坂道錯視 8
上り坂が下りに見えたり、下り坂が上りに見えたりする坂、あるいはその錯視のこと。これらの錯視は、俗に、おばけ坂、幽霊坂あるいはミステリー坂という(例:カナダにある「磁石の丘」、Wikipedia)。学術的には、縦断勾配錯視という(今井省吾 (1971) 道路の縦断勾配の錯視 東京都立大学人文学報, 83, 13-28)。坂道錯視は、さらに、左右方向の傾き錯視も含む。実例はたくさんありそうであまりない。 <坂道錯視の写真募集中。だれも応募したことはないが・・・>
2013年2月13日より
種子島の「中種子町納官(なかたねまち のうかん)深久保の錯視の坂」の実地調査
調査日:2013年2月2日(土) 調査員:北岡明佳と對梨成一 研究資金:科研費、R-GIRO
中種子町の錯視の坂
この坂は手前から奥に向かって下り坂(勾配は0.9度)なのだが、上り坂に見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 17) 撮影日は、2013年2月2日(土)、以下同様
中種子町の錯視の坂・水平線付き
手前の坂は上り坂に見えるが下り坂である。下図がその証拠で、手前の坂の両端の延長線の消失点は水平線よりも下に来る。
サトウキビ畑の切り通しの形も錯視に寄与していそうである。
サトウキビの刈り方と林のシルエットも錯視に寄与しているかも。この写真では道路は左に下がっているのだが、左に上り坂に見える。
サトウキビ畑の切り通しがよく見えないこの位置からでも、下り坂が上り坂に見える。
これが海に向かっての下り坂というのはないよな。
写真で確認しても下り坂である。もし上り坂なら、消失点(赤線の交点)は水平線よりも上になければならないからである。
手前の坂は緩い上り坂(0.9度)、奥の坂は急な上り坂(5.7度)であるが、手前の上り坂は下り坂に見える。
手前の坂は緩い上り坂(0.9度)、奥の坂は急な上り坂(5.7度)であるが、手前の上り坂は下り坂に見える。
手前の坂は急な下り坂(5.7度)、奥の坂は緩い上下り坂(0.9度)であるが、奥の下り坂は上り坂に見える。
(對梨研究員撮影)
手前の坂は急な下り坂(5.7度)、奥の坂は緩い上り坂(0.9度)であるが、奥の下り坂は上り坂に見える。
近所の人の話によると、「ゆうれい坂」という看板があるとのことであったが、どこにもなかった。看板そのものがゆうれいであった可能性がある。
北岡の反省点 ・・・ クレストの下方から緩い坂を撮影しておくんだった(上り坂が下り坂に見えたはず)。クレストの下方の急な坂の勾配も測定しておくのだった。というわけで、また種子島に行こうっと。
同時に調査 坂道錯視9 (種子島、南種子町の錯視の坂)
坂道錯視7 (熊本県天草郡苓北町志岐山の木山弾正無念坂とお京坂)
坂道錯視6 (京都府南丹市美山町田歌の坂上りの川)
坂道錯視5 (福岡県遠賀郡岡垣町内浦のゆうれい坂)
坂道錯視4 (福岡県久留米市田主丸の坂上りの水)
坂道錯視3 (青森県三戸郡階上町の後戻り坂)
坂道錯視2 (岩手県花巻市東和町のミステリー坂)
坂道錯視1 (屋島のミステリー坂を含むいろいろ)
番外編 中種子町の傾いた畑
道路は奥に向かって急勾配の下り坂だからなのか、この畑は奥が手前より高く見えるが、物理的には水平なのであろう。
今回導入した道路勾配測定機器
距離の測定の様子