皆様からの錯視デザイン 5
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2007年(平成19年)5月20日開設
「カニッツァ・ネッカー・ヴァザルリの壁紙」
Image winner for the back cover of the second edition of "Sensation
and Perception" by Wolfe et al. MIT Press
This illusion won the competition to be on the back cover of the book "Sensation and Perception" second edition and combines three different perceptual phenomena. First, it uses bistable cubes, which have a long history in perception and relate to the Necker cube, to the art of Vasarely, and even to quilt designs. Second, the faces of the cubes contain a "breathing light" variation of Kanizsa's illusory contours, which raise interesting issues about the nature of form perception (Gori & Stubbs, 2006). And third, the perspective of the cubes has been altered, giving the impression that we are looking at the surface of cubes from an angle, demonstrating how psychologists have learned so much from artists.
Copyright Alan Stubbs and Simone Gori 2008
from Simone Gori, Università degli Studi di Trieste (UNITS) (University
of Trieste), Italy (and Professor Alan Stubbs, University of Maine, USA), September 22, 2008
Gori, S. and Stubbs, D. A. (2006) A new set of illusions--the dynamic luminance-gradient illusion and the breathing light illusion. Perception, 35, 1573-1577.
「三角形のエイムズの部屋」
エイムズの部屋を三角形で実現。80円切手と50円切手は同じ大きさなのに、それぞれ右の方が大きく見える。
Copyright Kazuki Maeda 2008 (July 12)
北岡ゼミの前田和樹君より、2008年7月12日
北岡明佳のコメント: すばらしい。
前田君の説明
三角形のエイムズの部屋です。高校レベルの数学の知識(余弦定理)があれば作成可能です。
知覚させたい正三角柱の部屋の高さをa、底辺の長さをbとします。
奥行きの倍率をX,Y(X<0<Y)とします。
写真の部屋はa=10cm、b=30cm、X=0.8、Y=1.2です。
1:壁として以下のα、β、γの三つの等脚台形を作ります。
*二つの辺のうち短い方を上底とする。
α:下底の長さがa、上底の長さがaX、高さがbX
β:下底の長さがaY、上底の長さがa、高さがbY
γ:下底の長さがaY、上底の長さがaX、高さがsqrt{(bX)^2+(bY)^2-b^2(XY)}(余弦定理より)
2:αの下底とβの上底の中央部から、幅1cm高さ5cmぐらいの長方形を切り取る。
3:この三つの同じ長さの底辺同士をテープなどで張り合わせる。
4:このできた三角形の枠にそって大きめの厚紙を、切り取って天井と床を作る。
これで完成です。
もっと正確に作りたい方は天井と床のパーツを計算して作っててください。三辺がsqrt[{(a-aX)/2}^2+(bX)^2],sqrt[(aY-a)/2}^2+(bY)^2],sqrt[{aY-aX}^2+(bX)^2+(bY)^2-b^2(XY)]の三角形になります。サンプルの写真は計算せず、枠に沿って切り取っています。
「黒青錯視」
図を回転させると、黒が青く見える。(After rotating the picture, the black seems as dark blue color.)
Copyright Serge Momot 2008 (March 11)
from Serge Momot,March 5, 2008
「KURA-KURA」
円の内部が動いて見える。手前に広がるように見えたり、中心に向かい吸い込まれるように見える場合もある。
Copyright Takahiro Chishima 2008 (January 12)
拓殖大学工学部工業デザイン学科の千島隆宏さんより、2008年1月12日
北岡明佳のコメント: 実によろしくて、味わい深いですね。
「奥行き方向のアルファ運動」
すべて正方形でできている図形が、出っ張ったり引っ込んだりして見える。
Produced by Yasmine Gharbaoui in 2007
from Yasmine Gharbaoui, Rice University, Houston, Texas, USA, November
7, 2007
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cf. α movement
横線が伸び縮みするように見える(Kenkel, 1913)。
(私にはあまりそう見えないですけど)
Kenkel, F. (1913) Untersuchungen über der Zusammenhang zwischen Erscheinungsgrösse und Erscheinungsbewegung bei einigen sogenannten optischen Täuschungen. Zeitschrift für Psychologie, 67, 358-449.
「フラクタル螺旋錯視」
フラクタル島でできた同心円が渦巻きに見える。
Copyright Hitoshi & Shinobu Arai 2007 (October 4)
東京大学大学院数理科学研究科の新井仁之先生より、2007年10月4日
北岡明佳のコメント: 原理としてはフレーザー錯視のようですが、それよりもなによりも、世界初のフラクタル錯視図形 なのではないでしょうか!? 新井先生の視覚数学e研究室報告に、この錯視の論文が出ました。 <2007年10月4日>
「ゴミ箱の錯視」
写真に写っているゴミ箱は、部分的に欠けているように見える。しかし、実際には壁の柱の横に普通にゴミ箱が立っているだけである(下図)。この現象は、実際の壁の柱と同じ明るさの像が反射して映し出されることによってゴミ箱と壁の境界が消え、つながって見えることによって生じている。
Copyright Akinobu Nameda 2007
立命館大学文学研究科の滑田明暢さんより、2007年7月30日
北岡明佳のコメント: 物理的錯覚の一種です。物理的錯覚には、蜃気楼、ドップラー効果、水の入ったコップにストローを挿すと曲がって見える現象などがあります。心理学者の中には、このような物理的原因の現象を錯覚扱いしない人もいますが(その方が多いかも)、私は物理的錯覚として錯覚扱いしています。なお、私の分類によれば、普通の錯視は、知覚的錯覚です。また、認知的錯覚というカテゴリーもあり、思い違いや勘違いが例となります。この作品は、錯視の講義(演習)の成果物です。
「数珠」
円形のグラデーションで塗られた16個の円によって四角形が作られている。グラデーションはすべて同じもので、中心部から周縁部に行くにしたがって白色から黒色となる。中心にある十字を見つめていると、ある角とその対角線の角(たとえば右上と左下の角)とを中心から離れた方向へと引っ張ったかのように図形が変形して見える。また、辺が中心に向かって湾曲するように見えることもある。
Copyright Tomo Hidaka 2007
立命館大学文学研究科の日高友郎さんより、2007年7月30日
北岡明佳のコメント: 新しいのではないでしょうか、この錯視。ついでにいうと、十字を見ている時に眼が動くと珠の白いところに黒いものが光る錯視もあるようです。この作品は、錯視の講義(演習)の成果物です。
「サイレン」
灰色の斜線はそれぞれ水平か垂直であるが、反時計回りに傾いて見える(カフェウォール錯視)。新しい発見が2つある。1つは、カフェウォール状の4つの区画が、動いて見えることである。それぞれ独立して動いて見える場合と、上下と左右がそれぞれ運命をともにするように動いて見える場合がある。もう1つは、黒の段々によって挟まれた白い段々の中間スペースに、薄く黒い斜線が引かれて見える。この錯視には、両脇を挟む黒の段々と各段を区切る灰色の線とがともに関係しているように思われる。
Copyright Takayuki Kamei 2007
立命館大学文学研究科の亀井隆幸さんより、2007年7月29日
北岡明佳のコメント: 錯視の講義(演習)の成果物です。他にも佳作はありましたが、とりあえず完成度の高いこの作品を紹介します。
「フクロウの目」
Stare at the centre of the red eye for 30 seconds. Then stare at the centre of the white eye. The white appears to be turquoise. (左の赤の中心を30秒眺め、それから右の白の中心を見ると、その白がターコイズブルーに見える。)
Copyright Emma 2007
from Emma, England, July 28, 2007
北岡明佳のコメント: とっても出来の良い陰性残像の作品だなあ。
「上中下文字列渦巻き錯視」
同心円配列が少し渦巻きに見える。ちょっと回転して見えることがある。
Copyright Makoto Ichikawa 2007
千葉大学の一川誠さんより、2007年7月2日
「蛍の夕べ」
トロクスラー効果を利用して、季節ものを描いてみました。中央の、ひときわ明るい「蛍」の光をジッと見ていると、他の蛍の光が現れたり消えたり、瞬いたりして見えます。
Copyright Tomomi Hatano 2007
立命館大学の破田野智己さんより、2007年6月29日
「VSS 2007 ロゴ」
視覚科学会(VSS)の2007年大会のロゴ。イタリアのパドーヴァ大学のシモーネの作品。
According to Simone, this logo is composed by two illusions of him, Kai (Hamburger) and Professor Alan Stubbs: The Rotating Tilted Lines (Perception 2006, 35 853-857) and The Breathing Light (Perception 2006, 35 1573-1577), moving back and forward in front of the image will elicit the illusory effects. "I'm happy to inform you that the 2007 VSS logo that will be on the bags and on the t-shirts (news of this year), was made by me and by Prof. Alan Stubbs!" (in email received April 5)
Copyright Simone Gori and Alan Stubbs 2007
from Simone Gori, Università degli Studi di Padova (UNIPD) (University
of Padua), Italy and Professor Alan Stubbs, University of Maine, USA, May 20, 2007
北岡明佳のコメント: すばらしい。よほど目立ったらしく、街を歩いていたら、このロゴ入りのバッグはどこで手に入るのか、と友人は聞かれそうだ。
北岡明佳のコメント2: 実は私もロゴコンテストに応募していたのでした。下記、参照。
「VSS 2007 落選ロゴ」
「VSS」の赤は同じ色で、「2007」の水色と黄緑色は同じ色である。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (February 12)