坂道錯視
上り坂が下りに見えたり、下り坂が上りに見えたりする坂、あるいはその錯視のこと。これらの錯視は、俗に、おばけ坂、幽霊坂あるいはミステリー坂という(例:カナダにある「磁石の丘」、Wikipedia)。学術的には、縦断勾配錯視という(今井省吾 (1971) 道路の縦断勾配の錯視 東京都立大学人文学報, 83, 13-28)。坂道錯視は、さらに、左右方向の傾き錯視も含む。実例はたくさんありそうであまりない。 <坂道錯視の写真募集中>
2004年8月30日より
「屋島のおばけ坂」
手前は下り坂、奥は上り坂に見えるが、手前も上り坂である。屋島ドライブウェイ(香川県高松市)にある有名なおばけ坂である。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 7)
撮影日は、2008年5月6日(月)
cf. Bressan, P., Garlaschelli, L. and Barracano, M. (2003) Antigravity hills are visual illusions. Psychological Science, 14, 441-449.
上り坂、下り坂、上り坂ぢゃないんだよ。
上から見ると、下り坂の向こうに緩やかな上り坂が見えるが、これも下り坂。
実測地と説明については、ニュートンムック別冊「錯視 完全図解」の138〜139ページの「おばけ坂 上り坂が下り坂に!?」(對梨成一氏協力)をご覧下さい。
北岡による縦断勾配錯視の説明
<2008年5月12日>
知覚された水平線の位置に対して、道の消失点が上に来る(上り坂と知覚)か下に来るか(下り坂と知覚)の違いによるものでは?
上り坂と思ったら(左図)、実は下り坂(右図)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 12)
手前の坂は下り坂と思ったら(左図)、実は上り坂(右図)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 12)
あるいは、他に手がかりがなければ、凹状に勾配が変化するところでは、デフォルトで近坂が下り、遠坂が上りに知覚されるのかもしれない。その説に合わせると、凸状に勾配が変化するところでは、他に手がかりがなければ、デフォルトで近坂が上り、遠坂が下りに知覚されるのかもしれない。
そういう説明は既にあるかもね。見つけたら教えて下さい。
對梨成一さん(立命館大学文学部助手)によるミステリー坂(おばけ坂・坂道錯視)の写真
<2007年夏、ニュートンムック「錯視 完全図解」用に作成、2008年5月19日、本ページに公開>
場所は、屋島ドライブウェー(香川県)
屋島のミステリー坂について
これらの写真のミステリー坂は、香川県高松市屋島にある「屋島ドライブウエイ」の料金所から約1.6qのところにある。ミステリー坂は、縦断勾配錯視という錯視が生じる坂道である。縦断勾配錯視とは、道路を正面から見たときにその見かけの傾斜が客観的な傾斜とは異なり、たとえば上り坂が下り坂に見えたり、下り坂が上り坂に見えることである。ミステリー坂は、長さ160m傾斜1゜(2%)の坂道と約200m傾斜5゜(9%)の坂道からなるサグ(凹型の縦断線形)で構成される。
このミステリー坂では、2つの縦断勾配錯視を体験できる。1つは、この2坂の下りの端から上り方向に観察するときに生じる縦断勾配錯視で、上りの近坂が下りに見える。もう1つは2坂の上りの端から下り方向に観察するときに生じる縦断勾配錯視で、下りの遠坂が上りに見える。
より詳しい説明 「屋島のミステリー坂について」
(MS-Word ファイル)
「ゆがんだ階段錯視 in 信楽」
階段の下の方は左に傾いて見え、上の方は右に傾いて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 21)
上から見ると、上の方は右に傾いて見える。たぬきに化かされたという可能性もある。
京都国際会館裏の宝ヶ池公園の園路にて
「京都国際会館近くのミステリー坂」
この坂は結構きつい上り坂なのだが、時々下りに見える。
浮き輪付き自転車がなくてもそう見える。ちゃんと上り坂に見えることもある。反対側を見ると正しく下り坂に見えるので(下の写真)、こっち向き(宝ヶ池向き)に限るようだ。この上り坂が下りに見えると、自転車のペダルが重く感じられる。コゼレフの錯覚の親戚筋かな・・・いや、かなり遠いなあ。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2004 (August 30, 2004)
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