The Symposium & Exhibition of Visual Illusion +S3D World 2012: Invitation to Visual Science
~錯視とS3Dが活かされる世界:視覚科学への誘(いざな)い~ (R-GIRO と 3Dフォーラム共催)
2012年3月17日(土)・立命館大学衣笠キャンパス・以学館1号ホール

「錯視とS3Dが活かされる世界」

北岡 明佳 (Akiyoshi Kitaoka, 立命館大学 文学部 心理学専攻email HP

2012/3/10より  ポスター・チラシ


「立命館湖」

立命館大学衣笠キャンパスが水没したように見える。

Copyright A.Kitaoka 2004 (August 14)

ここが水没するようでは京都市街全域水没です。もちろん大阪も、神戸も。

実際の風景

金閣
(立命館大学より徒歩10分)


今の時期観光するなら(きたのてんまんぐう)

菅原道真を祭る。お参りすると頭がよくなるらしく、修学旅行生がよく訪れる。











立命館大学から徒歩15分。


原島博先生にくっついて東京女子大学(東京都杉並区)に進入。 <2011年10月29日>

 原島先生によると大正時代風の眉はこんな感じ。優雅な感じ?
今風のはこんな感じ。きりっとした感じ?  

 原島先生によると、今時のマンガは目がでかいという。確かに目がこんな大きさでは脳は少なめ。知性も少なめ。頑張って脳を確保しても、呼吸器系と口腔の大きさが制限されるから生存自体が大変。内耳を収める空間も不足しそうで、耳は聞こえないし、平衡感覚もなし。のはずだが、それでも問題なしなら、きっと目玉おやじのようなものであろう。そのほか、このような人が存在したら、眼球運動の研究の被験者として引っ張りだこ。微小眼球運動が「小眼球運動」程度になるので、熟練していない研究者でも眼球運動の測定ができて便利。
目の縦の大きさ/頭部の縦の長さ 比 = 約 23 %

Copyright Akiyoshi.Kitaoka 2011 (October 30)

源氏物語絵巻 「東屋」

ウィキメディア・コモンズより


目の縦の大きさ/頭部の縦の長さ 比 = 約 2 %


源氏物語絵巻の成立を西暦1100年頃と考えると、現在は2012年だから約900年経過。すなわち、

(23/2) / 900 = 約 0.0128 % / 年 の速度で、日本の絵画上の人物の目は大きくなり続けた可能性が示唆される。

このまま目の大きさが成長を続けると、 (100-23) / 0.0128 = 約 6029 年後に頭部は目玉だけとなる。


お化粧による錯視


「アイシャドーによる視線方向の錯視」

左上の顔は上向きの視線に、右上は下向き、左下は向かって左向きの視線に、右下は向かって右向きの視線に相対的に変位して見える。すなわち、視線方向は暗いアイシャドーとは反対方向に、明るいアイシャドーとは同方向に変位して見える。

肌と白目の間の輝度コントラストが相対的に低い側に視線方向が変位して見える錯視であるとも言える。

視線方向の錯視のページ



参考

「見かけの視線の輝度誘導性シフト(充血錯視)・2012年度版」

3つの顔は同じなのだが、白目を暗くした方向に視線が変位して見える。

Copyright Akitaoka Kitaoka 2012 (January 3)

文献

Ando, S. and Osaka, N.: Bloodshot illusion: Luminance affects perceived gaze direction. Investigative Ophthalmology & Visual Science, 39(4), S172, 1998
Ando, S.: Luminance-induced shift in the apparent direction of gaze. Perception, 31, 657- 674, 2002
Ando, S.: Perception of gaze direction based on luminance ratio. Perception, 33, 1173-1184, 2004.


「さかさま顔の過大視」

上下の顔の大きさは同じであるが、下の方が大きく見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (February 16)

cf. 上視野の過大視、サッチャー錯視

文献

Araragi, A., Aotani, T., and Kitaoka, A. (forthcoming) Evidence for a size underestimation of upright faces.


Copyright Akitaoka Kitaoka 2012 (January 5)

「さかさま顔の過大視・2012年度版」

上下の顔の大きさは同じであるが、下の方が大きく見える。

Copyright Akitaoka Kitaoka 2012 (January 10)


「太った顔がやせて見える錯視(FFT錯視)画像」

ぷっくり、あるいはでっぷりしたお兄さんの肖像をさかさまにすると、そんなにぷっくり・でっぷりしていないように見える。中央は土蔵(とくら)久代氏作品(2011年制作)。許諾を得て掲載。

全体図についてはCopyright Akitaoka Kitaoka 2011 (February 25)

中央の土蔵図についてはCopyright Hisayo Tokura 2011

土蔵図は今のところ、イラストでは世界最強のFFT錯視画像と思う。

文献

Thompson, P.: The fat face thin (fft) illusion. The 6th Annual Best Illusion of the Year Contest, 2010 http://illusioncontest.neuralcorrelate.com/2010/the-fat-face-thin-fft-illusion/ (2012年1月5日アクセス)




180度回転させた図


「太った顔がやせて見える錯視(FFT錯視)平安画像」

「平安姉さん」をさかさまにするとやせて見える。

Modified Akitaoka Kitaoka 2012 (March 10)


「テレビに映ると太って見える錯視をデモするステレオグラム」

両眼立体視で顔を見るとやせて見える。

Copyright Akitaoka Kitaoka 2012 (January 10)

文献

Idesawa, M.: Why does the figure of humans look fatter on a TV screen or a photograph? Perception, 39, ECVP Abstract Supplement, 179, 2010

cf.
Taya, S. and Miura, K.: Shrinkage in the apparent size of cylindrical objects. Perception, 36, 3-16, 2007



錯視とS3D (1) 斜塔錯視(キングダム錯視)
(Leaning Tower illusion)




左右の写真は右方向に傾いたように撮影した斜塔であるが、右の写真の傾きが大きく見える(Kingdom et al., 2007)。

Kingdom, F. A. A., Yoonessi, A., and Gheorghiu, E. (2007) The Leaning Tower illusion: a new illusion of perspective. Perception, 36, 475-477.



「岩船寺の三重の『斜』塔」

左の三重塔は右の三重塔よりも傾いて見えるが、同じ写真である。

写真は2008年11月12日、fMRI実験の後、K大のA先生(運動残効研究でも有名)と観光した時に撮影

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 22)



「桜の嵐電」

この嵐電は北野白梅町行きなので、後ろから撮影している。左の嵐電は右に比べてより左の方向に向かっているように見えるが、同じ写真である。

写真は2003年4月10日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 30)



「御室の切り通しの嵐電」

この嵐電は帷子の辻行きなので、後ろから撮影している。上の嵐電は下に比べてより上の方向に向かっているように見えるが、同じ写真である。

写真は2002年9月20日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 30)



「滑走路」

左右同じであるが、右の方が垂直からの傾きが大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)


単に二段重ねするだけでも作成できるが、


「上賀茂神社の参道を用いた斜塔錯視」

上賀茂神社には塔はないのに「斜塔錯視」!? 鳥居のあたりの参道部分をコピーして手前の参道部分に平行移動して貼り付けると、参道の縁はオリジナルとコピーで平行に見えず、遠くに向かって広がっていくように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)



「反転斜塔錯視」

いずれの段も左右同じであるが、上段は右上奥行き方向に開いて見え、中段は左下奥行き方向に開いて見える。下段は、反転図形の奥行き知覚に応じて、斜塔錯視が変化する。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 29)


「両眼立体視的斜塔錯視」

枠内の平行四辺形は同じ形で平行に並んでいるが、右側の方がより時計回りに傾いて見える(斜塔錯視)。両眼立体視して上辺が奥に見える場合、斜塔錯視が強められる。上辺が手前に見える場合は、斜塔錯視は弱くなる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)

「単眼&両眼立体視的斜塔錯視」

枠内の2つの台形は同じ形で平行に並んでいるが、右側の方がより時計回りに傾いて見える(斜塔錯視)。両眼立体視して上辺が奥に見える場合、斜塔錯視が強められる。上辺が手前に見える場合は、斜塔錯視は弱くなる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)




「反転斜塔錯視・S3D版」

いずれの列も上下同じであるが、列隣同士両眼融合すると「筒」の奥行き方向が決まる。右上方向が奥方向に見える時、その方向に開いて見える。左下方向が奥方向に見える時、その方向に開いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)



錯視とS3D (2) 回廊錯視あるいは「大きさの恒常性」錯視
(Corridor illusion or "size constancy" illusion)


「でっカー」

クルマの画角は同じであるが、右上の方が大きく見える。左下の映像がオリジナル。

Copyright Aliyoshi Kitaoka 2011 (March 2)

ポンゾ錯視というよりは、回廊錯視だと思う。


「干草ロール」

3つの干草ロールは同じ大きさであるが、左から大・中・小に見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (August 24)

2009年8月21日撮影



上下の円筒は同じ大きさであるが、上の円筒が大きく見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)

回廊錯視(corridor illusion):

Bezold, W. von (1884) Eine perspektivische Täuschung. Annalen der Physik und Chemie, 123, 351-352. (最初の報告)

今井省吾 (1984) 錯視図形・見え方の心理学 東京:サイエンス社 (ポンゾの円筒という名称で紹介。比較されるものは円筒)

Luckiesh, M. (1922) Visual illusions. New York: Dover. (比較されるものは直方体)

Richards, W. and Miller, J. F. Jr. (1971) The corrider illusion. Perception & Psychophysics, 9, 421-423. (比較されるものは円筒。回廊錯視と命名)


両眼立体視による「大きさの恒常性」錯視

このステレオグラムを両眼融合すると、どちらかの「筒」が手前に、もう一方が奥に見える。その場合、手前に見える筒は奥の筒より網膜像を知覚したもの(近刺激を知覚したもの)としても小さく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)


グレゴリーのテーブルの錯視

左右の赤い平行四辺形は同じ形であるが、左の平行四辺形は左辺と右辺は上方に開いて見え、右の平行四辺形は左辺と右辺は下方に開いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (July 15)

References

"a top-down distortion"

Gregory, R. L. (1998) Eye and Brain, the fifth edition Oxford University Press. (pp. 232)

斜塔錯視は基本的にはグレゴリーのテーブルの錯視?


グレゴリーのテーブルの錯視に対応するステレオグラム

隣同士を両眼融合すると、斜辺は奥行き方向に傾いて見える。その時、描かれた絵としては斜辺は上辺・下辺よりも若干短い(上辺・下辺を100とすると、左端と右端の平行四辺形の斜辺は約93.6、中央の平行四辺形の斜辺は約97.3)が、斜辺は上辺と下辺よりも長く見える。これは、「両眼立体視的シェパード錯視」といったところである。

そのほか、両眼融合すると、上辺と下辺の長さは異なって見える(遠くに見えるものは近くに見えるものと比較して網膜像が大きく見える現象で、「(両眼立体視的)大きさの恒常性」
*と呼ばれることがある)。これに伴ってなのか、こちらが原因なのか、物理的には平行な斜辺が平行でなく見える。具体的には、奥に向かって開散する方向に角度がついて見える。これは、「両眼立体視的斜塔錯視」といったところである。

*「大きさの恒常性」(size constancy)は、一般的には、対象までの距離に依存して対象が映る網膜像の大きさ(近刺激の大きさ)が変化しても、対象の「本当の大きさ」(知覚された遠刺激の大きさ)は一定に見えることを指す。であるから、目に映った大きさを評価させると、遠くにある対象は小さく見え、近くにある対象は大きく見えている。一方、「(両眼立体視的)大きさの恒常性」は遠くにある対象が近くの対象に比べて少し大きく見える現象である(遠くの対象の知覚された近刺激が、近くの対象の知覚された近刺激より相対的に大きく見える)。つまり、両者は違う現象なのであるが、ともに「大きさの恒常性」と呼ばれることが多いのでまぎらわしい。前者(一般的な意味での大きさの恒常性)は機能的である(目に映る対象の像の大きさが変わったからといって対象が実際に大きくなったり小さくなったりすると知覚しない方が「正しい」)が、後者(両眼立体視的な大きさの恒常性)はいわば錯視的である(遠くの対象が少し大きく見える必要性が明確でない)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)


錯視とS3D (3) シェパード錯視
(Shepard illusion or table-top illusion)


Shepard, R. N. (1990) Mind sights: original visual illusions, ambiguities, and other anomalies, with a commentary on the play of mind in perception and art. New York: Freeman. (R.N.シェパード著、鈴木光太郎・芳賀康朗訳 (1993) 視覚のトリック:だまし絵が語る「見る」しくみ 東京:新曜社)

Shepard, R. N. (1981) Psychophysical complementarity. in Kubovy, M. and Pomeranz, J. (Eds.), Perceptual Organization, Hillsdale, NJ: Lawrence Erlbaum Associates, pp. 279-341.

「赤い屋根」 赤い屋根は合同なのであるが、左の屋根は右の屋根に比べて細長く見える。シェパード錯視のバリエーション。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 24)

「楕円の錯視」

右の楕円は左の楕円よりも細長く見えるが、同じ形である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)



テーブルトップ錯視のアイデアは牧野達郎が1975年に先に示している(脚付きと脚なしの図の比較であった)。

Makino, T. (1975). Comparison process as a factor of size-distance relationship. Psychologia, 18, 104-109.



牧野の現象面(奥行き方向に傾いた対象の網膜像は長く見える)の指摘は Robert H. Thouless が1931年に先に示している。

Thouless, R. H. (1931). Phenomenal regression to the real object. Part I. British Journal of Psychology, 21, 339–359.


「両眼立体視的に奥行き方向に傾いた辺の過大視」

隣同士を両眼融合すると、斜辺は奥行き方向に傾いて見える。その時、描かれた絵としては斜辺は上辺・下辺よりも若干短い(上辺・下辺を100とすると、左端と右端の平行四辺形の斜辺は約93.6、中央の平行四辺形の斜辺は約97.3)が、斜辺は上辺と下辺よりも長く見える。これは、「両眼立体視的シェパード錯視」といったところである。

そのほか、両眼融合すると、上辺と下辺の長さは異なって見える(遠くに見えるものは近くに見えるものと比較して網膜像が大きく見える現象で、「(両眼立体視的)大きさの恒常性」
*と呼ばれることがある)。これに伴ってなのか、こちらが原因なのか、物理的には平行な斜辺が平行でなく見える。具体的には、奥に向かって開散する方向に角度がついて見える。これは、「両眼立体視的斜塔錯視」といったところである。

*「大きさの恒常性」(size constancy)は、一般的には、対象までの距離に依存して対象が映る網膜像の大きさ(近刺激の大きさ)が変化しても、対象の「本当の大きさ」(知覚された遠刺激の大きさ)は一定に見えることを指す。であるから、目に映った大きさを評価させると、遠くにある対象は小さく見え、近くにある対象は大きく見えている。一方、「(両眼立体視的)大きさの恒常性」は遠くにある対象が近くの対象に比べて少し大きく見える現象である(遠くの対象の知覚された近刺激が、近くの対象の知覚された近刺激より相対的に大きく見える)。つまり、両者は違う現象なのであるが、ともに「大きさの恒常性」と呼ばれることが多いのでまぎらわしい。前者(一般的な意味での大きさの恒常性)は機能的である(目に映る対象の像の大きさが変わったからといって対象が実際に大きくなったり小さくなったりすると知覚しない方が「正しい」)が、後者(両眼立体視的な大きさの恒常性)はいわば錯視的である(遠くの対象が少し大きく見える必要性が明確でない)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)

「シェパード錯視と、両眼立体視的に奥行き方向に傾いた辺の過大視」

物理的には、斜辺は上辺・下辺よりも若干短い(上辺・下辺を100とすると、左端と右端の平行四辺形の斜辺は約93.6、中央の平行四辺形の斜辺は約97.3)が、斜辺は上辺と下辺と同じかむしろ長く見える。これは、「シェパード錯視」である。

隣同士を両眼融合すると、斜辺は奥行き方向に傾いて見える。その時、斜辺は上辺と下辺よりも長く見える。これは、「シェパード錯視と、両眼立体視的に奥行き方向に傾いた辺の過大視の合成」といったところである。

そのほか、両眼融合すると、上辺と下辺の長さは異なって見える(遠くに見えるものは近くに見えるものと比較して網膜像が大きく見える現象で、「大きさの恒常性」と呼ばれることがある)。これに伴ってなのか、こちらが原因なのか、物理的には平行な斜辺が平行でなく見える。具体的には、奥に向かって開散する方向に角度がついて見える。これは、「両眼立体視的斜塔錯視」といったところである。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)


「楕円の錯視・3D」

上下の楕円はほぼ合同であるが、下の方が細長く見える。両眼融合してみるとその差は顕著となる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)



錯視とS3D (4) 奥行き方向に傾いた対象が与える網膜像は遠くに知覚されるものほど大きくみえるという錯視


「上賀茂神社距離錯視」

A と B のフラワーポットの絵画上の中間点は、x y z のうちどれが一番近いか?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 10)

答え: x が絵画上の中間点である。絵画上の中間点は y のあたりに見えるかもしれないがそれは錯視である。


答えの図でもまだ錯視が残るので、確認のために示す。



エイムズの台形窓

棒は台形の中線の延長線上にあるが、右に寄って見える。


「距離錯視」

この図の輪郭である台形の上辺と下辺の中線はどのあたりか?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)

下辺より2本目より少し上あたりのように見えるが、2本目より少し下である。カーソルを置くと赤線で示される。


「距離錯視・3D」

斜辺の白の部分と青の部分の長さは物理的には同じに描かれている。単眼視では正しく見えるか、あるいは白の斜辺が若干長く見える(おそらく輝度コントラストによる大きさの錯視のせい)。両眼融合して見ると、白側が奥に見える場合は白の斜辺は青の斜辺よりも長く見え、青側が奥に見える場合は青の斜辺は白の斜辺よりも長く見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 15)



錯視とS3D (5) 長(おさ)の角度錯視



「上賀茂神社の長(おさ)錯視」

参道の両端の斜線の成す角度は鋭角に見えるが、実際には鈍角である(下図参照)。

Osa A, Nagata K, Honda Y, Ichikawa M, Matsuda K, Miike H, 2011, "Angle illusion in a straight road" Perception 40(11) 1350 – 1356
http://www.perceptionweb.com/abstract.cgi?id=p7068

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 28)


<2012年1月8日>


斜辺の成す角度は90度であるが、鋭角に見える。





一周は360度未満?


「敬学館地下の長錯視」

廊下の両端の斜線の成す角度は鋭角に見えるが、実際には鈍角である(下図参照)。長錯視については、現在のところこちらを参照

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 28)

Copyright Aliyoshi Kitaoka 2011 (February 3)


「両眼立体視的長(おさ)錯視」

各台形の斜辺の成す角度は90度である。しかし、隣同士両眼融合すると過小視されて、かなり鋭角に見える。上辺が奥に見える場合に特に顕著である。「両眼立体視的に奥行き方向に傾いた辺の過大視」との関係が示唆される。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)

「長(おさ)錯視と両眼立体視的長(おさ)錯視」

それぞれの青い道路の台形の斜辺の成す角度は90度であるが、鋭角に見える(長錯視あるいは道路写真の角度錯視)。しかし、隣同士両眼融合するとさらに過小視されて、かなり鋭角に見える。上辺が奥に見える場合に特に顕著である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 17)

Thanks to Idesawa sensei for discussion


「両眼立体視的長(おさ)錯視・鈍角版」

隣同士両眼融合して観察すると、床あるいは天井の左右の折れ曲がった辺の成す角は絵では90度なのにそれより大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 19)

「長(おさ)錯視・鈍角版」

道路の左右の折れ曲がった辺の成す角は絵では90度なのにそれより大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 20)


錯視とS3D (6) 長(おさ)の角度錯視に関連すると考えられる位置ズレ錯視



「上賀茂神社の月」

この作品はポッゲンドルフ錯視のような錯視を示したものである。参道の右側の縁(白い道と枯れた芝生の境界)の延長線上にある月は左右のどちらか? 一見、右の月に見えるが、実際は左の月である(下図参照)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 28)

豆知識 ・・・ 上賀茂神社のこの方向(北向き)には月は出ない。




「的はずし錯視」

弓矢や銃で狙った的が外れているように見える錯視。渡辺英治先生が2011年2月16日に指摘。本図では、おにいさんは、右方の赤か緑の球を狙っているように見えるが、一番左の青の球を狙っている(下図)。こういう場合は、横から「的を外しているよ」などと口出ししないのが長生きの秘訣である。

Copyright Eiji Watanabe and Akiyoshi Kitaoka 2011 (February 19)




以下、参考(渡辺錯視

「2010卯」

左の絵の黒目の直径は右の絵の黒目の2倍であるが、もっと大きく見える(それぞれデルブーフ錯視の内円の過大視と過小視か?)。そのほか、左右の絵とも「平成23年」を見ているように見えるが、目の枠の中心と黒目の中心を結ぶ線が視線であるとするなら、実際には「卯」を見ている(渡辺錯視)。

(平成23年の年賀状デザインです)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (December 28)


「遠近法的ポッゲンドルフ錯視」

左の壁の上辺は右の壁の下辺と一直線上にあるが、左の方が少し上にあるように見える。左の壁の上から2~5番目の色の付いた線は右の壁の下から2~5番目の色の付いた線と一直線上にあるが、左の方が少し上にあるように見える。一方、右の壁の上辺は左の壁の下辺と一直線上にあるが、右の方が少し上にあるように見える。右の壁の上から2~5番目の色の付いた線は左の壁の下から2~5番目の色の付いた線と一直線上にあるが、右の方が少し上にあるように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)


「遠近法的ポッゲンドルフ錯視・S3D」

両眼立体視すると台形の右辺の延長線上に月があることになるが、月は延長線よりも左にあるように見える。月の視差は水平線の視差と一致。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)

「遠近法的ポッゲンドルフ錯視が弱いS3D」

両眼立体視すると台形の右辺の延長線上に月があることになるが、月は延長線よりも左にあるように見えるが、上の図よりは変位が少ない。月の視差は斜辺の消失点の視差と一致。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (March 11)

「月」は消失点の奥行き(理想的水平線の奥行き)よりも手前に見えている?



その他

本研究会・講演会のデザイン

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (January 11, February 16, 20)


本研究会・講演会のデザインに使っている錯視「シマシマドリフト錯視」


「シマシマドリフト錯視」にシャドーをつけたところ



"ICP2016 Japan motion illusion"

Words or the background appear to move.

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (August 1)


その他 2


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ IV
Optimized Fraser-Wilcox illusion, Type III


「錠剤の回転」
(たくさん版)

錠剤のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (March 24)

<配布プリント>



最適化型フレーザー・ウイルコックス錯視群


Kitaoka, A. (2007) Phenomenal classification of the “optimized” Fraser-Wilcox illusion and the effect of color. Poster presentation in DemoNight, VSS2007, GWiz, Sarasota, Florida, USA, May 14, 2007.

Kitaoka, A. (2008) Optimized Fraser-Wilcox illusions: A pictorial classification by Akiyoshi Kitaoka. Talk in a workshop (WS005) in the 72nd Annual Convention of the Japanese Psychological Association, Hokkaido University, Sapporo, September 19, 2008. Presentation page

北岡明佳 (2008) 人はなぜ錯視にだまされるのか? トリック・アイズ メカニズム カンゼン



「蛇の回転」

蛇の円盤が勝手に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2003 (September 2, 2003)

<配布プリント>


これらは、 黒→濃い灰色→白→薄い灰色→黒 の方向に動いて見える錯視群である。

Direction: black → dark-gray → white → light-gray → black


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ I
Optimized Fraser-Wilcox illusion, Type I


「赤い蛇の回転の詰め合わせ」

リングがゆっくり、あるいは急速に回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (March 19)


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ IIa
Optimized Fraser-Wilcox illusion, Type IIa


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ III
Optimized Fraser-Wilcox illusion, Type III


「影付きの左右に動く蛇」

蛇が左右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 7)


赤と紫特有の「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ V
Optimized Fraser-Wilcox illusion, Type V


「赤い円盤の回転」

赤い円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 18)

最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプVの作品いろいろ


この錯視のわかりやすい説明のある本

北岡明佳著 人はなぜ錯視にだまされるのか? トリック・アイズ メカニズム カンゼン刊

(定価:1,600円(税別) ISBN 978-4-86255-020-0) アマゾンのページ

錯視のメカニズムの解説多し!


北岡明佳著 錯視入門 朝倉書店 (2010年7月)  new! 

 もっと情報


空間知覚の変位としての錯視が、単眼視空間と両眼視空間の両方に存在するとともに、錯視量が多くて注目される。


い 

ご清聴ありがとうございました。


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【プログラム】

09:30~      受付開始

10:00~10:15(15分) 開会の挨拶 羽倉弘之(三次元映像のフォーラム:代表幹事)

〈午前の部〉 座長(司会):北岡 明佳 (立命館大学 教授)

10:15~10:40(25分) 発表1 「運動視差勾配による奥行き知覚の記述」 松下 戦具 (大阪大学)

10:40~11:05(25分) 発表2 「色立体視における重心説の検討」 田村 静香(立命館大学)

11:05~11:30(25分) 発表3 「The face inversion effect on perception of the vertical gaze direction:a preliminary report (正立顔と倒立顔の視線方向知覚) 」 Jasmina Stevanov (立命館大学)

11:30~11:55(25分) 発表4 「両眼視差のない画像の立体視」 伊藤 高秋 (S3D映像研究家)

12:00~13:00 昼休み・展示デモ                 

〈午後の部:招待講演〉 座長(司会):羽倉 弘之(3Dフォーラム 代表幹事)

13:00~14:00 講演1 「錯視とS3Dが活かされる世界 」 北岡 明佳 (立命館大学)

14:00~15:00 講演2 「ミニチュア効果はなぜ起こる?:ボケと奥行きと大きさの不思議な関係 」 佐藤 隆夫 (東京大学)

15:00~15:30 休憩・展示デモ

15:30~16:30 講演3 「錯視いろいろ:3.5次元に生きる人と動物たち 」 渡辺 英治 (基礎生物学研究所)

16:30~17:30 講演4 「ベクションのはなし:どうすれば人を動かせるか?」 妹尾 武治 (九州大学)

17:30~17:35 閉会の挨拶 北岡 明佳


18:00~     懇親会(以学館地階食堂にて、無料です)