2017年3月6日(月)16:10-17:00
第11回錯覚ワークショップ @明治大学中野キャンパス

立命館大学総合心理学部 北岡 明佳 email

2017/3/4 より 配布物 


並置混色には2種類ある

Spatial color mixture: additive color mixture (top) and subtractive one (bottom)

加法混色


減法混色


Spatial color mixture: additive color mixture (left) and subtractive one (right)


Spatial color mixture: additive color mixture (left) and subtractive one (right)


Spatial color mixture with three colors: additive color mixture (left) and subtractive one (right)




同じ色配列が白と黒に見える錯視


「RGBで白と黒」

左の絵の髪と服は白く見え、右の絵では黒く見えるが、同じRGBの縞模様である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (August 15)

拡大画像


原図




「CMYで白と黒」

左の絵の髪と服は白く見え、右の絵では黒く見えるが、同じCMYの縞模様である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (August 15)


北岡明佳 (2016) RGBを原色とする減法混色の並置混色のアルゴリズムとその応用 日本視覚学会2016年夏季大会 朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)(新潟市)・2016年8月18日(木) Poster --- Visiome




色の錯視


左のハートと物理的に同じ色は(1)(2)(3)のうちどれでしょう。


問1

解答



問2

解答



問3

解答



問4

解答


2012/8/17


ムンカー錯視を用いた作品「赤の渦巻き」↓

赤紫がかった赤い螺旋とオレンジ色がっかった赤い螺旋があるように見えるが、どちらも同じ赤である。

Copyright A.Kitaoka 2002


ムンカー錯視を用いた作品「緑の渦巻き」↓

黄緑の螺旋と青緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ緑である。

Copyright A.Kitaoka 2002


ムンカー錯視を用いた作品「水色と黄緑の渦巻き」↓

水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。この色の錯視はモニエ・シェベル錯視に近いと思うが、彼らの理論には合わないのかもしれない。

Copyright A.Kitaoka 2003


ムンカー錯視(Munker illusion)

黄と青の縞の青部分に赤を乗せるとオレンジ色に見え、黄部分に赤を乗せると赤紫がかって見える。緑を乗せるとそれぞれ黄緑と青緑に見える。高空間周波数図形で錯視量が多い。

Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. München: Habilitationsschrift.

ムンカー錯視のページ


ムンカー錯視の作り方



Left: Blue (assimilation) + Blue (contrast of yellow) = Blue induction; Right: Yellow (assimilation) + Yellow (contrast of blue) = Yellow induction


「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」

渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)


「武田信玄」

薄い黄色と濃い青色の渦巻きがあるように見えるが、左半分は白(R=255, G=255, B=255)と黒(R=0, G=0, B=0)であるのに対し、右半分は黄(R=255, G=255, B=0)と青(R=0, G=0, B=255)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)

「風林火山」

「武田信玄」の白黒黄青と同じであるが、この図では違いがはっきりわかる。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


「小家族」

左の鳩も右の鳩も同じ色なのだが、左の方は黄味がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


Left: Green (assimilation) + Red (contrast of cyan) = Yellow induction; Right: Cyan (assimilation) + Magenta (contrast of Green) = Blue induction

OK?


色の土牢錯視 (Chromatic dungeon illusion)

「犬」

赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン  別バージョン2

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)

土牢錯視(dungeon illusion)(Bressan, 2001)とは?

左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


色の土牢錯視とは?

左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。

引用文献は調査中(ないかもしれない)

色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。


「四色の犬」

上から1番目と3番目の列の犬は2種類、2番目と4番目の列の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ色である。色の土牢錯視である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)



「4種類の色の錯視の作り方」

物理的に同じ色(R=255, G=0, B=127)のハートが錯視によってピンクとオレンジのハートに見える。左から、ムンカー錯視(Munker illusion)、色の土牢錯視(chromatic dungeon illusion)、ドット色錯視(dotted color illusion)、デヴァロイス・デヴァロイス錯視(De Valois-De Valois illusion)である。 上図の高解像度ファイルはこちら(8000 x 3262 pixel, 10MB)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 1)

References

Munker illusion Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. Habilitationsschrift, Ludwig-Maximilians-Universität, München.
chromatic dungeon illusion For the dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.
Kitaoka (2007) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/saishin22e.html
dotted color illusion For the dotted brightness illusion: White, M. (1982) The assimilation-enhancing effect of a dotted surround upon a dotted test region. Perception, 11, 103-106.
Kitaoka (2008) http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/color10e.html
De Valois-De Valois illusion De Valois, R. L. and De Valois, K. K. (1988) Spatial Vision. New York: Oxford University Press.


北岡明佳 (2012) 色の錯視いろいろ (4) 簡単で錯視量の多い色相の錯視図形の作り方 日本色彩学会誌, 36(1), 45-46. PDF(スキャンコピー) <配布資料>


「標準的なムンカー錯視」

左のハートは赤紫に見え、右のハートはオレンジ色に見えるが、同じ赤である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (June 2)




下図は拡大画像



「加法混色の並置混色によるムンカー錯視の説明図」

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (March 22)




「減法混色の並置混色によるムンカー錯視の説明図」

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2016 (March 22)


「標準的なムンカー錯視」

左のハートは赤紫に見え、右のハートはオレンジ色に見えるが、同じ赤である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (June 2)


オレンジ色に見える錯視の方はこのモデルにぴったり当てはまらない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (March 4)


赤・シアン2色の並置混色(左:加法混色、右:減法混色)


Supposed continuity of spatial color mixture and the Munker illusion. Black hearts appear to be red or cyan in the additive color mixture image (leftmost panel), while white hearts appear so in the subtractive color mixture image (rightmost panel). Moreover, gray hearts appear to be reddish or like cyan in the Munker illusion image (middle panel).


Red and cyan hearts with the additive color mixture

Red and cyan hearts with the subtractive color mixture

Red and cyan hearts with the Munker illusion


「黄ばみ錯視的なムンカー錯視」

左のハートは黄色に見え、右のハートは白に見えるが、同じ白である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (March 4)

「黒が青く見えるムンカー錯視」

左のハートは黒に見え、右のハートは青っぽく見えるが、同じ黒である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (March 4)

「単純に黄と青の誘導と言えないムンカー錯視」

左のハートは淡いオレンジ色に見え、右のハートは淡いピンク色に見えるが、同じ灰色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (March 4)


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (March 4)


図地分離との関係

北岡明佳 (2012) 色の錯視いろいろ (6) 図地分離による錯視 日本色彩学会誌, 36(3), 237-238. PDF(スキャンコピー)



色の恒常性錯視


「赤く見えるいちご」

すべてのピクセルはシアン色近辺の色相であるが、イチゴは赤く見える。加法色はシアンで透明度は53%の加法的色変換。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (February 28)


「赤く見えるいちご 2」

すべてのピクセルはシアン色の色相であるが、イチゴは赤く見える。変換色はシアン色で、透明度は20%の二色法変換。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2017 (February 28)


オリジナルの写真






問: 下記のような色から金色を作る方法はあるか?








答: ある。




「青い金閣」

青フィルターがかかっていやな感じではあるが金閣は金色に見える。金色は黄色系統でなければならないという前提があるなら、この合成画像で金閣が金色に見えることは錯視であり、知覚される金色は物理的には青系統の色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (July 14)





黄色系統でなくても金色に見える。


この種の色の恒常性の文献

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (2)色の恒常性と2つの色フィルタ 日本色彩学会誌, 35(3), 234-236. PDF(スキャンコピー), PDF(高解像度スキャンコピー)

北岡明佳 (2011) 色の錯視いろいろ (1)「目の色の恒常性」という錯視の絵 日本色彩学会誌, 35(2), 118-119. PDF(スキャンコピー)


「本当は赤くないイチゴ」

この画像はシアンの色相でできているが、イチゴは赤く見える。 (sRGBに準拠した加法的色変換による)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 23)


元画像



「本当は赤くないイチゴ(2色法)」

この画像はシアンの色相でできているが、イチゴは赤く見える。 (sRGBに準拠した2色法色変換による)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 24)


北岡明佳 (2015) 「乗算的および加算的色変換による色の錯視」 (錯覚と数理の融合研究ワークショップ(第9回錯覚ワークショップ・2015年9月7日(月) 16:10-17:00・明治大学中野キャンパス) 発表に使用したウェブページ



 

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北岡明佳の錯視のページ


北岡明佳の著書一覧