関西若手研究会
日時:2008年7月5日(土)13:00~16:30
場所:立命館大学衣笠キャンパス清心館503(地下教室)

「錯視

下記を改変・再上演


れる

静岡博物館る・くる 9階・イベントホール 2008年2月10日(日) る・く・る錯覚ワールド

北岡 明佳(立命館大学 文学部 心理学専攻email

2008年7月4日より


「メタボ錯視」

太ると背が低く見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (June 15)


動きの錯視

「立命館の錯視」

図を動かすと、動かした方向に青色の英文が動いて見える。見慣れると、黄色の英文も動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

文献

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035.

(配布物)


これが元。


「蛇の回転」

蛇の円盤が勝手に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2003 (September 2, 2003)

(配布物)


蛇の回転と年齢が指摘されています。よろしければ、調査にご協力下さい。

この錯視が見えなかった方へ。個人差ですので、心配しないで下さい。錯視が見えた方がたぶん面白いのですが、仕方ないです。私にも、言われている通りに見えない錯視があります。どうぞ、他の見える錯視を楽しんで下さい。


 「今回のデータ(東大・数理のフォーラムの来場者の皆様)に、前回のデータ(立命館大学の情報処理心理学 I の受講生の皆様)、前々回のデータ(仙台育英高校の皆様)、前々々回のデータ(尼崎の高齢者の皆様)、前々々々回のデータ(難波市民センターの皆様)、前々々々々回のデータ(放送大学面接講義の皆様)を込みにすると、下図のようになった。若い人のデータで「よく動いて見える」と回答した人が多かったのと、高齢者に「動いて見えない」という回答が少なくなかったことから、「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は r = -.46 と絶対値が大きく、この相関は統計学的に有意(p < .01)であった。「若いとみんな見えて、トシを取ると見えなくなる」という関係にあるわけではないが、サンプル数が十分あると無視できない強さで逆相関が現れる(しかも、その年齢に関係した性質の強弱は生活の質にはまったく影響がない)ということが、ほぼ確実になった。何を意味しているんだか・・・ 少なくとも、老化とは関係がない。


評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。


結果は、錯覚ニュース8に掲載いたします。


「ウミヘビの回転」

ウミヘビのリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (April 4)

かげろう錯視2


「灌漑2」

流れのように動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (October 28)


「ぶどうの波」

ぶどうが波打って動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 20)


「打ち上げ」

金属的なものが迫ってくるように見える。丸を除くとすべての線は垂直・水平に描かれているが、中央部は外に凸に見えるように傾いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 20)



(北岡による勝手な)
最適化型フレーザーウィルコックス錯視の最新の分類

(VSS DemoNight 2007)


参考 北岡明佳著 「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」


Type I

「タイムトンネルショー」

リングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (February 24)


Type III

「ジグザグ虫」

上から一番目と三番目のブロックは右に、二番目と四番目は左に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 16)


中心ドリフト錯視

「サクラの回転」

(リメーク版)

サクラの花びらのリングが回転して見える。外側は反時計回り、内側は時計回りである。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (1/26)


「滝」

滝が落ちるように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (April 13)


「ミサイル」

上の列は右に動いて見え、下の列は左に動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (July 5)


「逆進」

矢印の方向と反対方向に矢印が動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (September 7)


「海流」

上から3本ずつ水平線は左・右・左・右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「『顔ガクガク錯視』はさかさま顔では弱い」

左図を見ると、4つ目で口が2つの女性というよりは、観察者の目が落ちつかないかのように、図がガクガクして見える。 すみませーん、この錯視、名前はありますか? 知っている方は文献を教えて下さい。 →北岡にメールする  この「顔ガクガク」錯視は、さかさま顔では弱い(右図)ので、顔特有の錯視であろう。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 10)

上下で目の大きさが違って見えるのは、ジャストロー錯視。なお、上下で口の大きさが違って見える錯視は、ジャストロー錯視とは言いにくい。 サッチャー錯視のページはこちら


さらに分析:
 「顔ガクガク錯視」は目だけでは起こらないようであるが、口を正しい位置につければ起こるようである。さらに顔の輪郭をつけると錯視量が増大するようである(下図参照)。


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「顔ガクガク錯視」については、double vision と呼んでいる充実したサイトがあるという報告がありました(Sさん、ありがとう)。double vision あるいは diplopia は日本語では複視と訳され、ものが二重に見える病気のことです。

しかし、顔ガクガク錯視は病気ではないので、複視ではありません。複視ではなく、複視的錯視(illusion of double vision)とか呼ぶのなら、OKと思います。複視的錯視は、オオウチ錯視や蛇の回転などと同様の静止画が動いて見える錯視の一種です。

いずれにしましても、だれが最初にこの現象を発見したのかを知りたいので、さらに情報を求めます。よろしくお願い致します。 <2008年1月12日>

オオウチ錯視

「蛇の回転」(一部)


「横方向の顔ガクガク錯視」

4つ目で口が2つの顔というよりは、観察者の目が落ちつかないかのように、図が横方向にガクガクして見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 26)

さかさまにすると錯視量が少ないようなので、これも顔の錯視と考えられる。


「顔ガクガク錯視は目と口の両方が開いている時に最大」

目と口が多い顔というよりは、観察者の目が落ちつかないかのように、図が縦方向にガクガクして見える。目と口が両方に開いている顔の錯視量が多いようだ。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 5)



目と口の両方とも開いていないと、顔ガクガク錯視は比較的弱い?



こう微妙な差となると、心理量(錯視量)の測定が必要。


「秋の沼」

中の正方形領域が動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2000, 2003, 2007


「神経回路」

中心を見ながら目を近づけたり遠ざけたりすると環状の星の配列がお互いの反対方向に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2000
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)

Yジャンクションの錯視

縞模様コードの錯視

配布物  北岡明佳 (2005) 目の冒険・錯視の話⑤ 自分で作って「傾く」「動く」 朝日新聞, 2005年7月31日発行 be on Sunday, p7.


「マクドナルド」

黄色のバーが左右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (November 3)


「蛇の詰め合わせ」

内側の正方形領域が動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (November 4)


「サクラソウの畑」

背景の市松模様はすべて正方形だが、波打って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2002


オオウチ錯視(Ouchi illusion)
(Ouchi, 1977; Spillmann et al., 1986)

内側の円領域が動いて見える。

Ouchi, H. (1977) Japanese optical and geometrical art. Mineola, NY: Dover.

Spillmann, L., Heitger, F. and Schuller, S. (1986) Apparent displacement and phase unlocking in checkerboard patterns. Paper presented at the 9th European Conference on Visual Perception, Bad Nauheim


関連した学会発表

Kitaoka, A. and Murakami, I. (2007) Rotating Ouchi illusion. Poster presentation in VSS2007, Sarasota, Florida, USA, May 15, 2007. Abstract (MS-Word) VSS2007 Abstract (including all) (PDF) new!

配布物  回転オオウチ錯視のプリント (立命館大学の心理学研究法IIの講義用プリント)


床屋のポールの錯視(barberpole illusion)


運動視を司る領域と考えられる MT+ 野 (この図ではMT/V5)

from: Logothetis, N.K. (1999). Vision: a window on consciousness. Scientific American (November), 281, 44-51.


色の錯視

「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」

渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)


「水色と黄緑の渦巻き」

水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。この色の錯視はモニエ・シェベル錯視に近いと思うが、彼らの理論には合わないのかもしれない。

Copyright A.Kitaoka 2003


「緑の渦巻き」

黄緑の螺旋と青緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ緑である。

Copyright A.Kitaoka 2002
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)


「赤の渦巻き」

赤紫がかった赤い螺旋とオレンジ色がっかった赤い螺旋があるように見えるが、どちらも同じ赤である。

Copyright A.Kitaoka 2002
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)


「青と黄の渦巻き・昼と夜」

左の青と黄の渦巻きは鮮やかに見えるが、右のはダルに(鮮やかさが少なく)見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 8)


「ムンカー錯視」

上の列にはオレンジ色と赤紫色の赤があるように見えるが、同じ色である。下の列は黄緑と青緑の2色があるように見えるが同じ色である。ホワイト効果の色相版である。

ムンカー錯視


「小家族」

左の鳩も右の鳩も同じ色なのだが、左の方は黄味がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


「ピンクと緑の渦巻き 2」

この図の渦巻きは、マゼンタ(明るい赤紫)(R=255, G=0, B=255)、シアン(水色)(R=0, G=255, B=255)、白(R=255, G=255, B=255)、灰色(R=225, G=225, B=225)からできているが、ピンクと緑の渦巻きがあるように見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 13)


「武田信玄」

薄い黄色と濃い青色の渦巻きがあるように見えるが、左半分は白(R=255, G=255, B=255)と黒(R=0, G=0, B=0)であるのに対し、右半分は黄(R=255, G=255, B=0)と青(R=0, G=0, B=255)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)

「風林火山」

「武田信玄」の白黒黄青と同じであるが、この図では違いがはっきりわかる。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


「水色と黄緑色のハートの絨毯」

水色のハートと黄緑色のハートがあるように見えるが、どちらも同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「水色と黄緑色のハートの絨毯(部分)」

水色のハートと黄緑色のハートがあるように見えるが、どちらも同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「四色の犬」

上から1番目と3番目の列の犬は2種類、2番目と4番目の列の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ色である。色の土牢錯視である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)

参考  北岡明佳著 「トリック・アイズ デザイン」


「犬」

赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン  別バージョン2

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)

土牢錯視(dungeon illusion)(Bressan, 2001)とは?

左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


色の土牢錯視とは?

左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。

引用文献は調査中(ないかもしれない)

色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。

次の犬年は11年後か・・・


「ぐるぐる 6」

それぞれの同心円の内側の4つのリングは同じ色であるが、違う色に囲まれると異なって見える。画面から離れてみた方が効果が大きい。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 15)


「酒井の色の対比」

上の正方形の列は同じ灰色に見えるが、左の5つの正方形と右の5つの正方形を入れ換えて下の列に並べてみると、かなり違っていることがわかる。一番下の2つの正方形は外に出してみたところで、左の緑の正方形は右上の5つの正方形と同じで、右のピンクの正方形は左上の5つの正方形と同じである。誘導背景の色に最大の彩度を用いないことがポイントであった。

酒井香澄(「Landの二色法による色再現とBelseyの仮説検証」立命館大学文学部哲学科心理学専攻2002年度卒業論文)の発見をベースにしている。


明るさの錯視

「ロボット」

左の円が右の円よりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (December 10)


「発光石」

切り口が光って見えるが、物理的な明るさは周囲の白と同じである。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (January 6)

cf. Logvinenko, A. D. (1999) Lightness induction revisited. Perception, 28, 803-816.


ログヴィネンコ錯視

明るいひし形の列と暗いひし型の列が交互に並んでいるように見えるが、同じ明るさである。

Although gray diamonds are identical, there appear to be light-gray ones and dark-gray ones.

Logvinenko, A. D. (1999) Lightness induction revisited. Perception, 28, 803-816.


有名な、エーデルソン先生のチェッカーシャドー錯視


「水銀」

中の正方形の内側がやや灰色がかって見えるが、外側と同じ白である。水彩効果のモノクロ版である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (March 31)

watercolor effect:

Pinna B, Brelstaff G, Spillmann L, 2001 "Surface color from boundaries: a new `watercolor' illusion'' Vision Research 41 2669-2676
Pinna B,Werner J S, Spillmann L, 2003 "The watercolor effect: a new principle of grouping and figure-ground organization'' Vision Research 43 43-52

水彩効果の盛り合わせ


形の錯視

「クッション」

すべて長方形か正方形でできているが、丸みや立体感が感じられる。

Copyright A.Kitaoka 1998

市松模様錯視


「カメの回転」

カメの集団が回転して見える。そのほか、左右に動いて見える錯視や、垂直・水平に並んだエッジが傾いて見える錯視もある。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 19)

縁飾りエッジの錯視


「箱入り娘」

(箱に入っているように見えるという意見があり、「箱入らず娘」改め)

正式名称は 「蛇の回転入りシェパード錯視」)

左の人は右の人よりもスマートに見えるが、両者はまったく同じ形で同じ大きさの絵である。この錯視は、左の人が描かれている平行四辺形と右の人が描かれている平行四辺形は同じ形で同じ大きさであるという錯視(シェパード錯視)に同化した(キャプチャされた)ものと考えられる。そのほか、左の人は本を見ているように見えることがあるが、右の人はこちらを見ているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (June 20)

シェパード錯視(Shepard illusion or table-top illusion):

Shepard, R. N. (1990) Mind sights: original visual illusions, ambiguities, and other anomalies, with a commentary on the play of mind in perception and art. New York: Freeman. (R.N.シェパード著、鈴木光太郎・芳賀康朗訳 (1993) 視覚のトリック:だまし絵が語る「見る」しくみ 東京:新曜社)


「滑走路」

左右同じであるが、右の方が垂直からの傾きが大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)

ピサの斜塔傾き錯視と同じメカニズム?


インターネットではやっているアスキーアートの一例

(オレが作者だ、という方は名乗り出て下さいな →北岡にメールを送る


下図は北岡作

「安全工学傾き錯視」

「安全工学」文字列は右上がりに見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 15)

少し動いて見えるような気も・・・


新井先生のページ(文字列が傾いて見える錯視のおそらく最初の研究レポートを含む)

小原未紗 (2005) 文字列が傾いて見える錯視における水平成分の役割 立命館大学文学部(心理学専攻)2005年度卒業論文




ポップル錯視

Popple, A. V. and Levi, D. M. (2000) A new illusion demonstrates long-range processing. Vision Research, 40, 2545-2549.

Popple, A. V. and Sagi, D. (2000) A Fraser illusion without local cues? Vision Research, 40, 873-878


「タイガース螺旋」

黒い太線は同心円であるが、右に回って中心に向かう渦巻きのように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2003
redrawn on July 14, 2006


「ドラゴンリング」

中心を見ながら図に目を近づけると、内側のリングは反時計回りに回転して見える。この時、外側のリングは時計回りに回転して見える人もいる。図から遠ざかるときには、内側のリングは時計回りに回転して見える。その時、外側のリングは反時計回りに回転して見える人もいる。そのほか、内側のリングは、反時計回りに回転して中心に向かう渦巻きの一部に見える。その反対に、外側のリングは、時計回りに回転して中心に向かう渦巻きの一部に見える。赤い部分が動いて見える錯視もある。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (June 25)


「渦巻きの詰め合わせ」

同心円のリングが渦巻きに見える。ついでに回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 13)


ミュラー・リヤー錯視

同じ長さの線分の両端に矢羽を付けた場合、内向きに付けると線分は短く見え(上図),外向きに付けると線分は長く見える(下図)。錯視量が非常に多い大きさの錯視である。

幾何学的錯視(形の錯視)のカタログ(配布物)


顔の錯視

「ウォラストン錯視・クリスマス2007版」

左の顔はこちらを見ているように見えるが、右の顔は向かって右の方向を見ているように見える。しかし、絵としては、両者とも同じ目である。この錯視を視線方向の錯視(Wollaston, 1824)という。なお、原画は若いお兄さん

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 21)

Wollaston, W. H. (1824) On the apparent direction of eye in a portrait. Philosophical Transactions of the Royal Society of London, B114, 247-256. (下記山口先生の解説から孫引き)

山口真美 (2006) 乳児に視線はどう見えるのか? 心理学ワールド, 34(特集・視線とコミュニケーション), 5-8.


「上下方向のウォラストン錯視・改良版」

左の顔の目はこちらを見ているように見えるが、右の顔の目はやや上の方向を見ているように見える。しかし、絵としては、両者とも同じ目である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 26)


「視線方向が変わって見えない画像変換」

顔画像を横長・縦長あるいは平行四辺形の形に変換しても、視線方向はあまり変わって見えない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 19)

「視線方向が変わって見える画像変換」

顔画像を平行四辺形以外の形(たとえば台形)に変換すると、視線方向はその奥行き手がかり示す方向に変わって見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 19)

(下辺が上辺より短い台形の場合は例外かも)


「安藤新樹先生の充血錯視のイラスト版」

輝度に誘導された視線方向のずれ効果(luminance-induced gaze shift)あるいは充血錯視(bloodshot illusion)(Ando, 2002)。白目の部分を暗くすると、暗くした方向に視線がずれて見える。3つの図は赤い部分を除いて同一であるが、左の図は向かって左方向を、中央の図は正面を、右の図は向かって右方向を人物が見ているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 15)

Ando, S. (2002). Luminance-induced shift in the apparent direction of gaze. Perception, 31, 657-674.


「目の輪郭による視線方向の錯視」

3つの図は、目の(上まぶたの)輪郭を除いて同一であるが、左の図は向かって左方向を、中央の図は正面を、右の図は向かって右方向を人物が見ているように見える。視線の方向は、顔における黒目の位置ではなく、目の輪郭の中の位置の情報が重要であることがわかる。(ん、あたりまえか?)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 17)


「プルキンエ・サンソン像による視線方向の錯視」

3つの図は、プルキンエ・サンソン像(Purkinje-Sanson image)(黒目の中で強く光っているところ)を除いて同一であるが、左の図は向かって左方向を、中央の図は正面を、右の図は向かって右方向を人物が見ているように見える傾向がある。プルキンエ・サンソン像の方向に、みかけの視線方向が寄る現象である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 17)

絵描きや漫画家は自明のごとく知っている現象で、錯視というほどでもないかもしれない。


「スリムな人の背丈の過大視」

すべての人物の上半身の高さは同じであるが、右にいくほど、すなわちスリムな方ほど、背が高く見える。逆に言えば、太った人は実際より背が低く見える。なんということだああ。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 17)



実はこの錯視は「頭の高さの錯視」として、私は顔の錯視と考えていたのであるが、顔知覚に特有ではなく、一般的な幾何学的錯視であることがわかった(下図)。

「楕円の長軸の過大視」

すべての円と楕円の高さは同じであるが、右にいくほど、つぶれた楕円ほど、長軸が長く見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 17)


「さかさま顔の過大視」

上下の顔の大きさは同じであるが、下の方が大きく見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (February 16)

cf. 上視野の過大視、サッチャー錯視




さかさま顔を上に置いても

さかさま顔が大きく見える。


だまし絵

「立命館湖」

立命館大学衣笠キャンパスが水没したように見える。

Copyright A.Kitaoka 2004 (August 14)

ここが水没するようでは京都市街全域水没で~す。もちろん大阪も、神戸も。

実際の風景



北岡の主張: 錯視デザインとだまし絵(あるいはトリックアート)は、アートしては同種で1)、サイエンスとしては別種である2)


1) 錯視デザインとだまし絵は、作品の目的は視覚のメカニズム自体を表現することである。

2) だまし絵は(狭義の)錯視を使っていない!


だまし絵の解説が出た。 <2007年7月13日>

北岡明佳 (2007) だまし絵のつくり方教室 現代のエスプリ(仁平義明(編)「嘘の臨床・嘘の現場」), 481(2007年8月号), 141-155.


1. うかし絵 (陰影による立体感と空間知覚 Shape and space perception from shading and shadowing) → 「トリックアート」によく使われている。

「隠されたジャストローの台形錯視」

上の図の台形が下の図の台形よりも大きく見える(ジャストローの台形錯視)がこれにすぐには気づかないのは、影が物体の空間位置の知覚に及ぼす効果のデモンストレーション(影の位置が違うだけなのだが上図では球が浮いて見える)に注意が取られてしまうためであろう。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 29)


2. むりな絵 (不可能図形 impossible figure)

「心的回転実験用不可能図形」

2004/5/8

ペンローズの三角形(Penrose's triangle)

「昼と夜の柱」

面の向きが変わり、図と地も入れ替わる不可能図形である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 24)


3. かえし絵 (反転図形 reversible or ambiguous figure)

古典的な例

「メールボックス」

メールボックスの見えとして、右上から見たもの、右下から見たもの、左上から見たもの、左下から見たものの4つの見えが入れ替わる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 21)

図が左右に拡大して見える錯視もある。

「ルビンの盃・光沢とメガネ付き」

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 24)

フィッシュガール(三輪みわ)

シルエット錯視(茅原伸幸)

「マリリンシュタイン」(Marylin Monroe-Einstein hybrid image)(Aude Oliva)


4. さかさ絵 (Upside-down figure)

「おねえさんと怪人」

和洋を問わず昔から人気のある顔の逆さ絵である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 7)

この図は動画です。しばらくお待ち下さい。


5. かくし絵 (Hidden figure)


「十字隠し電球」

右の図に左の図のような十字形が隠れているが、気づくのに時間がかかる。「よい連続の要因」というゲシュタルト心理学の法則を用いた隠し絵。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 25)






「クイズ式隠し絵」

この種のクイズは結合探索課題タイプの隠し絵です。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 29)


だまし絵的、錯視的扱いの視覚現象

ステレオグラム

「秋の沼の波3D」

平行法でも交差法でも図が波打って見える。

Copyright Akiyoshi.Kitaoka 2006 (August 22)


仮現運動


1フレーム 200ms

「仮現運動・その3」

1回あたりの回転角が小さくなると(この動画では22.5º)、回転が優位になり、往復運動は見えにくくなる(北岡は500msの方は往復運動優位である)。回転は自動的に反転して見えるとともに、好きな方向に転換させることもできる。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (July 26)


1フレーム 500ms


運動残効

「青い目の女の子の運動残効2」

この動画では「目」が時計回りに2秒間回転、2秒間静止を繰り返している。静止している時、目は時計回りに回転して見える。両目の中間に視線を置いている時は目の内側が回転して見え、さらに周辺視で見ると目は全部回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (March 1)


運動残効の標準的デモ


変化の見落とし








「変わったのはどこ?」

2枚の画像が切り替わるたびに、1箇所だけ変化する。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (May 24)




ステレオフューズすれば一発でわかる(該当部分が視野闘争する)。




それでもわからない人向けの動画


「不変化」の見落とし







「変わらないのはどこ?」

Only one image does not change. Which is it?

2枚の画像が切り替わるたびに、8つのうち1つだけ変化しない。それはどこ?

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (May 26)










ブランクなしならすぐわかる。
No change is readily detected without blank.



「おばけ」(motion line)

Apparent movement with speed lines (motion lines)

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (March 2)


「高速どんぐるりん」

どんぐりの輪が高速に回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (February 16)

普通の「どんぐるりん」↓

+



「蛇のフィギュアスケート」

円盤が高速で回転しているように見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (February 22)



●錯視とは視覚性の錯覚のことであり、錯覚とは実在する対象の真の特性とは異なる知覚のことである。

●錯視には、形の錯視(幾何学的錯視)、明るさの錯視、色の錯視、運動視の錯視などがある。だまし絵なども錯視に含められることがある。

●生存の役には立たないと思われる現象ほど錯視と呼ばれやすい。

●錯視は、錯視量が多いほど「美しい」。しかし、その科学的根拠は不明である。

錯視全般の分類(ウェブページ)   錯視のカタログ(ウェブページ)  北岡の錯視本(ウェブページ)



目次

「2 明るさと色の錯視」のキューブの図は、Purves先生の図です。

「3 あらわれたり消えたりする錯視」の図は、きらめき格子錯視(scintillating grid illusion)(Schrauf, Lingelbach and Wist, 1997)の基本図形です(北岡作画)。

Schrauf, M., Lingelbach, B. and Wist, E.R. (1997) The scintillating grid illusion. Vision Research, 37, 1033-1038.

「5」と「6」の図は、ニュートン編集室のデザインです。


 

まとめ

錯視にもいろいろ種類があって、その研究は楽しい。

ご清聴ありがとうございました。



北岡の顔
(見るほどのものではない)

京都の風景
(観光の参考に)

立命館の風景
(受験するなら立命館)


 北岡明佳の錯視のページ 


 関西若手研究会発足のお知らせ <2008年6月11日>


今回,関西の学生を中心にして自由に議論と人脈作りができる場として,関西の若手研究者による研究会を開催することにいたしました。研究会のテーマは,実験心理学(知覚・認知)一般です。

ご参加に事前の連絡などは不要です。よろしければ参加をご検討ください。また周囲の方にお知らせくだされば幸いです。

関西若手研究会では次の要領で研究会を開催します。

日時:2008年7月5日(土)13:00~16:30
場所:立命館大学衣笠キャンパス清心館503(地下教室)

http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/koho/annai/profile/access/kinu_l.html
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/koho/annai/profile/campus/kic.pdf

プログラム:
■13:00-13:30
「事前確率を用いた探索打ち切り時間の最適化」
○石橋和也・喜多伸一

(神戸大学大学院人文学研究科)

■13:30-14:00
タイトル未定
○本郷由希
(神戸大学大学院人文学研究科)

□14:00-14:20 休憩

■14:20-14:50
「盲点における曲線補完の異方性」
○蘭悠久
(立命館大学文学部・西九州大学)

■14:50-15:20
「内因的注意が前景と背景の変化検出に及ぼす影響」
○嘉幡貴至・松本絵里子
(神戸大学大学院国際文化学研究科)

□15:20-15:40 休憩

■15:40-16:30
招待講演
「錯視いろいろ」
○北岡明佳
(立命館大学文学部)

以上,皆様のご参加をお待ちしております。
ご質問などがある場合は,お気軽にお問い合わせください。

問合せ先:   石橋和也(神戸大学)
       Email: isibasi(atmark)lit.kobe-u.ac.jp