錯視デザイン

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2004年(平成16年)1月12日開設・アクセス2004年8月3日より


「飛行機」

飛行機が飛んでいくように見える。

Copyright Constantin Shebzukhov 2004
モスクワ(ロシア)のConstantin Shebzukhovさんより, 2004/10/16

北岡明佳のコメント: 座布団五枚!

對梨成一(大学院生)のコメント: 水平にならべた雲が右下方向に傾いて見える。

北岡明佳の對梨のコメントへのコメント: 本当だ。對梨君に座布団一枚!


「歯車」

歯車が回転して見える。

Copyright Constantin Shebzukhov 2004
モスクワ(ロシア)のConstantin Shebzukhovさんより, 2004/10/15

北岡明佳のコメント: すばらしいいいいっ。先を越された、くやしいーという感じすら。最近、錯視デザインのファンの皆様のレベルが上がってきていまして、家元としましては、うれしいやら、首筋が涼しいやら。


「Fesenmeyerの傾き錯視」

Yとbでできた列とFとbでできた列が右に傾いて見える。

Copyright Fesenmeyer Phillip 2004
テキサス(アメリカ)のFesenmeyer Phillipさんより, 2004/10/14

北岡明佳のコメント: 今城の傾き錯視を見て、Fesenmeyerさんがコメントをくれたものです。彼はOCR(自動読み取り機)の技術者だそうで、機械もこういう字の並びだと右に傾いていると誤って認識してしまうのだそうです。字のvisual mass(重心という感じ)をつなぐのが錯視の原因では、という示唆です(下図のような感じ)。んー、今城の傾き錯視ほどの錯視量が出ていない、というところが弱点か・・・


「今城の傾き錯視」

電子メールの名前とアドレスのセットが右に傾いて見える。

Copyright Yuka Imajo 2004
立命館大学文学部人文総合インスティテュート(人間と情報)の今城裕香さんより, 2004/10/5

北岡明佳のコメント: 卒論でやるそうです。楽しみです。錯視量が多くていいですね。


「仕事にならない」*

*原題 Can't work

作者によると、左下あたりの字が動いて見えて、仕事にならない、とのことである。たばこを吸うと錯視量が減る、という貴重な現象報告付き。

Copyright Gary Shingles 2004
オークランド(ニュージーランド)のShinglesさんより, 2004/9/29

北岡明佳のコメント: 私にはすべての行が動いて見えるが、仕事はちゃんとできるぞ。私はたばこは吸わないので何とも言えないが、コーヒーを飲んでも錯視は減らないようである。宇治茶も効果なし。狭山茶も効果なし。服部雅史先生のおみやげのイギリス製の紅茶(たいへんおいしい)も効果なし。ヤマザキのメロンパンも効果なし。


「Stop this illusionary world!」

地球が回転するような感じに回転して見える。

Copyright Prasanna Tilakaratna 2004
ロンドンのTilakaratna先生(麻酔科医)より, 2004/9/22

Tilakaratna先生の作品集


「Slow Chain」

自転車のチェーンのように回転して見える。

Copyright Prasanna Tilakaratna 2004
ロンドンのTilakaratna先生(麻酔科医)より, 2004/9/15

北岡明佳のコメント: 拙作「ボート」の改造版で、いつもですと改造はダメよと言うところですが、(1)チェーンにしているアイデアが優れていること、(2)デザインがきれいであること、(3)私の作品をベースにしているとデザイン上で明言していることから、Tilakaratnaさんの創作として歓迎したいと思います。将来私が超メジャーになったら、このくらいの改変はパロディやポップアートとしてOKになりますが。


「CPU」

中央の正方形のブロックが、すこし浮き上がって見えると共に、ふらふらと動きます。さらに、中央部分が動かないで、背景がゆっくりと右のほうへスライドするように見えるときもあります。

Copyright Keizo Shimizu 2004
神戸の清水さんより, 2004/8/3

北岡明佳のコメント: あえていうなら Pinna and Spillmann (2002)* の錯視に似ていますが、清水さんが自ら考えたのは明らかです。また、似ていると言っても、違う錯視かもしれません。

*Pinna B, Spillmann L. (2002) A new illusion of floating motion in depth. Perception, 31, 1501-1502.


「佐々木の彎曲錯視」

白いダイヤモンド型は正方形を45度傾けた図形であるが、左の図では、黒い円と接するところを頂点として外向きに曲がって見える。右の図では、灰色の円と接するところを頂点として内向きに曲がって見える。

Copyright Takayuki Sasaki 2004
立命館大学文学部心理学科4回生の佐々木孝之君より, 2004/4/7

北岡明佳のコメント: 左の図はブルドン錯視(角度過少視錯視の1つ)に雰囲気は似ています、形は新奇です。右の図は普通の鋭角過大視となっています。このコメントじゃー、誰も納得できませんね(^^;)。誰かいいアイデアないですか? ついでながら、左のダイヤモンド型は右のダイヤモンド型よりも小さく見えます。理由はわかりません。さらについでながら、左の灰色の正方形は右の黒の正方形よりも若干小さく、奥にあるように見えます。奥に見えるという方は、コントラストの低いものは遠くに見える、という遠近知覚の法則と一致しているかもしれません。その遠近知覚の法則は昔から知られていますが、なぜそうなのかの理由は知りません。小さく見えるという見え方も、光滲では説明できないし、わからないです。左の灰色の正方形は小さく見えるから大きさの恒常性のために奥に見える、という考え方も有力かもしれません。いずれも佐々木の彎曲錯視の説明に役に立つのか立たないのかすらわかりません。(というわけで、はからずも錯視研究の泥沼の様子の一部を紹介できました)


「千原のレシート錯視」

パソコン画面のコピーなので、文字列は水平線上に並んでいるはずであるが、右端のお金のあたりが右上がりに見える。

Copyright CHIHARA Kazunori 2004
札幌の千原さんより, 2004/2/16

北岡明佳のコメント: うーん、錯視量が多い。なぜこの錯視が起こるのか、ということにつきましては、毎度のことですが、お手上げです。少なくとも、傾き錯視の代表格であるツェルナー錯視とカフェウォール錯視とは関係ないでしょう。新型錯視の可能性が大きいです。新型肺炎とか鳥インフルエンザと違って、同じ新型でもいいものですね。それにしてもおいしそう。


「2004年サル」

中央のバナナを見つめたまま顔を接近させたり遠ざけたりすると、周囲のサルが回転して見える。この現象とは別に、顔を近づけたときにサルの頭のあたりから茶色の影が、中央に向かって発生するように見える。その影は、ちょうど太陽のプロミネンスのように螺旋状の三角形をしている。なお、螺旋状には見えない、という人もいる。

Copyright HATANO Tomomi 2004
破田野智己(立命館大学文学研究科), 2004/1/12

北岡明佳のコメント: おもしろいもの満載です。作者は私の作品を参考にして作成したとのことですが、回転錯視にしても自明のことではなく、他の回転錯視とメカニズムが同一かどうかを判断するには、検討が必要です。新型の可能性もなくはないのです。記述にはありませんが、何もしなくても動いて見える周辺ドリフト錯視か中心ドリフト錯視のようなものを若干感じます。「茶色の影」となりますと、これは陽性残像ということで、「陽性残像は明るさの順応レベルの頂を超える強い刺激を受けた時に起きやすい」という常識と一致しませんので、興味深いです。その陽性残像が螺旋型で先細りに見える、という点はさらに興味深いです。というか私にはきちんと説明できません。「motion blurがツェルナー錯視で傾いて見えた」という感じでごまかしておきましょうか。


「石原のアイコン錯視」

ファイル名が右に傾いて見える。東京都立大学の石原正規さんが2002年に発見した。錯視量が非常に大きいにもかかわらず、錯視デザイン上のポイントが私には未だに見えない。

Copyright M.Ishihara 2002, presented with permission

北岡明佳のコメント: 2004年2月現在、石原君はフランスで活躍中です。ところで、石原君とは特に関係のない石原都知事による大学改革の一環として、東京都立大学は首都大学東京という名前に変わるらしいです。それに習うと、京都府立大学は古都大学京都に、大阪府立大学は商都大学大阪になりますかねえ・・・(いえ、別に、からかっているわけでは・・・)。そのほか、九州大学は九州芸工大学を吸収合併しましたので、吸収大学というのはいかがですか。東京大学は千葉県柏市に大きなキャンパスを作りましたから、それと区別するために本郷と駒場キャンパスは東京大学首都、でいかがでしょう。

(一応書いておきますが、冗談です)


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