顔の錯視 4
2008年1月7日より
「表情の口優位性効果」と「表情の眉優位性効果」
おねえさんの目はどの画像もすべて同じに描かれているが、口と眉が怒っていると目も怒って見え、口と眉が笑っていると目も笑っているように見える。目の優位性効果(「目は口ほどにものを言う」)は広く知られているが、このことから「口は口ほどにものを言う」ということと、「眉も口ほどにものを言う」ということがわかる。北原義典先生((株)日立製作所 中央研究所 情報システム研究センタ)の発見した顔特有の文脈効果現象である。実験データは近いうちに発表予定とのことである。この図は北原先生の作画(2009年12月8日リニューアル)。
Copyright Yoshinori Kitahara 2008 (August 7)
from Yoshinori Kitahara, Tokyo, Japan, August 7, 2008
「表情の口優位性効果」、より正確に言うなら「目の表情の口優位性効果」は、上田(2007)が最初に発見し、実験データとともに報告した。 <2012年1月28日>
上田彩子 (2007) 眼の喜び表情の決定要因: 眼は口ほどにものを言うか? 認知心理学研究, 5, 63-69.
旧バージョン
口だけ(上段)、眉だけ(中段)、口と眉両方(下段)で笑顔としかめっ面を作成した例。どの画像も目は同じに描かれているが、口や眉に影響されて目が笑ったり困ったりするように見える。なお、眉単独で笑顔を誘導するのは困難のようであった(中段左)。この図は北岡の作画。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 11)
朝倉書店から出版予定(2009年)の錯視本のための修正画像 (オリジナルのCorelDRAWファイル)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 12)
「表情の口優位性効果」と「表情の眉優位性効果」には顔倒立効果は少ない?
顔が倒立していても、口優位性効果と眉優位性効果(北原, 2009)は有効のように見える。これが一般的事実ならば、口と眉の形は顔の輪郭を基準に情報処理されていて、網膜像の向きに依存する程度の強い目とは処理のやり方が異なる、ということを意味する。一方、北原先生は、口と眉の形は顔の輪郭よりも目との相対位置関係を基準に情報処理されている可能性を指摘している。 <2009年2月13日>
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 13)
サッチャー錯視と口優位性効果・眉優位性効果
サッチャー錯視と口優位性効果・眉優位性効果は独立した現象のようである。倒立顔で目をさかさまにしても、その目に対して口優位性効果・眉優位性効果がある(上図)。この図をさかさまにして正立顔にすると目は奇妙に見える(サッチャー錯視)が、その奇妙な目に対して口優位性効果・眉優位性効果がある(下図)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (February 13)
「上下回転による視線の錯視」
この図を180度回転させると同じ図になるが、上の人物は観察者の左側を見ているように見えるが、下の人物は観察者を見ているように見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (August 9)
「鏡映反転による視線の錯視」
左右は鏡映反転画像であるが、左の人物は観察者を見ているように見えるが、右の人物は観察者の左側を見ているように見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (August 6)
さかさまにすると、どちらも観察者を見ているように見える。
図を大きくしても同じである。
しかし、 と の比較だと
あまり効果がない(どちらも観察者の方を見ているように見える)ような・・・
「斜め顔の大きさ錯視」
2つの顔は同じ大きさであるが、右の顔が大きく見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (July 16)
下図では左の顔が大きく見える。
「顔ガクガク錯視いろいろ」
顔がガクガクして見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (May 10)
「『バレンタイン・ブルース錯視』のイラスト版」
人の顔(左の絵)の目と口の位置を入れ替えたら変な顔になるが(中の絵)、それをさかさまにしたらもっと変な顔になる(右の絵)、という錯視。「サッチャー錯視において、顔の輪郭がさかさまの時は変な顔に見えないのは、顔の輪郭が参照枠として働いているためで、顔の輪郭が正立している時に顔の知覚がうまくいく」という説(Parks, 1983)に対して、Valentine and Bruce (1985) が反論した論文の錯視図形である(彼らはサッチャー元英国首相の肖像を使用、当時は現役の首相)。顔の輪郭がさかさまの時にも変な顔ができる、という主張である。 んー、それでいいのだろうか・・・
Parks, T. E. (1983) Letters to the Editor. Perception, 12, 88.
Valentine, T. and Bruce, V. (1985) What's up? The Margaret Thatcher illusion revisited. Perception, 14, 515-516.
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 13)
サッチャー錯視(下図)では、中の絵だけが変な顔。
目と口の位置だけでなく、目と口もそれぞれ上下反転させると、バレンタイン・ブルース錯視の効果は小さくなるような気がするなあ。
「たらこくちびるガクガク錯視」
唇は上下2枚あるからガクガク錯視が起きるかどうか試してみたところ、右の画像では少し起きているような気もする・・・
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 17)
「横にすることによる視線方向の錯視」
右の画像は左の画像を90度回転させたものである。左の画像では目は観察者を直視していないように見えるが、右の画像では直視しているように見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 14)
「目の大きさ錯視」
左右の画像では目は同じである。しかし、左の画像では右目が左目よりも長く、右の画像では左目が右目よりも長く見える(両目は実際には同じ長さである)。左の画像では両目が水平に並んでいるように見えるが、右の画像では左目が右目よりも高い位置にあるように見える錯視もある。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 7)
「サッチャー錯視のイラスト版 3」
左の図は笑顔の女性を描いたイラストをさかさまにしたもので、右の図は左の図の目と口をそれぞれ上下反転させたものである。右の図を見るとあまり奇妙な感じは受けないが、図をさかさまにして見る(下図)と、かなり奇妙な顔になっていることがわかる。この錯視はサッチャー錯視と呼ばれ、Peter Thompson先生が1980年(サッチャーが首相になった次の年)に発表した。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 7)