日本色彩学会・イルージョン研究会
 女子美術大学・相模原キャンパス・女子美アートミュージアム
2009年5月18日(月)15:00-16:30



北 岡  明 佳 立命館大学文学部心理学専攻 since May 9, 2009


「目の色の恒常性 4」

左の人物の目は赤色に見え、右の人物の目は灰色に見えるが、物理的には同じ色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 24)


↓図は大きくても目は赤く見える。実際には R=87, G=97, B=98 なので、ややシアン味のある灰色である。


「目の色の恒常性 3」

左の人物の目は水色に見え、右の人物の目は灰色に見えるが、物理的には同じ色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 24)

↓目は水色に見える。実際には R=96, G=88, B=87 なので、やや赤味のある灰色である。

「目の色の恒常性 3 と 色の対比」

上図の人物の目は水色に見えるが、ほぼ灰色である。これを色の対比の刺激配置で示すと下図のようになるが(正方形の色は目の色と同じ、正方形を囲む色は目の周りの色と同じ)、上図ほど水色に見えるようにはならない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 27, 28)


「目の色の恒常性」の作り方


Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



「目の色の恒常性・総当たりの組み合わせの実験結果」

それぞれの画像において、左右の目の色は物理的には同じであるが、色が違って見える画像がある。それぞれの画像の右目(色のフィルターがかかっている側)の色が反対側の髪飾りのビーズと同じ色に見える場合は、色の恒常性が成立していることになる。使用した色は、目とフィルターの色ともに、赤、黄、緑、シアン、青、マゼンタであるから、6 x 6 = 36 個の画像がある。作者には青の恒常性がイマイチに見えるが、観察者によって違いがありそうである。PCディスプレー(MITSUBISHI Diamondcrysta RDT1713S)で見ると、右目が黄(左から2番目の縦の列)の色の恒常性がフィルターの色にかかわらず優れているが、カラーレーザープリンタ(XEROX DocuPrint C3540)で印刷してみたところ、フィルターが緑の画像(左から2番目で上から3番目)の効果が弱かった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 7)

色の恒常性のデモを配布


2000 x 2642 pixel


「目の色の恒常性」の作り方で注意すること



髪の青、背景の黄、服の紫には恒常性が生じていない(それぞれ、青紫、橙、赤紫に見える)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



「目の色の恒常性 8」

上図の人物の目は水色に見えるが、灰色である。この灰色は下図の背景の灰色と同じである。つまり、下図では錯視が起きていない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 28)


キルシュマンの法則(色の対比の法則)
(1)誘導領域(取り囲む領域)と比較してテスト領域(ターゲット領域)が小さければ小さいほど、色の対比は大きい。

(2)色の対比は2つの領域が離れていても起こる。しかし、離れれば離れるほど対比の効果は減少する。

(3)色の対比の量は誘導領域の面積によって異なる。

(4)色の対比は、明るさの対比がないか少ないところで最大となる。 (第3法則と呼ばれる)

(5)明るさが同じならば、色の対比は誘導する色の飽和度(彩度)に影響される。


Graham, C. H. and Brown, J. L. (1965) Color contrast and color appearance: Brightness constancy and color constancy. In C. H. Graham (Ed.), Vision and visual perception, New York: John Wiley & Sons (pp 452-478). (In this paper, the third and fourth laws are exchanged)

Kirschmann, A. (1891) Über die quantitativen Verhältnisse des stimultanen Helligkeits- und Farben-Contrastes. Phil. Stud., 6, 417-491.

Yund, E. W. and Armington, J. C. (1975) Color and brightness contrast effects as a function of spatial variables. Vision Research, 15, 917-929.


 以下は筆者がドイツ語の原文の要約部分(Kirschmann, 1891, p. 491)から直訳したものである。

(1) 純粋な同時的明るさ対比の強度と、おそらくは純粋な色の対比の強度も、静止した目における明確で大きい知覚の境界の内側において、誘導する網膜部位の範囲に線型に比例するか、あるいは同じ面積の平方根に比例して増大する。

(2) コントラスト効果の強さとは関係なく、コントラストが引き起こす強度を、対応する範囲を大きくすることによって、より弱い強度に変えることができる。つまり、コントラストにおいては、範囲と強度の間には相互関係もある。

(3) 同時色対比は、明るさの対比がないか最小限の場合に、最大の効果を発揮する。

(4) 色の印象と同じ明るさの灰色との同時コントラストは、誘導する色の飽和度が大きくなるほど、この後者に比例するというよりはむしろより小さい規模で、おそらくは対数比例的に増大する。

(5) 二つの色の間の同時コントラストは、二つの成分から成る。それらの定量的な関係は、二つの色の飽和度が同じように増加する場合や減少する場合に、同じようにではなく変わり、また矛盾したように変わる。

(6) 二つの色の間の相反するコントラストは、二つの色が中間の飽和度の場合に、最大に達する。


 キルシュマンの法則とキルシュマンの原文の要約部分を比較すると、内容が一致していないことがわかる。キルシュマンの法則は5つであるが、原文では項目は6つである。キルシュマンの法則の1番は原文の1番と一致している。注目のキルシュマンの法則の4番は原文では3番である。ということは、「キルシュマンの第三法則」とは、原文の順番で言っていることになる。キルシュマンの法則の2番は原文の要約には登場しない。3番には原文の1番と2番が対応する。5番に対応するのは、原文の4番、5番、6番である。


青の恒常性は図が大きい方が効果が強い?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



灰色の恒常性は目ではイマイチ?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



灰色の恒常性は服ならOK

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



灰色の恒常性は背景なら全然ダメ。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



灰色の恒常性はお肌ならまあまあいける?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



最初のグレースケールの画像でも灰色はそのように見えていた(恒常性があった)。



目も含めてグレースケールにすると、やっぱり目は灰色に見えず、着色されて見えるような・・・

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)


色の付いた領域が灰色に見える錯視

「酒井の色の対比」

上の正方形の列は同じ灰色に見えるが、左の5つの正方形と右の5つの正方形を入れ換えて下の列に並べてみると、かなり違っていることがわかる。一番下の2つの正方形は外に出してみたところで、左の緑の正方形は右上の5つの正方形と同じで、右のピンクの正方形は左上の5つの正方形と同じである。誘導背景の色に最大の彩度を用いないことがポイントであった。

Copyright A.Kitaoka 2002


左上5列の「灰色」と右下5列の「青」は物理的には同じであり、右上5列の「灰色」と左下5列の「黄」は物理的には同じである。

酒井香澄(「Landの二色法による色再現とBelseyの仮説検証」立命館大学文学部哲学科心理学専攻2002年度卒業論文)の発見をベースにしている。


彩度対比

彩度(色の鮮やかさ)の高い色に囲まれた領域の彩度は低く見え(左図)、彩度の低い色の囲まれた領域の彩度は高く見える(右図)。


「絆創膏」

絆創膏(バンドエイドあるいはカットバン)の真ん中の正方形は左右とも同じ色であるが、左の方が鮮やかに見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (May 11)



「目が光るとお肌が汚く見える錯視」

左右の人物は同じ色なのに、右のように目が光るとお肌が汚く見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 21)

目は光らせないようにしましょう。



おにいさんの絵でも目の色の恒常性は成立する。 当たり前?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)


栗木一郎先生のデモ  元のページ(NTT CS基礎研究所)  そのコピー(アクセスできない場合に使用) 



「色のスネーク錯視」

ひし形はすべて50%灰色(R=127, G=127, B=127)であるが、まわりに色の反対色に色づいて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 1)

エーデルソン先生のスネーク錯視はこちらから。

Reference

Adelson, E. H. (2000) Lightness perception and lightness illusions. In M. Gazzaniga (Ed.), The New Cognitive Neurosciences, 2nd ed. Cambridge, MA: MIT Press (pp. 339-351).

スネーク錯視



参考 チェッカーシャドー錯視(Adelson先生のページ)


「入学式」

灰色で描いたサクラの花びらに、色が付いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 2)

図にカーソルを載せると、花びらは灰色であることがわかる。


キルシュマンの法則(色の対比の法則)
(1)誘導領域(取り囲む領域)と比較してテスト領域(ターゲット領域)が小さければ小さいほど、色の対比は大きい。

(2)色の対比は2つの領域が離れていても起こる。しかし、離れれば離れるほど対比の効果は減少する。

(3)色の対比の量は誘導領域の面積によって異なる。

(4)色の対比は、明るさの対比がないか少ないところで最大となる。 (第3法則と呼ばれる)

(5)明るさが同じならば、色の対比は誘導する色の飽和度(彩度)に影響される。


Graham, C. H. and Brown, J. L. (1965) Color contrast and color appearance: Brightness constancy and color constancy. In C. H. Graham (Ed.), Vision and visual perception, New York: John Wiley & Sons (pp 452-478). (In this paper, the third and fourth laws are exchanged)

Kirschmann, A. (1891) Über die quantitativen Verhältnisse des stimultanen Helligkeits- und Farben-Contrastes. Phil. Stud., 6, 417-491.

Yund, E. W. and Armington, J. C. (1975) Color and brightness contrast effects as a function of spatial variables. Vision Research, 15, 917-929.

第3法則には否定的見解が出ている。
Kinney, J. A. S. (1962) Factors affecting induced colors. Vision Research, 2, 503-525.
Oyama, T. and Hsia, Y. (1966) Compensatory hue shift in simultaneous color contrast as a function of separation between inducing and test fields. Journal of Experimental Psychology, 71, 405-413.
しかし、誘導色が(ディスプレーの)シアンとグリーンの場合はあてはまらない。

色の対比(色相の対比)

ある領域が別の色の領域で囲まれると、そこに囲んだ色の反対色が誘導される現象。灰色領域が青で囲まれると黄が誘導され(左図)、同じ灰色領域が黄で囲まれると青が誘導される(右図)。


色の対比は誘導色の彩度が高ければよいというものではない。

「酒井の色の対比」

上の正方形の列は同じ灰色に見えるが、左の5つの正方形と右の5つの正方形を入れ換えて下の列に並べてみると、かなり違っていることがわかる。一番下の2つの正方形は外に出してみたところで、左の緑の正方形は右上の5つの正方形と同じで、右のピンクの正方形は左上の5つの正方形と同じである。誘導背景の色に最大の彩度を用いないことがポイントであった。

Copyright A.Kitaoka 2002

酒井香澄(「Landの二色法による色再現とBelseyの仮説検証」立命館大学文学部哲学科心理学専攻2002年度卒業論文)の発見をベースにしている。


「急速色対比」

シアン色(水色)の正方形内の円が赤味を帯びて見えるが、それは右の円の輝度と同じ灰色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)

「遅延色対比」

しばらく眺めていると、マゼンタ色の正方形内の円が緑味がかって見えてくるが、それは右の円の輝度と同じ灰色である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)






「遅延色対比 2」

しばらく眺めていると、物理的には灰色の円が緑味がかって見えてくる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)


「遅延色対比図形の陰性残像」

左の図のどこかに目を固定して数秒眺め、右の空白部分に目を移すと、物理的には灰色のドットの残像はマゼンタに着色されて見える。


その他、色の対比を強める条件

「強化型色対比」

正方形の色は a = d と b = c のように見えるが、物理的な色は b = d である。

by Akiyoshi Kitaoka 2005 (May 27)

ただの色対比にあらず。上下の正方形を取ると、錯視量が減る(下図)。

Piersの論文1)に刺激されて作成。

1) Howe, P. D. L. (2005) White's effect: Removing the junctions but preserving the strength of the illusion. Perception, 34, 557 - 564.

もし先行研究で同じものがあるのを発見されましたら、ご一報下さい。直ちに修正します。 北岡にメールする


参考 強化型明るさの対比

"Brightness contrast: Miscellaneous 2007"

(a)-(k) The central square in the left half appears to be darker than that in the right one, though they are identical in luminance. (a)-(h) are the new demonstrations. (i) is the standard type. (j) is known (I guess). (k) is the enhanced brightness contrast I presented before. (l) is White's effect, where the central square in the left half appears to be brighter or lighter than that in the right one. 

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (February 5)


「緑のタヌキ」と「ピンクの正方形」・・・色の恒常性の一種?色の対比の一種?

中央の灰色が緑に見える。こういう深い緑はモニターでは出せないはずだったのだが・・・

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (October 14)

中心の小さい正方形はピンクに見えるが、実際には灰色(のグラデーション)である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (October 14)


「青い錯視環」

この画像は彩度と明度の異なる赤だけで描かれているが、青い環が描かれているように見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 26)

色の対比? 色の恒常性? ヘルソン・ジャッド効果? ランドの二色法? ゲーテの色影現象?


Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (March 5)


色の同化
(視覚の実験的研究でよく出てくるタイプ)

ある領域に、色の付いた細い線が乗ると、その色味が誘導されて見える現象。赤い領域に青線を乗せると赤紫に見え(左図)、同じ赤の領域に黄線を乗せるとオレンジ色に見える(右図)。


色の同化
(デザインの教科書等によく見かけるタイプ)

等間隔で細い縞模様を描くと、隣合った色相が誘導される。左の赤は青みがかって見え、右の赤は黄みがかかって見える。


「顔色がよくなる錯視」

顔色がよくなった。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 10)


「赤の渦巻き」

赤紫がかった赤い螺旋とオレンジ色がっかった赤い螺旋があるように見えるが、どちらも同じ赤である。

Copyright A.Kitaoka 2002
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)


「緑の渦巻き」

黄緑の螺旋と青緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ緑である。

Copyright A.Kitaoka 2002
(c)北岡明佳 2002 「トリックアイズ」 (カンゼン刊)


ムンカー錯視を用いた作品「水色と黄緑の渦巻き」↓

「水色と黄緑の渦巻き」

水色の螺旋と黄緑の螺旋があるように見えるが、どちらも同じ色(r = 0, g = 255, b = 150)である。この色の錯視はモニエ・シェベル錯視に近いと思うが、彼らの理論には合わないのかもしれない。

Copyright A.Kitaoka 2003


ムンカー錯視を用いた作品「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」・・・被誘導領域は2つの誘導領域の明るさの中間になくてもよい↓

「レモン色の渦巻きとクリーム色の渦巻き」

渦巻きにはレモン色のとクリーム色のと2種類あるように見えるが、どちらも同じ黄色(R255, G255, B0)である。

Copyright A.Kitaoka 2005 (May 22)


「小家族」

左の鳩も右の鳩も同じ色なのだが、左の方は黄味がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 12)


ムンカー錯視(Munker illusion)

黄と青の縞の青部分に赤を乗せるとオレンジ色に見え、黄部分に赤を乗せると赤紫がかって見える。緑を乗せるとそれぞれ黄緑と青緑に見える。高空間周波数図形で錯視量が多い。

Munker, H. (1970) Farbige Gitter, Abbildung auf der Netzhaut und übertragungstheoretische Beschreibung der Farbwahrnehmung. München: Habilitationsschrift.

ムンカー錯視のページ



cf. ホワイト効果

White, M. (1979) A new effect on perceived lightness. Perception, 8, 413-416.


 ムンカー錯視の作り方 



「犬」

赤い犬は2種類、緑の犬も2種類いるように見えるが、それぞれ同じ赤と緑である。色の土牢錯視である。
別バージョン  別バージョン2

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 5)


「バレンタインデー・錯視ギフトセット」

ピンクのハートとオレンジのハートは実際には同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 12)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「水色と黄緑色のハートの絨毯」

水色のハートと黄緑色のハートがあるように見えるが、どちらも同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「水色と黄緑色のハートの絨毯(部分)」

水色のハートと黄緑色のハートがあるように見えるが、どちらも同じ色である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「黄と白のハート」

黄色のハートと白のハートがあるように見えるが、物理的には同じ黄色である。*

*物理的には黄色、という表現は、厳密に言えば心理学的ではないなあ・・・

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 10)

cf. Dungeon illusion: Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


「おひなさまぎらぎらハート」

実際にはハートは青緑色(R=0, G=255, B=150)なのだが、水色がかって見えるか、黄緑色がかって見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 3)


土牢錯視(dungeon illusion)

左の「牢屋」の灰色のダイヤモンド形は右のよりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Bressan, P. (2001) Explaining lightness illusions. Perception, 30, 1031-1046.


色の土牢錯視

左の「牢屋」のダイヤモンド形はオレンジ色に、右のは少し紫がかった赤に見えるが、物理的には同じ色である。

引用文献は調査中(ないかもしれない)

色の土牢錯視は雰囲気はムンカー錯視だが、普通に色の同化で説明することも可能だし、ゲシュタルト要因を考えて色の対比というのもあるのかもしれない。

次の犬年は11年後か・・・



「肌色錯視」

左のお肌は赤っぽく、右のお肌は黄色っぽく見える。ドット色錯視を適用。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 3)


ドット色錯視(dotted color illusion)

ドット色錯視・・・左右の赤い領域は同じ色であるが、左はオレンジに、右はマゼンタに見える。

ドット色錯視は、ホワイトのドット明るさ錯視の色バージョンである。

ホワイトのドット明るさ錯視・・・灰色の正方形は同じ明るさであるが、左は右よりも明るく見える。

White, M. (1982) The assimilation-enhancing effect of a dotted surround upon a dotted test region. Perception, 11, 103-106.





オマケ

ランダムドット色錯視・・・左右の赤い領域は同じ色であるが、左はオレンジに、右はマゼンタに見える。


cf. Anstis, S. M. (2005) White's Effect in color, luminance and motion. In Harris, L. and Jenkin, M. (Eds), Seeing Spatial Form. Oxford: Oxford University Press.

「ステュアートの環」


 これらの色の錯視の作り方 





いて

カタログ


オオウチ錯視(蘆田最適化版)

内側の領域が動いて見える。

References

Ouchi, H. (1977) Japanese optical and geometrical art. Mineola, NY: Dover.

Spillmann, L., Heitger, F. and Schuller, S. (1986) Apparent displacement and phase unlocking in checkerboard patterns. Paper presented at the 9th European Conference on Visual Perception, Bad Nauheim


Ashida, H. (2002) Spatial frequency tuning of the Ouchi illusion and its dependence on stimulus size. Vision Research, 42, 1413-1420.


「踊るハート達」

ハートが動いて見える。めがねをかけている人は、めがねを動かすとよく見えるかもしれない。離れたところから見ると、明るくなった時のハートは白のランダムドットより手前に見え、暗くなった時のハートは奥に見える人が過半数と予想される。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (December 20)

文献

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035.

Kitaoka, A, Kuriki, I. and Ashida, H. (2006) The center-of-gravity model of chromostereopsis. Ritsumeikan Journal of Human Sciences, 11, 59-64. PDF



モノクロでOK


配布物
「踊るハート達」 (MS-Word ファイル)
北岡明佳 (2006) 色が強くなる錯視 A・F・Tジャーナル, 31 (Summer), pp. 01.


踊るハート錯視
(fluttering-heart illusion)

(Helmholtz, 1867; Nguyen-Tri and Faubert 2003; von Grünau 1975a, 1975b, 1976; von Kries 1896)

 中山(2008)によると、踊るハートは赤が重要。青不要。ピンクはダメ。

中山明子 (2008) 「踊るハート」錯視(1844)と「踊るハート達」錯視(2006)の比較検証 2008年度立命館大学文学部(人文学科心理学専攻)卒業論文

「蛇の回転」

蛇の円盤が勝手に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2003 (September 2, 2003)

(配布物)



質問紙(調査票)

ユニバーサルカラーインスティチュートTM」インターナショナルの高松智子先生が協力して収集して頂いたデータです。 <2009年4月5日>


--- 日本国内での調査結果 ---

  


 高松先生が、北岡と同じ方法(図版は北岡が供給)で、講演参加者の皆様に協力して頂いて、「『蛇の回転』の錯視は年齢が低いほどよく見える」という仮説を調べるために、「蛇の回転」錯視がどの程度見えるかを調査した。図はA4版の用紙に印刷したものを配布した(EPSON・写真用紙<絹目調>に、EPSON PM-4000PXに対して最適化したバージョンを印刷)。調査は講演会(新潟市、2009年2月24日、33名)とセミナー(松本市、2009年3月5日、44名)において行なわれた。ただし、これらの調査では、参加者に図版を差し上げていない。

 これまでの図示の様式に従うと、結果は下図の通りであった。77名のご協力を頂いた。この調査では、21歳から75歳までバランスよく分布した。「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は、 r = - .21 で、「蛇の回転」錯視の強さと年齢との間には、有意な負の相関は見られなかった。ただし、有意傾向(p < .10)はあったから、これまでの傾向と矛盾するわけではない。


評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。



 評定値の割合を示したのが下図である。「よく動いて見える」と答えた人の割合が少な目であった。参加者に図版を差し上げてないため、リラックスしての観察時間が短かったという要因が考えられる。


評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。





--- 続いて、フランスでの調査結果 ---

   


 フランスはナント市情報館の交流会にて、参加者の皆様に協力して頂いて、「『蛇の回転』の錯視は年齢が低いほどよく見える」という仮説を調べるために、「蛇の回転」錯視がどの程度見えるかを調査した。図はA4版の用紙に印刷したものを配布した(EPSON・写真用紙<絹目調>に、EPSON PM-4000PXに対して最適化したバージョンを印刷)。調査は2008年10月29日)において行なわれた。ただし、これらの調査では、参加者に図版を差し上げていない。

 これまでの図示の様式に従うと、結果は下図の通りであった。25名のご協力を頂いた。この調査では、9歳から72歳の範囲でほどよくばらついていた。「蛇の回転」錯視と年齢の相関係数は、 r = - .07 で、「蛇の回転」錯視の強さと年齢との間には、有意な相関は見られなかった。これまでのデータと比較すると、錯視が弱かったようである。可能性としては、(1)交流会の会場が暗かった、(2)交流会では酒が入っていたので目がすわってしまっていた、(3)西洋人は平均すると東洋人よりもこの錯視が弱い、といったことが考えられる。(1)については、高松先生は特にそのような状況は報告されていない。(2)については、9歳の参加者の低錯視量が説明できないし、西洋人は日本人のように社交の場で飲んだくれるわけではない。(3)は本当だったら面白いな~。でも、よく考えると、(4)フランス語での教示が日本語の教示と同程度の意味になっていなかった、という可能性が本命か・・・ でも(3)の可能性を探るべく、9月末にオーストラリアに行くので、調査してみようと思う。


評定値3は「よく動いて見える」、2は「動いて見える」、1は「わずかに動いて見える」、0は「動いて見えない」である。


 この錯視があまり見えなかった方へ。個人差ですので、心配しないで下さい。錯視が見えた方がたぶん面白いのですが、仕方ないです。私にも、言われている通りに見えない錯視があります。どうぞ、他の見える錯視を楽しんで下さい。


これなら見える?
(すべて正方形か長方形でできているが、カープが感じられる) 



 今回のデータはとりあえず北岡によるデータとは別にしておくが、論文にする時には込みにする予定である。下図はこれまでの北岡が収集したデータである。

 
この累計における評定値の割合を示したのが下図である。いずれ、年齢層別のグラフも作成の予定である。


謝辞 高松先生ありがとうご゛さいました。

謝辞 本研究は、平成18・19・20年度科学研究費補助金 基盤研究(A)(研究代表者・北岡明佳) 「静止画が動いて見える錯視群のメカニズムの研究」 課題番号18203036 の助成を受けた。 

錯覚ニュース12で結果を公開致します。


「カメの回転」

カメの集団が回転して見える。そのほか、左右に動いて見える錯視や、垂直・水平に並んだエッジが傾いて見える錯視もある。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 19)


「てんとう虫の回転」

てんとう虫のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 7)



「左右に動く蛇」

蛇が左右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 12)



「錠剤の回転」

錠剤のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (October 1)



「ハートの回転」

ハートのリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 23)


(北岡による勝手な)
最適化型フレーザーウィルコックス錯視の最新の分類

Type Basic illusion that
motion direction is
from dark to light
Basic illusion that
motion direction is
from light to dark
Examples
(click the thumbnail)
I







IIa







IIb







III







IV







V
new!

(VSS DemoNight 2007)


参考 北岡明佳著 「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」



拙著、錯視本「トリック・アイズ メカニズム」もご参考に!


1. Fraser and Wilcox (1979)

Fraser, A. and Wilcox, K. J. (1979) Perception of illusory movement. Nature, 281, 565-566.


2. Faubert and Herbert (1999)

Faubert, J. and Herbert, A. M. (1999) The peripheral drift illusion: A motion illusion in the visual periphery. Perception, 28, 617-621.


3. Naor-Raz and Sekuler (2000)

Naor-Raz, G. and Sekuler, R. (2000) Perceptual dimorphism in visual motion from stationary patterns. Perception, 29, 325-335.


4. Kitaoka and Ashida (2003)

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2003) Phenomenal characteristics of the peripheral drift illusion. VISION (Journal of the Vision Society of Japan), 15, 261-262


5. Following papers or articles

Kuriki, I., Ashida, H., Murakami, I. and Kitaoka, A. (forthcoming) Functional brain imaging of the Rotating Snakes illusion by fMRI. Journal of Vision, in press new!

Hisakata, R. and Murakami, I. (2008) The effects of eccentricity and retinal illuminance on the illusory motion seen in a stationary luminance gradient. Vision Research, 49, 1940-1948.

Chi, M-T., Lee, T-Y., Qu, Y., and Wong, T-T. (2008) Self-Animating Images: Illusory Motion Using Repeated Asymmetric Patterns. ACM Transaction on Graphics (Proceedings of SIGGRAPH 2008), 27, No.3. SIGGRAPH2008 --- Authors' page --- PDF (SIGGRAPH)

Scientific American Reports Special Edition on Perception (2008).

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035. PDF request to Akiyoshi Kitaoka

Newton Press (Ed.), A. Kitaoka (Supervisor) (2007) Newton magazine book: Special issue "How is the brain deceived? Perfect demonstration of visual illusions" Tokyo: Newton Press (in Japanese; published in October 2007). 

Ramachandran, V. S. and Rogers-Ramachandran, D. (2007) A Moving Experience: How the eyes can see movement where it does not exist. Scientific American Mind, February/March, 14-16.

Kitaoka, A. (2007) Phenomenal classification of the “optimized” Fraser-Wilcox illusion and the effect of color. Poster presentation in DemoNight, VSS2007, GWiz, Sarasota, Florida, USA, May 14, 2007.

Murakami, I., Kitaoka, A. and Ashida, H. (2006) A positive correlation between fixation instability and the strength of illusory motion in a static display. Vision Research, 46, 2421-2431. PDF request should be sent to Dr. Murakami

Kitaoka, A. (2006) Anomalous motion illusion and stereopsis. Journal of Three Dimensional Images (Japan), 20, 9-14. PDF (manuscript but the same as the printed one)

Kanazawa, S., Kitaoka, A. and Yamaguchi, M. K. (2006) Infants see the “Rotating Snake” illusion. Dorsal and ventral streams in the visual system (Talk): Monday, 21 August 2006; 12:00-12:30 (29th European Conference on Visual Perception, St-Petersburg, Russia, 20th-25th August, 2006) Abstract

Kitaoka, A., Ashida, H., and Murakami, I. (2005) Does the peripheral drift illusion generate illusory motion in depth? Journal of Three Dimensional Images (Tokyo), 19, 6-8. PDF (scanned copy) (poor quality) --- MS-Word file (manuscript, the same as the paper) (high quality)

Conway, R. B., Kitaoka, A., Yazdanbakhsh, A., Pack, C. C., and Livingstone, M. S. (2005) Neural basis for a powerful static motion illusion. Journal of Neuroscience, 25, 5651-5656. PDF request should be sent to Dr. Conway

Backus, B. T. and Oruç, I. (2005) Illusory motion from change over time in the response to contrast and luminance. Journal of Vision, 5, 1055-1069. http://journalofvision.org/5/11/10/


"Dark to light" (in gradation) might be stronger.


"Light to dark" might be stronger.


"Dark to light"


"Light to dark"


"Dark to light" and "light to dark" in cooperation


I propose an empirical observation that color might enhance the illusion in some conditions.


Observation 1. The illusion from dark to light is enhanced by red or blue.


Observation 2. The illusion from light to dark is enhanced by yellow or green.


Observation 3. The illusion from dark to light is enhanced by red or blue, while the illusion from light to dark is enhanced by yellow or green. Both illusions work additively.


謎の赤と紫特有の錯視(タイプ V)


「赤い円盤の回転」

赤い円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 18)

配布したものはこちら →



ご清聴ありがとうございました。





オマケ

錯視の分類
1. 形の錯視(幾何学的錯視) カタログ 専門書
2. 明るさの錯視  カタログ 
3. 色の錯視  カタログ 色の錯視いろいろ(配布資料) 
4. 動きの錯視  静止画が動いて見える錯視のカタログ

(5. 立体視の錯視)
(6. 視覚的補完の錯視) カタログ
(7. だまし絵) 解説
錯視のカタログのページ
錯視のカタログのある本
関連する知覚心理学の本
北岡の「だまされる視覚 錯視の心理学」(2007年)
ニュートンムック「錯視 完全図解」(2007年)
他の錯視に及ぼす色の効果
   
色が動く錯視に及ぼす効果(ロレアル賞受賞記念講演)
参考 色彩学会2005年シンポジウムの発表

北岡明佳の錯視のページ





以下、時間調整用


遠隔色対比

赤い線がある程度青い線より離れたところに置かれると、青の補色の黄色味がかって見える。黄色の線の間に置かれると黄の補色の青味がかって見える。

北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(6)・色彩知覚の知られざる不安定性 日経サイエンス, 31(7), 128-129.



キルシュマンの法則(色の対比の法則)
(1)誘導領域(取り囲む領域)と比較してテスト領域(ターゲット領域)が小さければ小さいほど、色の対比は大きい。

(2)色の対比は2つの領域が離れていても起こる。しかし、離れれば離れるほど対比の効果は減少する。

(3)色の対比の量は誘導領域の面積によって異なる。

(4)色の対比は、明るさの対比がないか少ないところで最大となる。 (第3法則と呼ばれる)

(5)明るさが同じならば、色の対比は誘導する色の飽和度(彩度)に影響される。


Graham, C. H. and Brown, J. L. (1965) Color contrast and color appearance: Brightness constancy and color constancy. In C. H. Graham (Ed.), Vision and visual perception, New York: John Wiley & Sons (pp 452-478). (In this paper, the third and fourth laws are exchanged)

Kirschmann, A. (1891) Über die quantitativen Verhältnisse des stimultanen Helligkeits- und Farben-Contrastes. Phil. Stud., 6, 417-491.

Yund, E. W. and Armington, J. C. (1975) Color and brightness contrast effects as a function of spatial variables. Vision Research, 15, 917-929.


作品「色の分裂」・・・遠隔色対比の誘導図形は線でなくてもよい。↓

青色の正方形のまわりの赤はオレンジ色に見え、黄色の正方形のまわりの赤はマゼンタ色に見えるが、同じ赤である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (May 27)


遠隔色同化

赤い線がある程度青い線より離れてはいるが近くに置かれると、青味がかって見える。黄色の線に近づくと、黄味がかって見える。

北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(6)・色彩知覚の知られざる不安定性 日経サイエンス, 31(7), 128-129.


遠隔色対比と遠隔色同化を用いた作品「赤いメガネ」↓

左右のメガネの赤は同じであるが、違った色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (April 18)


遠隔色対比と遠隔色同化を用いた作品「花屋さん」↓

同じ赤がオレンジ色やマゼンタ色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2002
in Trick Eyes, 2002


「ぐるぐる 6」

それぞれの同心円の内側の4つのリングは同じ色であるが、違う色に囲まれると異なって見える。画面から離れてみた方が効果が大きい。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 15)


「ぐるぐる 3」

それぞれの同心円の内側の4つのリングは同じ色であるが、違う色に囲まれると異なって見える。画面から離れてみた方が効果が大きい。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (January 15)


ネオン色拡散

色の十字の周りがパッチ状に同色に色づいて見える。

Varin, D. (1971) Fenomeni di contrasto e diffusione cromatica nell'organizzazione spaziale del campo percettivo. Rivista di Psicologia, 65, 101-128.

Van Tuijl, H. F. J. M. (1975). A new visual illusion: Neonlike color spreading and complementary color induction between subjective contours. Acta Psychologica, 39, 441-445.

Redies, C. and Spillmann, L. (1981). The neon color effect in the Ehrenstein illusion. Perception, 10, 667-681.


水彩錯視

回廊部分がうすく緑に色づいて見える。

Pinna, B., Brelstaff, G., and Spillmann, L. (2001) Surface color from boundaries: a new ‘watercolor’ illusion. Vision Research, 41, 2669-2676.



下図は水彩錯視いろいろ


波線色錯視

オレンジ色の波線の背景の白がオレンジ色がかって見える。

produced by Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 19)

Sohmiya, S. (2007) A wave-line colour illusion. Perception, 36, 1396-1398.



参考

Kitaoka, A. (2009) Memories of the two excellent Gestalt psychologists Professors Kaoru Noguchi and Walter Ehrenstein by Akiyoshi Kitaoka. Talk in a session (Memories of Professor Kaoru Noguchi) in the 42nd Annual Convention of the Chikaku Colloquium (Perception Colloquium), hosted by the Kyushu University, Shikanoshima, Fukuoka, March 22, 2009. 発表に使用したウェブページ (html) new!


「ネオン色拡散による針差し格子錯視」1)

一様な白い背景上を縦横に水色の線が走って見える。「クモの巣の糸」(Spinnwebfäden)2)あるいは「色の筋」(colored street)3)と呼ばれたものと同じと考えられる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

1) 北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(7):工学的にはとらえきれない幻の光知覚 日経サイエンス, 31(8), 66-68.

2) Prandtl, A. (1927). Über gleichsinnege Induktion und die Lichtverteilung in gitterartigen Mustern. Zeitschrift für Sinnesphysiologie, 58, 263-307.

3) Redies, C., Spillmann, L. and Kunz, K. (1984). Colored neon flanks and line gap enhancement. Vision Research, 24, 1301-1309.


「色光線錯視2」1)

一様な白い背景上を黄色の線が斜めに走って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

1) 北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(7):工学的にはとらえきれない幻の光知覚 日経サイエンス, 31(8), 66-68.


「色光線錯視3」1)

一様な白い背景上を緑色の線が斜めに走って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2001

1) 北岡明佳 (2001) 錯視のデザイン学(7):工学的にはとらえきれない幻の光知覚 日経サイエンス, 31(8), 66-68.


「黄ばみ錯視」

格子の中央部分が黄ばんで見える。しかし、これらの図には黄色は使っていないし、輝度条件から考えるとネオン色拡散が起こる位置が逆である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (September 18)

cf.

Van Tuijl, H. F. J. M. (1975). A new visual illusion: Neonlike color spreading and complementary color induction between subjective contours. Acta Psychologica, 39, 441-445.

Sohmiya, S. (2005) Explanation for neon color effect in achromatic line segments on chromatic inducers based on the multiple interprertation hypothesis. Perceptual and Motor Skills, 101, 267-282.


以下、類似図形。


「謎の水彩錯視」

回廊部分が薄い黄色に色づいて見える。しかし、これらの図には黄色は使っていないし、輝度条件から考えると水彩効果が起こる位置が逆である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (June 23)

水彩効果(watercolor effect)あるいは水彩錯視(watercolor illusion):

Pinna, B., Brelstaff, G., and Spillmann, L. (2001) Surface color from boundaries: a new ‘watercolor’ illusion. Vision Research, 41, 2669-2676.


A と D、B と C が同じ感じに見えるが、物理的には C と D が同じである。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (August 12)


「馬」

黄色の馬と赤色の馬が描かれているように見えるが、物理的にはどちらも同じ色の馬である。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (August 18)

(CorelDRAW 9 のクリップアートを使用)


「月とブラックホール」

円内は上下とも同じパターンであるが、上は月に見え、下はブラックホールに見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (August 25)


「サーチライト」

黄色のサーチライトが当たっているように見える。各縦列の円の中の色グラデーションは同じであるが、上2つは黄色の円に見え、下2つは青の円に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (December 7)


「満月と夕日」

円内は左右で同じパターンであるが、左は満月に見え、右は夕日に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (August 21)


Color phantoms


色立体視(進出色・後退色) (chromostereopsis)

赤が青より手前に見える人が過半数を占めるが、青が赤よりも手前に見える人も20%程度いる。


「青い穴」

青い穴が開いているように見える。離れて見ると効果的。孔の周囲のドットが赤紫に見えるが、その外側の赤と同じ色である。

Copyright Akitaoka Kitaoka 2007 (March 9)


「カマボコ」

赤い部分がカマボコ形の頂点に見える、という見え方をする人が多いと推定される。

Copyright A.Kitaoka 2003


色収差による色ずれの作品「色収差錯視チェッカーボード」・・・めがねの人専用↓

「色収差錯視チェッカーボード」

近眼で眼鏡をかけている人は、顔を右に向けて目は左でこの図を見ると、上半分のそれぞれの正方形の左側は鮮やかな水色、右側は黄色(あるいはオレンジ色)に見える。この時、下半分の正方形の両側は緑色に見える。顔を左に向けた場合はその反対。遠視あるいは老視の眼鏡をかけている人は多分逆。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (October 9)


色収差による色ずれの作品「額がガクガク」↓

青い線の正方形が赤と緑の境界のところでずれているように見える。作者にはそう見えるが、理論的にはそう見えない人もいると思われる。そのほか、ヘルマン格子錯視や色の同化が見られる。

Copyright A.Kitaoka 2003 (June 16, 2003)


「宇宙線とオーロラ」

モノクロ画像なのに主観色が見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 5)

cf. Luckiesh, M. and Moss, F. K. (1933) A demonstrational test of vision. American Journal of Psychology, 45, 131-139. (I do not know the appropriate reference of this type of subjective color)


ベンハムのコマ(フェヒナー色)

回転すると色が見える。


色が変わる錯視の作品「2つの輪」

内側のリングは縮小して見え、外側のリングは拡大して見える(最適型フレーザー・ウィルコックス錯視)。中心を見ながら図に目を近づけたり遠ざけたりすると、リングがお互いに反対方向に回転して見える(回転オオウチ錯視)。また、中心を見ながら図に目を近づけると内側のリングが赤味を増し、目を遠ざけると外側のリングが赤味を増す。1つの図で3つも錯視が楽しめるおトクな錯視デザイン。

Copyright A.Kitaoka 2005 (April 1)

トリック・アイズ グラフィックスに掲載


色が変わる錯視を説明する仮説・・・処理速度説↓

刺激イメージが網膜上で動いた場合、長波長の刺激の視覚処理が早く、短波長の刺激の視覚処理が遅いと考えると説明できる。図では矢印の先の赤が増加して見え、後方に残る青は黄色と打ち消しあって無彩色に近くなる。



「ピンクのハートとオレンジのハート」

左上と右下のハートは黄色く見え、右上と左下のハートは青白く見えるが、どちらも背景と同じ白である。このハートの陰性残像は、それぞれピンクのハートとオレンジのハートである。左の十字を目を動かさず10秒以上眺め、右の十字に目を移すと、短時間見える。「陰性残像」(negative afterimage)とは反対色に見える残像という意味なので、将来、用語を変更する必要が出てくるかもしれない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 25)


「赤い玉と黄色い玉」

左の十字を10秒以上見つめ、右の十字に目を移すと、その上下に色の付いた円が見える。上は水色の背景の上に赤色の円が9つ、下は青の背景の上に黄色の円が9つ見える。左側の順応刺激の9つずつの円は灰色(30%ブラック、あるいは、R=178, G=178, B=178)であるから、無彩色の残像として有彩色が見えたことになる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 22)


「スウェーデンの光」

白丸に青い光が点滅するように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (April 25)

スウェーデンには行ったことがないので、この作品は単に国旗からのイメージです。


「悟りの窓」

青あるいは緑の格子に描いた黒点がオレンジ色あるいは赤に光って見える。黄色説もあり。

Copyright A.Kitaoka 2005 (April 25)

こうなると、悟りの窓も錯視の窓。



「梶田の色のきらめき格子錯視」

左上の図形はすべて赤でできているのに、ドットが青味がかって見える。ドットの実際の色は右上に示した。また、右下の図形はすべてマゼンタ(赤紫)でできているのに、ドットが青味がかって見える。ドットの実際の色は左下に示した。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)

梶田高由先生のページより





「梶田の色のきらめき格子錯視 2」

左右の図形とも、白のドットが赤味がかって見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 23)



おしまい