こどものための科学講演会
伊丹市立こども文化科学館・プラネタリウム室
2009年11月8日(日) 10:00-11:30

なぜだまされる?の世界

北 岡  明 佳 立命館大学文学部心理学専攻 since November 1, 2009


本日のメニュー

 1. 脳内処理時間を見る 

 2. 「蛇の回転」錯視 

 3. 「本当の色」を見るトリック 

 4. 昔なつかし形の錯視 



 1. 脳内処理時間を見る 



オオウチ錯視(蘆田最適化版)

内側の領域が動いて見える。

References

Ouchi, H. (1977) Japanese optical and geometrical art. Mineola, NY: Dover.

Spillmann, L., Heitger, F. and Schuller, S. (1986) Apparent displacement and phase unlocking in checkerboard patterns. Paper presented at the 9th European Conference on Visual Perception, Bad Nauheim


Ashida, H. (2002) Spatial frequency tuning of the Ouchi illusion and its dependence on stimulus size. Vision Research, 42, 1413-1420.



「アンドロイド目ダ星雲人」

目や口が拡大して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (November 1)


アンドロメダ銀河までは230万光年


「踊るハート達」

ハートが動いて見える。めがねをかけている人は、めがねを動かすとよく見えるかもしれない。離れたところから見ると、明るくなった時のハートは白のランダムドットより手前に見え、暗くなった時のハートは奥に見える人が過半数と予想される。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (December 20)

文献

Kitaoka, A. and Ashida, H. (2007) A variant of the anomalous motion illusion based upon contrast and visual latency. Perception, 36, 1019-1035. PDF

Kitaoka, A, Kuriki, I. and Ashida, H. (2006) The center-of-gravity model of chromostereopsis. Ritsumeikan Journal of Human Sciences, 11, 59-64. PDF



モノクロでOK


配布物
「踊るハート達」 (MS-Word ファイル)
北岡明佳 (2006) 色が強くなる錯視 A・F・Tジャーナル, 31 (Summer), pp. 01.


踊るハート錯視
(fluttering-heart illusion)

(Helmholtz, 1867; Nguyen-Tri and Faubert 2003; von Grünau 1975a, 1975b, 1976; von Kries 1896)

静止画が動いて見える錯視のカタログ

 中山(2008)によると、踊るハートは赤が重要。青不要。ピンクはダメ。

中山明子 (2008) 「踊るハート」錯視(1844)と「踊るハート達」錯視(2006)の比較検証 2008年度立命館大学文学部(人文学科心理学専攻)卒業論文

みなさんも作ってみよう。ワープロでできます。

配布プリントのMSワードファイル


 2. 「蛇の回転」錯視 



「蛇の回転」

蛇の円盤が勝手に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2003 (September 2, 2003)

(配布物)



質問紙(調査票)

この錯視があまり見えない方へ。個人差ですので、心配しないで下さい。錯視が見えた方がたぶん面白いのですが、仕方ないです。私にも、言われている通りに見えない錯視があります。どうぞ、他の見える錯視を楽しんで下さい。


これなら見える?
(すべて正方形か長方形でできているが、カープが感じられる) 



下図はこれまでの北岡が収集したデータである。


この累計における評定値の割合を示したのが下図である。いずれ、年齢層別のグラフも作成の予定である。

謝辞 本研究は、平成18・19・20年度科学研究費補助金 基盤研究(A)(研究代表者・北岡明佳) 「静止画が動いて見える錯視群のメカニズムの研究」 課題番号18203036 の助成を受けた。 


「カメの回転」

カメの集団が回転して見える。そのほか、左右に動いて見える錯視や、垂直・水平に並んだエッジが傾いて見える錯視もある。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 19)


「てんとう虫の回転」

てんとう虫のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 7)


「赤紫のコメの波」

図が波打って動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (November 1)



「影付きの左右に動く蛇」

蛇が左右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 7)



「錠剤の回転」

錠剤のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (October 1)



「ハートの回転」

ハートのリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 23)


(北岡による勝手な)
最適化型フレーザーウィルコックス錯視の最新の分類

Type Basic illusion that
motion direction is
from dark to light
Basic illusion that
motion direction is
from light to dark
Examples
(click the thumbnail)
I







IIa







IIb







III







IV







V
new!

(VSS DemoNight 2007)


参考 北岡明佳著 「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」



拙著、錯視本「トリック・アイズ メカニズム」もご参考に!

 黒→濃い灰色→白→薄い灰色→黒 の方向に動いて見える錯視である。


謎の赤と紫特有の錯視(タイプ V)


「赤い円盤の回転」

赤い円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 18)

配布したものはこちら →




 3. 「本当の色」を見るトリック 

配布プリント



「目の色の恒常性・総当たりの組み合わせの実験結果」

それぞれの画像において、左右の目の色は物理的には同じであるが、色が違って見える画像がある。それぞれの画像の右目(色のフィルターがかかっている側)の色が反対側の髪飾りのビーズと同じ色に見える場合は、色の恒常性が成立していることになる。使用した色は、目とフィルターの色ともに、赤、黄、緑、シアン、青、マゼンタであるから、6 x 6 = 36 個の画像がある。作者には青の恒常性がイマイチに見えるが、観察者によって違いがありそうである。PCディスプレー(MITSUBISHI Diamondcrysta RDT1713S)で見ると、右目が黄(左から2番目の縦の列)の色の恒常性がフィルターの色にかかわらず優れているが、カラーレーザープリンタ(XEROX DocuPrint C3540)で印刷してみたところ、フィルターが緑の画像(左から2番目で上から3番目)の効果が弱かった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 7)


2000 x 2642 pixel



おにいさんの絵でも目の色の恒常性は成立する。 当たり前?

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 9)



「青い金閣」

金閣の金箔部分は物理的には青みがかった灰色なのであるが、金色に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 1)




元の写真


キルシュマンの法則(色の対比の法則)
(1)誘導領域(取り囲む領域)と比較してテスト領域(ターゲット領域)が小さければ小さいほど、色の対比は大きい。

(2)色の対比は2つの領域が離れていても起こる。しかし、離れれば離れるほど対比の効果は減少する。

(3)色の対比の量は誘導領域の面積によって異なる。

(4)色の対比は、明るさの対比がないか少ないところで最大となる。 (第3法則と呼ばれる)

(5)明るさが同じならば、色の対比は誘導する色の飽和度(彩度)に影響される。


Graham, C. H. and Brown, J. L. (1965) Color contrast and color appearance: Brightness constancy and color constancy. In C. H. Graham (Ed.), Vision and visual perception, New York: John Wiley & Sons (pp 452-478). (In this paper, the third and fourth laws are exchanged)

Kirschmann, A. (1891) Über die quantitativen Verhältnisse des stimultanen Helligkeits- und Farben-Contrastes. Phil. Stud., 6, 417-491.

Yund, E. W. and Armington, J. C. (1975) Color and brightness contrast effects as a function of spatial variables. Vision Research, 15, 917-929.


 以下は筆者がドイツ語の原文の要約部分(Kirschmann, 1891, p. 491)から直訳したものである。

(1) 純粋な同時的明るさ対比の強度と、おそらくは純粋な色の対比の強度も、静止した目における明確で大きい知覚の境界の内側において、誘導する網膜部位の範囲に線型に比例するか、あるいは同じ面積の平方根に比例して増大する。

(2) コントラスト効果の強さとは関係なく、コントラストが引き起こす強度を、対応する範囲を大きくすることによって、より弱い強度に変えることができる。つまり、コントラストにおいては、範囲と強度の間には相互関係もある。

(3) 同時色対比は、明るさの対比がないか最小限の場合に、最大の効果を発揮する。

(4) 色の印象と同じ明るさの灰色との同時コントラストは、誘導する色の飽和度が大きくなるほど、この後者に比例するというよりはむしろより小さい規模で、おそらくは対数比例的に増大する。

(5) 二つの色の間の同時コントラストは、二つの成分から成る。それらの定量的な関係は、二つの色の飽和度が同じように増加する場合や減少する場合に、同じようにではなく変わり、また矛盾したように変わる。

(6) 二つの色の間の相反するコントラストは、二つの色が中間の飽和度の場合に、最大に達する。


 キルシュマンの法則とキルシュマンの原文の要約部分を比較すると、内容が一致していないことがわかる。キルシュマンの法則は5つであるが、原文では項目は6つである。キルシュマンの法則の1番は原文の1番と一致している。注目のキルシュマンの法則の4番は原文では3番である。ということは、「キルシュマンの第三法則」とは、原文の順番で言っていることになる。キルシュマンの法則の2番は原文の要約には登場しない。3番には原文の1番と2番が対応する。5番に対応するのは、原文の4番、5番、6番である。

「入学式」

灰色で描いたサクラの花びらに、色が付いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2007 (March 2)

図にカーソルを載せると、花びらは灰色であることがわかる。


色の付いた領域が灰色に見える錯視

「酒井の色の対比」

上の正方形の列は同じ灰色に見えるが、左の5つの正方形と右の5つの正方形を入れ換えて下の列に並べてみると、かなり違っていることがわかる。一番下の2つの正方形は外に出してみたところで、左の緑の正方形は右上の5つの正方形と同じで、右のピンクの正方形は左上の5つの正方形と同じである。誘導背景の色に最大の彩度を用いないことがポイントであった。

Copyright A.Kitaoka 2002


左上5列の「灰色」と右下5列の「青」は物理的には同じであり、右上5列の「灰色」と左下5列の「黄」は物理的には同じである。

酒井香澄(「Landの二色法による色再現とBelseyの仮説検証」立命館大学文学部哲学科心理学専攻2002年度卒業論文)の発見をベースにしている。


彩度対比

彩度(色の鮮やかさ)の高い色に囲まれた領域の彩度は低く見え(左図)、彩度の低い色の囲まれた領域の彩度は高く見える(右図)。


栗木一郎先生のデモ  元のページ(NTT CS基礎研究所)  そのコピー(アクセスできない場合に使用) 



「色のスネーク錯視」

ひし形はすべて50%灰色(R=127, G=127, B=127)であるが、まわりに色の反対色に色づいて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 1)

エーデルソン先生のスネーク錯視はこちらから。

Reference

Adelson, E. H. (2000) Lightness perception and lightness illusions. In M. Gazzaniga (Ed.), The New Cognitive Neurosciences, 2nd ed. Cambridge, MA: MIT Press (pp. 339-351).

スネーク錯視



参考 チェッカーシャドー錯視(Adelson先生のページ)


(明るさの恒常性)


「本物の床のチェッカーシャドー錯視」

AのタイルはBのタイルより暗く見える(中央の図)が、輝度はAの方が高い(右図)。元の写真(左図)は前橋市で撮影。

Copyright hisa and Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 27)
Original photo from hisa, Japan, May 26, 2009


「おばけ」

おばけの「服」の明るさは左右で同じであるが、左が明るく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (July 21; modified August 3)


Area A appears to be kind of white and B appears to be bluish, though A = B in physical colour. This is just colour constancy!



Area A appears to be yellowish and B appears to be gray, though A = B in physical colour. This is just colour constancy!



Lightness constancy should be displayed like this
in the Snake illusion configuration.

Area A appears to be kind of white and B appears to be dark gray, though A = B in luminance. This is just lightness constancy!


グラデーションと明るさの恒常性を用いた明るさの錯視の作り方

Luminance-gradient-dependent lightness illusion*

*The term "Luminance-gradient-dependent brightness contrast" is also possible.

The left square appears to be darker than the right one, though they are identical in luminance gradient.

produced by Akiyoshi .Kitaoka 2006 (March 16)

cf. Land, E. H. and McCann, J. J. (1971) Lightness and retinex theory. Journal of the Optical Society of America, 61, 1-11. <touched up April 9, 2006>


"Anatomy" of the luminance-gradient-dependent lightness illusion

produced by Akiyoshi .Kitaoka 2006 (March 16)


「ロボット」

左の円が右の円よりも明るく見えるが、物理的には同じ明るさである。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (December 10)


「忍者」

左右の目の物理的明るさは同じであるが、向かって左の方が明るく見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (August 13)




Intrinsic model of the luminance-gradient-dependent lightness illusion

In this model, the luminance profile is explained as the summation or multiplication of illuminantion and surface reflectance.

produced by Akiyoshi .Kitaoka 2006 (March 16)


「金色の正方形」

10個の濃さの違う正方形があるように見えるが、すべて同じ色・明るさである。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (March 7)


「色グラデーションの錯視」

A と D、B と C が同じ感じに見えるが、物理的には C と D が同じである。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2005 (August 12)


 5. 昔なつかし形の錯視 

カタログ


ミュラー=リヤー錯視


ツェルナー錯視


ポッゲンドルフ錯視


文字列が傾いて見える錯視

「安全工学傾き錯視」

「安全工学」文字列は右上がりに見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 15)

少し動いて見えるような気も・・・


市松模様錯視

「膨らみの錯視」

市松模様の床が膨らんでこちらにせり出しているように見えるが、物理的にはすべて正方形で描かれており、感じられる丸みは錯視である。

Copyright A.Kitaoka 1998


渦巻き錯視


「水の渦」

同心円が渦巻きに見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (March 3)


ほかにもいろいろありますが、遠近法的説明が必要そうな最近の錯視を紹介します



「上賀茂神社ポンゾ錯視」

2つの黒い線分は同じ長さであるが、上の方が長く見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (August 22)

2006年11月29日撮影



ポンゾ錯視

2つの対象は同じ大きさであるが、頂点に近い側の対象が大きく見える。



大きさの恒常性の例(北野天満宮)

遠くにいる人物は近くにいる人物よりも網膜像は小さいが、身体が小さいようには見えない。

2005年3月14日撮影


ポンゾ錯視やミュラー=リヤー錯視などの遠近法的錯視では、みかけの大きさとみかけの距離は必ずしも相関しない。


見かけの奥行きに依存する錯視群

「目の大きさ錯視」

左右の図の両目は物理的には同じに描かれているが、左の図では自然な感じだが、右の図では不自然に右目が小さく左目が大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (August 17)

これは、みかけの奥行きに依存した大きさの錯視かもしれない。


シェパード錯視
(Shepard illusion or table-top illusion)

Shepard, R. N. (1990) Mind sights: original visual illusions, ambiguities, and other anomalies, with a commentary on the play of mind in perception and art. New York: Freeman. (R.N.シェパード著、鈴木光太郎・芳賀康朗訳 (1993) 視覚のトリック:だまし絵が語る「見る」しくみ 東京:新曜社)

「赤い屋根」 赤い屋根は合同なのであるが、左の屋根は右の屋根に比べて細長く見える。シェパード錯視のバリエーション。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 24)

「楕円の錯視」

右の楕円は左の楕円よりも細長く見えるが、同じ形である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)


斜塔錯視
(Leaning Tower illusion)

左右の写真は右方向に傾いたように撮影した斜塔であるが、右の写真の傾きが大きく見える(Kingdom et al., 2007)。

Kingdom, F. A. A., Yoonessi, A., and Gheorghiu, E. (2007) The Leaning Tower illusion: a new illusion of perspective. Perception, 36, 475-477.


「仁和寺五重塔」

左の塔がより左に傾いているように見えるが、同じ写真である。

写真は2009年9月20日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (September 20)

References

Kingdom F A A, Yoonessi A, Gheorghiu E, 2007, "The Leaning Tower illusion: a new illusion of perspective" Perception 36(3) 475-477


「錯視砦の三錯視」

この図には錯視が少なくとも3種類ある。 (1) 左の階段は左向きに、中央の階段は中央向きに、右の階段は右向きに見えるが、3枚とも同じ写真である。これは、ピサの斜塔傾き錯視(Leaning Tower illusion)(Kingdom et al., 2007)のバリエーションと考えられる。 (2) 階段の下の方は左に、上の方は右に傾いて見える。これは、對梨成一氏のゆがんだ階段錯視(skewed staircase illusion)である。 (3) 階段が上昇するように見える。 (ん、そうは見えない?)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 21)


「桜の嵐電」

この嵐電は北野白梅町行きなので、後ろから撮影している。左の嵐電は右に比べてより左の方向に向かっているように見えるが、同じ写真である。

写真は2003年4月10日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 30)


「御室の切り通しの嵐電」

この嵐電は帷子の辻行きなので、後ろから撮影している。上の嵐電は下に比べてより上の方向に向かっているように見えるが、同じ写真である。

写真は2002年9月20日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 30)


「滑走路」

左右同じであるが、右の方が垂直からの傾きが大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)

ピサの斜塔傾き錯視と同じメカニズム?


「箱傾き錯視」

左右の箱は同じ絵であるが、右の箱の奥は左よりも右に振っているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)


斜塔錯視は新しいか?

グレゴリーのテーブルの錯視

左右の赤い平行四辺形は同じ形であるが、左の平行四辺形は左辺と右辺は上方に開いて見え、右の平行四辺形は左辺と右辺は下方に開いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (July 15)

References

"a top-down distortion"

Gregory, R. L. (1998) Eye and Brain, the fifth edition Oxford University Press. (pp. 232)

斜塔錯視は基本的にはグレゴリーのテーブルの錯視のようである。


ネッカーの立方体

奥行き反転図形である。グレゴリーのテーブルの錯視が含まれている。グレゴリーの記述には、ネッカーの立方体で奥に見える正方形は過大視されると読める部分がある。


「後方の過大視」をデモしてみる

「後ろにいるのがおにいさん」

左右同じ大きさの人物であるが、後方に知覚される人物(上図では左、下図では右)の方が大きく見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (August 22)

「ハム」

左のハムが大きく見えるが、左右同じ大きさに描かれている。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2008 (July 16)

「干草ロール」

3つの干草ロールは同じ大きさであるが、左から大・中・小に見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (August 24)

2009年8月21日撮影

「上賀茂神社回廊錯視」

2つの干草ロールは同じ大きさであるが、上の方が大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (August 24)


「両眼立体視による後方の過大視」*との関係は?

*これを大きさの恒常性と呼ぶ場合もある

「両眼立体視による後方の過大視のデモ」

網膜像としては同じ大きさのものでも、相対的に遠くに見えるものは大きく見え、近くに見えるものは小さく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 17, 18)


最後に、月の錯視との関係は?


プラネタリウムならではのデモを行ないます。


 ご清聴ありがとうございました。


錯視の分類
1. 形の錯視(幾何学的錯視) カタログ 専門書
2. 明るさの錯視  カタログ 
3. 色の錯視  カタログ 色の錯視いろいろ(配布資料) 
4. 動きの錯視  静止画が動いて見える錯視のカタログ

(5. 立体視の錯視)
(6. 視覚的補完の錯視) カタログ
(7. だまし絵) 解説
錯視のカタログのページ
錯視のカタログのある本
関連する知覚心理学の本
北岡の「だまされる視覚 錯視の心理学」(2007年)
ニュートンムック「錯視 完全図解」(2007年)
他の錯視に及ぼす色の効果
   
色が動く錯視に及ぼす効果(ロレアル賞受賞記念講演)
参考 色彩学会2005年シンポジウムの発表

北岡明佳の錯視のページ