skin. American Journal of Anatomy, 65(1), 1–33.

Findlay (1970) によれば、"MANY people seem to hold that blue colours in mammalian skin arise from a selective scattering of blue light rays by microparticles in the epidermis or dermis (Edwards and Duntley. 1939; Oettlé, 1958; Fox and Vevers. 1960). Except that it is a minor possibility, there is little to recommend this view."(p.10) とのことで、この論文は「皮膚が青く見える現象は青色光の散乱による」という立場であるとしている。

●榎本知朗 (2005). 静脈はなぜ青い 静脈はなぜ青い(補足) 東海大学医学部 選択必修科目 機能構造学のサイト (作成:2005年10月28日、最終更新:2009年2月27日、北岡のアクセスは2014年7月10日 )

「静脈が青く見えるのは、手前の組織で青い光だけが散乱され、残りの赤や緑の光が向こうの色素に吸収されてしまうからである。」

Findlay, G. H. (1970). Blue skin. British Journal of Dermatology, 83(1), 127–134.

Summary. Blue colours in the skin arise from a particular optical relationship between collagen and melanin which leads to a “subtractive colour mixing” in the light reflected from the dermis. (北岡注:「混色」と言っているので、肌の一部が青く見えるのは心理現象であると言っている) Unimportant in this type of colour production are scattering of light, the red-brown transmission colours of melanin, and the optics of the epidermis in general. (北岡注:肌の一部が青く見える現象においては光の散乱等はあまり重要ではないと言っており、心理現象の相対的な重要性を示唆している) In primates the blood pigments have an adjuvant effect in varying the blue colour. It is suggested that cyanosis may not always imply the presence of reduced or abnormal haemoglobin. The evolutionary significance of the dermal melanocyte system is briefly mentioned in relation to colour vision, and sundry metabolic, protective and socio-sexual functions.

酒井先生によると(2014年11月19日)、実際に青い分光反射率の測定結果が載っているのはこの文献だけである(ただし人造した表面であって生身の人間の肌ではない)。

平林純 (2014) 「赤い血」が流れてるはずの静脈が「青く」見える理由(納得したい人向け) 雑学回の権威・平林純の考える科学 2014年6月26日付け ウェブサイト

「「皮膚下部に静脈がある箇所の色」と「周囲の皮膚部分の色」を比べると、「皮膚下部に静脈がある箇所の色」は(周囲に比べると)青色光の強さは他の部分と同じくらい強く返ってくるのに、赤色の光は周囲よりも少ない量しか返ってこない…というわけで、「(近傍周囲と比較すると)皮膚の上から見た静脈が青色がかる」ということになります。」

平林純 (2014) 肌色絵の具と赤ボールペンで、「赤い血が流れる静脈が青く見える理由を実感してみよう! hirax.net 2014年7月18日付け http://www.hirax.net/diaryweb/2014/07/18.html#10724

「水に溶かした肌色絵の具を試験管に注ぎ入れ、その中に赤ボールペンの芯を入れてみます。赤ボールペンの芯は「脱酸素化ヘモグロビンにより暗赤色に見える静脈」を模しています。肌色の腕ならぬ肌色の(おそらく材料的にはミー散乱・レイリー散乱で模せる程度の)光拡散体に、暗赤色の静脈ならぬボールペンの芯を入れてみます。すると、肌色光拡散体の中に入れた赤ボールペン芯は、試験管表面近くにあると赤く見え、表面から離れて・内部にいくほど薄蒼色に見えてきます。静脈の深さ次第で(近傍周囲の反射スペクトルと比較して)蒼色光が多くなり・蒼色に見えたりすることや、血マメができた箇所が深くなると(皮膚表面からの距離が長くなると)青い血マメに見えてくるんだろうなぁ…と実感できたりします。」

Takanori Igarashi, Ko Nishino and Shree K. Nayar "The Appearance of Human Skin" http://www.cs.columbia.edu/techreports/cucs-024-05.pdf

北岡明佳 (2014) 世界一美しい錯視アート トリック・アイズ プレミアム カンゼン p.101 TEP-p101-veinilluionp.jpg

「皮膚の下の静脈は青く透けて見えます。しかし、写真を拡大してみるとわかりますが、物理的には青くありません。せいぜい灰色かあるいは「肌色」(赤みのある黄色の一種)です。そうです、静脈が青く見えるのは色の錯視だったのです。現象としては「色の対比」ということになります。より鮮やかな「肌色」に囲まれた灰色あるいは鮮やかさの少ない「肌色」の静脈に、「肌色」の反対色である緑みのある青が誘導されている、と考えるのが妥当です。」

北岡明佳 (2014) 色の錯視いろいろ (13) 静脈の色の錯視 日本色彩学会誌, 38(4), 323-324. PDF(スキャンコピー)

「「青筋」を広辞苑(岩波書店・第6版)で調べると、「青色の筋。特に皮膚の上から見える静脈」とある。ところが、「(皮下の)静脈は青くない。青く見えるのは錯視である」ということが、本コラムの主張である。実は、静脈は物理的には灰色か彩度の低い「肌色」(黄色あるいは赤みの入った黄色の色相)なのであった。」

●子供の科学・2010.11・滝沢美絵(筆) 血は赤いのに血管が青く見えるのはなぜ? 青い光が散乱されるため p.49 (Thanks to 酒井英樹先生)

「皮膚に入った光のうち、赤や緑の光は、ほとんどが静脈の血に吸収されてしまいますが、青い光は静脈にとどく前に、皮膚内のさまざまな粒によって散乱されてしまいます。」

Kienle, A., Lilge, L., Vitkin, I. A., Patterson, M. S., Wilson, B. C., Hibst, R. and Steiner, R. (1996). Why do veins appear blue? A new look at an old question. Applied Optics, 35(7), 1151-1160.

"To summarize, the reason for the bluish color of a vein is not greater remission of blue light compared with red light; rather,it is the greater decrease in the red remission above the vessel compared to its surroundings than the corresponding effect in the blue."
(静脈が青く見えるのは赤い光より青い光を多く送り出すからではない。血管の上ではその周囲に比較して、赤い光の送り出しの減少が青の光の送り出しの減少に比べて大きいからである。)

児玉 晃 (1970). 膚色の実際とイメージ(色彩心理と測色-8- 講座) テレビジョン, 24(6), 448-459

「病気の人の肌の色は健康な人の肌の色より彩度が低い」 というデータが載っているらしい(2014/10/27未確認)。

●毎日新聞・2005年11月23日・下桐美雅子(筆) なぞなぞ科学 赤い血が流れる静脈は、なぜ青く見える?

「室蘭工業大学の相津佳永助教授(現・教授)の測定によると、静脈の上の皮膚は赤みが少なく、周辺は赤みが多かったが、いずれも肌色であった。赤みが少ない分、相対的に青っぽく感じる。東京工業大学の山口雅浩助教授(現・教授)によると、光の散乱が関係している。赤い光は皮膚の奥まで届き、ヘモグロビンが赤い光を一部吸収するから静脈の赤みが少なくなる。 」

ニュートン 2014年9月号 静脈は青くなかった! 肌の下にすけて見える“青色”の静脈は,実際には灰色に近い肌色だった。 ●立命館大学プレスリリース 2014年6月25日 SCIENCE SENSOR p.7

●沼原利彦 (1999). 第1回デジタル医用画像の「色」シンポジウム パネルディスカッション 第2部:医療の最前線におけるデジタル画像の活用とその色処理 皮膚科領域から デジタルバイオカラー研究会 (Thanks to 山口雅浩先生)

「真皮では波長の長い(赤い)光ほど透過しやすく、短い(青い)光ほど散乱されやすい性質がある。このため、皮膚の浅い部分にある毛細血管拡張や苺状血管腫は鮮やかな紅に見えるが、やや深い部にある静脈や血管腫は青っぽく見える。メラノサイト関連の母斑(あざ)でも、母斑細胞が真皮表皮境界部に存在する境界母斑では褐色調に見えるが、真皮にある青色母斑はその名のごとく青色調に見え、真皮メラノサイトによる太田母斑や蒙古斑も臨床的に青みを帯びて見える。」 (北岡注: シミュレータで作成された色パッチが示されており、「青色調」と表現しているだけであって、物理的に青色だと認識しているわけではないことが分かる)

●鉅鹿明弘 (1967). 肌色 テレビジョン, 21(8), 534-540. https://www.jstage.jst.go.jp/article/itej1954/21/8/21_8_534/_pdf

「皮膚の色を光の選択吸収の面から色素的な要因に分けると次のようになる。 (1) 皮膚固有色(表皮深部の不透明ないし黄疽色) (2) 血液の透視による色彩(赤色ないし青色) (3) 皮膚色素(メラニン色素) (4) 皮膚中の異常色素(胆汁色素他)」
「静脈が青く見えるのは,毛細血管にくらべ血の量が多いため、吸収が大きく反射光がなくなり、より表面での光の散乱による青光が眼に入るからである。」

●酒井英樹 (2011). 当てにならない眼 ~記憶色~ AFTジャーナル, vol. 45 (Spring), 01.

「蒙古斑は物理的にはくすんだ茶色であるが、青く見える。これは記憶色の効果かもしれない。」

●酒井英樹 (2011). 皮膚の色が青く感じること(測色的には決して青くはない)に関して 研究ブログ http://researchmap.jp/jouxr4tl5-11411/#_11411 (2011年2月12日公開)

「英語のことわざからは、欧米人も顔が青ざめるという認識をしているのかどうかわからない。」

●酒井英樹 (2011). 血は赤いのに血管が青く見える不思議 研究ブログ http://researchmap.jp/joajrhiat-11411/#_11411 (2011年2月20日公開)

「皮膚に浮き出る血管や蒙古班は青く見える。しかし、測色機を使って測定したり、色票を使って視感測色をすると、実際には「茶色」である。色対比または記憶色で説明されるべき色の見え方と考える。」

酒井英樹 (2014). 蒙古斑および静脈の測色事例報告: 静脈錯視の理解のために 日本色彩学会誌, 38(6), 416-417.

島田美帆 (2000). 回帰分析法による皮膚のスペクトル解析 光散乱モデルを用いた皮膚と刺青の色評価に関する研究 平成12年度・筑波大学博士論文

http://www-linac.kek.jp/seminar/2004/shimadaOHP1.pdf
http://www-linac.kek.jp/seminar/2004/shimadaOHP2.pdf
平成13年度日本光学会奨励賞を受賞
http://osj-jsap.jp/publication/public/30-11-shoureishou1.pdf

●城岡啓二 (2002). 「青」とドイツ語の色彩語blauの色相差について 静岡大学人文学部人文論集, 52(2), A157-A167. CiNii (Thanks to 桑山哲郎先生)

「青筋というから静脈や血管の色なら青でなければならないというわけではなく、文学作品から用例を探してみると、「うすい紫の血管」(谷崎潤一郎:『痴人の愛』)、「乳房を走っている菫色の静脈」(安部公房:『砂の女』)のような例がある。同じように紫痣という言い方はないが、痣を紫色で記述することはある。「薄紫色に色褪せ消えかかっている痣」、「輪の形をした青紫色の痣」(吉行淳之介:『砂の上の植物群』)、「痛々しく、赤紫色に変色した痣」(北杜夫:『楡家の人びと』)・・・」

●鈴木恒夫 (2013). 肌の色が青く見えることに関する仮設の提案: 肌の色は本当に青いのだろうか 日本色彩学会・視覚情報基礎研究会・第16回研究会発表会論文集, 15-18 (CSA-FVI-2013-3) (北岡注: 「仮設」は「仮説」の誤りか?)

「刺青はもともと墨を入れていたので黒いはずであるが、青く見える。この測定はされていない。蒙古斑は分光反射率からすると青くない。周辺部位に比べ、明度が低く、さらに彩度が低下しているだけであり、色相的には変化していない。光の散乱説と知覚的対比説は否定される。肌の色は特別に扱っていると考えられる。別格に扱うものの、色領域全体の構造が反映する。」

Norimichi Tsumura, Nobutoshi Ojima, Kayoko Sato, Mitsuhiro Shiraishi, Hideto Shimizu, Hirohide Nabeshima, Syuuichi Akazaki, Kimihiko Hori, Yoichi Miyake, Image-based skin color and texture analysis/synthesis by extracting hemoglobin and melanin information in the skin, acm Transactions on Graphics, Vol. 22, No. 3.pp. 770-779(2003). (Proceedings of ACM SIGGRAPH 2003)

(肌の色をヘモグロビンとメラニンの各濃度でシミュレーション操作)

Why Veins Look Blue If blood is red, why do veins look blue? By Anne Marie Helmenstine, Ph.D. About.com Chemistry http://chemistry.about.com/od/lecturenoteslab1/a/Why-Veins-Look-Blue.htm (Kitaoka's access on July 1, 2014)

"Vein color depends on your perception. In part, you see veins as more blue than they really are because your brain compares the color of the blood vessel against the brighter and warmer tone of your skin. Arteries have muscular walls, rather than thin walls like veins, but they likely would appear the same color if they were visible through the skin."
(静脈の色は知覚に依存している。静脈の周りの明るい暖色と比較することで実際より青く見える。皮下にあれば、動脈も静脈と同様に見える。)

★実際に青い青色母斑と蒙古斑の例 http://www.tanpopokodomo-clinic.com/cgi-bin/case/siteup.cgi?category=4&page=5 (2014年7月12日アクセス)

http://www.tanpopokodomo-clinic.com/case/file/45/kabioshiri.jpg (その画像)

According to a friend of mine in German, they refer to the nobility as having blue blood. The nobility had particularly white skin because of no need to work and no exposure to the sun, so it must be some contrast effect. Thanks to Heiko.

Veins look blue too, which can be seen best with very white skin. The expression was used across Europe. As a consequence, it was meant to create closure of the noble classes, so that they could remain pure. Thanks to Mathieu.

<January 7, 2015>


青い静脈発見! いや、ただの青かぶりの写真のようです。

立命館大学NEWS立命通信社記者の吉増鮎さんと駒形美緒さんの静脈

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (August 5)


浜松ホトニクスの坂本 繁先生より、「青ひげ錯視」 のご提案がありました。

「男性の鬚の剃りあとは、皮膚表面に毛髪は残っていませんが、ひげを一本引きぬくと判るとおり、約10mmの毛が皮膚内部に残っています。 これにより、剃りあとは青く見えます。お坊さんや役者の頭も同様です。老人で髪がなくなった頭(ハゲ)は皮膚色ですが、若いお坊さんや、俳優の方で、剃髪したひとの頭は、その部分だけ青く見えます。毛髪の色素はメラニンですが、同じメラニンでも皮膚にあるメラニンでは、日焼けした人、黒人の人、の場合は青くは見えなくて、きちんと、健康的な褐色や黒色に見える、というのも不思議です。 」
<July 10, 2014>

ヒゲ隠しスティックの宣伝に色の錯視を発見。髭の生えるあたりの色相は黄色い(髭は暗いオレンジ色)ということを我々は知っているのですが、この絵では模式図に錯視を使って、「黄色の色相なのに青く見える」を実現しています! このデザイナーの観察力はすばらしい。この画像の載っているサイトはこちらです。 http://item.rakuten.co.jp/shop405/dr-1990/?scid=af_pc_link_mail&sc2id=323335659 (ラグディ すべ肌 ファンデ スティック 青ヒゲ隠し ライトベージュ 通販 (T1) apap8)(?)

<October 28, 2014>




2014年6月25日(水)の京都新聞朝刊で取り上げられた。

立命館大学のfacebookで紹介された。

立命館大学HPで紹介された。

Yahoo! ニュース・トップ・主要に

<June 25, 2014>


Yahoo! ニュース・トップ・科学に

<June 26, 2014>


2014年6月30日(月)のJSTのニュースで取り上げられた。


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 29)

立命館大学リサーチオフィス衣笠の柚木一さんの静脈


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (July 30)


A variant of color contrast illusion just resembles the vein color illusion.

The ring of each image appears to be bluish, though it actually is not. The left image consists of yellowish pixels and the right one is made up of red pixels.


The ring of the left image appears to be reddish, though it consists of cyan (greenish blue) pixels.


<cf. 色の対比「基本的図形」>

ある領域が別の色の領域で囲まれると、そこに囲んだ色の反対色が誘導される現象。灰色領域が青で囲まれると黄が誘導され(左図)、同じ灰色領域が黄で囲まれると青が誘導される(右図)。



*** 色の透明視は2種類ある。 ***


加法的色変換による色の恒常性錯視

The right eye appears to be cyan in the left panel, yellow in the middle panel, and red in the right panel, though in each panel the right eye is the same color (= gray) as the left eye.



乗法的色変換による色の恒常性錯視



Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (Septemner 2)


「立命館大学ののぼりの色の恒常性」
"Ritsumeikan flags"

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (November 30)

色の恒常性錯視デモ用のプリント用ファイル DOC


「本当は赤くないイチゴ」

この画像はシアンの色相でできているが、イチゴは赤く見える。 (sRGBに準拠した加法的色変換による)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 23)


元画像



「本当は赤くないイチゴ(2色法)」

この画像はシアンの色相でできているが、イチゴは赤く見える。 (sRGBに準拠した2色法色変換による)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 24)


「本当は赤くないイチゴ(赤・シアン軸2色変換後に加法的色変換法)」

この画像はシアンの色相でできているが、イチゴは赤く見える。 (sRGBに準拠した2色変換と加法的色変換による)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 24)



オリジナルの写真 (2011年@自宅)



透明度50%でシアンと合成した画像 (各ピクセルのRGB値はオリジナルの50%の値とシアンの50%の値を足したもの)



sRGBの値に基づく透明度50%でシアンと合成した画像 (各ピクセルのRGB値に対応する輝度はオリジナルの50%の値とシアンの50%の値を足したもの)




参考: 乗法的色変換でシアンのフィルターを透明度50%でかけた画像



参考: 乗法的色変換で赤のフィルターを透明度70%でかけた画像




Kitaoka, A. (2011). A variety of color illusion: (2) Color constancy and two types of color filters. Journal of Color Science Association of Japan, 35(3), 234-236 (in Japanese).


color constancy illusion



vein color illusion


Kitaoka, A. (2015). Color constancy and the vein color illusion. 38th European Conference on Visual Perception (ECVP) (Liverpool), Poster 2P1M060, August 25, 2015. Presentation (html) --- Poster (doc)



参考

sRGB 白色点 D65: x = 0.3127, y= 0.3290

R: x = 0.6400, y = 0.3300
G: x = 0.3000, y = 0.6000
B: x = 0.1500, y = 0.0600

<according to IEC 61966-2-1>


(再掲)

上図を 「逆変換」 すると下図となる。



Kitaoka, A. (2015). Color Illusions Accompanied by Color Constancy Phenomena. Demoes at the Exhibition, International Symposium on Psychological vs Mathematical Approaches to Optical Illusion (Tokyo Symposium on Optical Illusion 2015), Meiji University, Nakano Campus, Tokyo, Japan, March 5-7, 2015. Demo (PDF)


< 静脈錯視の応用 >



「静脈錯視を応用した静脈可視化ツール」

vein_visualization02JPEG.exe

Before (上) After (下)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2014 (April 27)



並置混色には2種類ある

Spatial color mixture: additive color mixture (top) and subtractive one (bottom)

加法混色


減法混色



Spatial color mixture: additive color mixture (left) and subtractive one (right)


Spatial color mixture: additive color mixture (left) and subtractive one (right)


Spatial color mixture: additive color mixture (left) and subtractive one (right)


Spatial color mixture with three colors: additive color mixture (top) and subtractive one (bottom)


Spatial color mixture with three colors: additive color mixture (left) and subtractive one (right)



オリジナル図


加法混色(左) と 減法混色(右)



Spatial color mixture with two colors (red and cyan): additive color mixture (left) and subtractive one (right)




オリジナル図
 


 

「黒い髪と服のおねえさんと白い髪と服のおねえさん」

髪と服はどちらも赤色とシアン色の縞模様でできていて同じであるが、減法混色か加法混色かの違いによってぞぞれ黒と白に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (July 15)



拡大画像






さらなる拡大画像







あしゅら男爵化




早変わり
(GIF アニメ)


「白い髪と服のおねえさんと黒い髪と服のおねえさん RGB」

髪と服はどちらも赤・緑・青の縞模様でできていて同じであるが、加法混色か減法混色かの違いによってそれぞれ白と黒に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (March 13)


「白い髪と服のおねえさんと黒い髪と服のおねえさん CMY」

髪と服はどちらもシアン・マゼンタ・イエローの縞模様でできていて同じであるが、加法混色か減法混色かの違いによってそれぞれ白と黒に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (March 13)


明るさの恒常性錯視との関係


加法混色                        減法混色

 

 

↓↑ 類似                        ↓↑ 類似

 

↑ 乗法的色変換(黒50% sRGB)             ↑ 加法的色変換(白50% sRGB)

 
(再掲)

 




「あしゅら男爵錯視」

髪と服は左半身と右半身がくっついていると同じ灰色であることがわかるが(左)、離れていると明るさが異なって見える(左が明るく右が暗く見える)(右)。コフカの環(下図A)と同型。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (September 5)

Bはベナリ図形


図地分離錯視との関係


(再掲)
 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 

左右とも髪と服は白と黒の縞模様でできていて全く同じであるが、左は白く見え、右は黒く見える。



 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 

左右とも髪と服は白と黒の縞模様でできていて全く同じであるが、左は白く見え、右は黒く見える。


「図地分離による明るさ錯視」・・・左右の円内は同じ縞模様であるが、左は白い円、右は黒い円が見える。


北岡明佳 (2012) 色の錯視いろいろ (6) 図地分離による錯視 日本色彩学会誌, 36(3), 237-238. PDF(スキャンコピー)


 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 

左右とも髪と服は黄と青の縞模様でできていて全く同じであるが、左は黄に見え、右は青に見える。



あしゅら男爵化




早変わり
(GIF アニメ)


アンダーソン錯視との関係


 

↓ グレースケールパターンで乗法的色変換   ↓ グレースケールパターンで加法的色変換

 

左右とも髪と服はグレースケールの雲模様でできていて全く同じであるが、左は白く見え、右は黒く見える。

 



Anderson's illusion

Anderson, B. L. and Winawer, J. (2005) Image segmentation and lightness perception. Nature, 434, 79-83.

The inset surrounded by the darker background appears to be lighter than the same pattern surrounded by the brighter background.

See Bart's Homepage

(Lightness scission)



The chromatic Anderson's illusion is possible.

Wollschläger, D. and Anderson, B.L. (2009) The role of layered scene representations in color appearance. Current Biology, 19, 430-435.

The inset surrounded by the bluish background appears to be yellowish while the inset surrounded by the yellowish background appears to be bluish.


Chromatic Anderson's illusion does not depend on colour contrast, as shown below.


"Australia seen from space and dust storm over Australia"

The two Australia shapes are physically the same color and texture, but the left Australia appears to be reddish while the right one appears to be bluish with red dust storm blanketing it. This effect depends on the chromatic version of Anderson's illusion.

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (September 25)

Anderson, B. L. and Winawer, J. (2005) Image segmentation and lightness perception. Nature, 434, 79-83.

Wollschläger, D. and Anderson, B.L. (2009) The role of layered scene representations in color appearance. Current Biology, 19, 430-435.

(Colour scission)


 

↓                            ↓

 


ホワイト効果との関係

オリジナル図
 

↓ 乗法的色変換(黒50%)             ↓ 加法的色変換(白50%)

 

↓ 等間隔に白線を乗せる             ↓ 等間隔に黒線を乗せる

 



ホワイト効果(White's effect)・・・左右の灰色は同じであるが、左半分の方が明るく見える。

White, M. (1979) A new effect on perceived lightness. Perception, 8, 413-416.





逆ホワイト効果との関係

 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 




 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 


逆ホワイト効果(inverted White's effect)・・・・・・左右の灰色は同じであるが、左半分の方が明るく見える。

Ripamonti, C. and Gerbino, W. (2001) Classical and inverted White’s effects. Perception, 30, 467-488.

cf.

ホワイト効果(White's effect)・・・左右の灰色は同じであるが、左半分の方が明るく見える。




要するに



ムンカー錯視との関係

Munker illusion: standard

The left heart appears to be red-purple while the right one to be orange, though they are the same red.

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (June 2)


ムンカー錯視の作り方


Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. München: Habilitationsschrift.

ムンカー錯視のページ




「4種類の色の錯視の作り方」

物理的に同じ色(R=255, G=0, B=127)のハートが錯視によってピンクとオレンジのハートに見える。左から、ムンカー錯視(Munker illusion)、色の土牢錯視(chromatic dungeon illusion)、ドット色錯視(dotted color illusion)、デヴァロイス・デヴァロイス錯視(De Valois-De Valois illusion)である。 上図の高解像度ファイルはこちら(8000 x 3262 pixel, 10MB)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 1)

References

Munker illusion Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. Habilitationsschrift, Ludwig-Maximilians-Universität, München.
chromatic dungeon illusion For the dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.
Kitaoka (2007) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saishin22e.html
dotted color illusion For the dotted brightness illusion: White, M. (1982) The assimilation-enhancing effect of a dotted surround upon a dotted test region. Perception, 11, 103-106.
Kitaoka (2008) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/color10e.html
De Valois-De Valois illusion De Valois, R. L. and De Valois, K. K. (1988) Spatial Vision. New York: Oxford University Press.


北岡明佳 (2012) 色の錯視いろいろ (4) 簡単で錯視量の多い色相の錯視図形の作り方 日本色彩学会誌, 36(1), 45-46. PDF(スキャンコピー) <配布資料>


ムンカー錯視との関係

オリジナル図
 

↓ 等間隔に青線を乗せる             ↓ 等間隔に黄線を乗せる

 


Supposed continuity of spatial color mixture and the Munker illusion. Black hearts appear to be red or cyan in the additive color mixture image (leftmost panel), while white hearts appear so in the subtractive color mixture image (rightmost panel). Moreover, gray hearts appear to be reddish or like cyan in the Munker illusion image (middle panel).


Red and cyan hearts with the additive color mixture


Red and cyan hearts with the subtractive color mixture

Red and cyan hearts with the Munker illusion


RGB並置加法混色とムンカー錯視の類似性
Similarity between additive color mixture and the Munker illusion


CMY並置減法混色とムンカー錯視の類似性
Similarity between additive color mixture and the Munker illusion



「加法混色の並置混色によるムンカー錯視の説明図」

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (March 22)




「減法混色の並置混色によるムンカー錯視の説明図」

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (March 22)



「水色と黄緑の渦巻き」
(リメーク)

水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2003, 2015 (July 28)


「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」

渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)


色の土牢錯視 (Chromatic dungeon illusion)

「犬」

赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン  別バージョン2

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)

「四色の犬」

上から1番目と3番目の列の犬は2種類、2番目と4番目の列の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ色である。色の土牢錯視である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)



土牢錯視(dungeon illusion)(Bressan, 2001)とは?

左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


色の土牢錯視とは?

左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。

引用文献は調査中(ないかもしれない)

色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。


色の錯視の一覧(Color illusion)


北岡明佳 (2016) 「ふしぎな錯視 ―錯視をデザインに活かす―」 (2016年色彩検定協会セミナー・2016年2月20日(土)大阪(色彩検定 協会 新大阪研修室)・21日(日)東京(TKP東京日本橋カンファレンスセンター)・いずれも14:00-16:30・色彩検定協会(元 A・F・T)) 発表に使用したウェブページ


 

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北岡明佳の錯視のページ