顔の錯視 2
2007年11月16日より
「視線方向が変わって見えない画像変換・クリスマス2007版」
顔画像を平行四辺形の形に変換しても、視線方向はあまり変わって見えない(両方ともこちらを見ているように見える)。(本図のようにくっつけると、右図は視線が向かって右に少し寄っているように見えるなあ・・・)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 21)
「視線方向が変わって見える画像変換・クリスマス2007版」
顔画像を平行四辺形以外の形(たとえば台形)に変換すると、視線方向はその奥行き手がかり示す方向に変わって見える(左はこちらを、右は向かってやや右寄りを見ているように見える)。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 21)
「鼻の向きだけでのウォラストン錯視(視線方向の錯視)」
左右の顔は鼻の向きを除いて同一であるが、左の顔はこちらを見ているように見え、右の顔は向かって右寄りに視線がずれて見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 19)
うーん、ビミョーか。
参考
「ウォラストン錯視(視線方向の錯視)」
向かって左の顔はこちらを見ているように見えるが、向かって右の顔は向かって右の方向を見ているように見える。しかし、絵としては、両者とも同じ目である。この錯視を視線方向の錯視(Wollaston, 1824)という。なお、原画は若いお兄さん。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 20)
Wollaston, W. H. (1824) On the apparent direction of eye in a portrait. Philosophical Transactions of the Royal Society of London, B114, 247-256. (下記山口先生の解説から孫引き)
山口真美 (2006) 乳児に視線はどう見えるのか? 心理学ワールド, 34(特集・視線とコミュニケーション), 5-8.
「まぶたの操作による視線方向残効」
右を見ている人を見続けると、正面を見ている人が少し左を見ているように見える。この動画では、順応刺激10秒、テスト刺激1秒である。視線方向残効(eye direction afterefect: EDAF)は、東京大学の瀬山淳一郎先生が2006年に発表した(Seyama and Nagayama, 2006)。もちろん、彼らの順応刺激は、黒目の方が操作されている。
Seyama, J. and Nagayama, R. S. (2006) Eye direction aftereffect Psychological Research, 70, 59-67.
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 18)
左を見ている人を見続けると、正面を見ている人が少し右を見ているように見える。この動画では、順応刺激10秒、テスト刺激1秒である。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 18)
上の2つの動画のテスト刺激↓
自閉症研究で有名なバロン=コーエン先生(Professor Simon Baron-Cohen)が他者の心を読むための機構の構成要素として提案したものの一つに、視線検出器(eye direction detector: EDD)がある(Baron-Cohen, 1995a, 1995b)。視線検出器なるモジュールあるいは視線方向のゲシュタルトがあるなら、その残効もあると予想できる。上の動画ではrepresentational momentumなどの影響がないように黒目は動かさず、上まぶたを動かすというトリックを使って、それらしい現象を観察できるようにした。しかし、これにも「上まぶたのrepresentational momentumの効果ではないか」などの批判の余地がある。そのため、これらの動画で視線方向残効と視線検出器の存在を証明したとまでは言えない。視線運動残効を発見したSeyama and Nagayama (2006) も、視線検出器の存在については、別の観点から慎重な言いまわしで断定を避けている。
Baron-Cohen, S. (1995a). The eye direction detector (EDD) and the shared
attention mechanism (SAM): Two cases for evolutionary psychology. In C.
Moor & P. J. Dunham (Eds.), Joint attention: its origins and role in development (pp. 41–59). Hillsdale, NJ: Erlbaum.
Baron-Cohen, S. (1995b). Mindblindness: An essay on autism and theory of mind. Cambridge, MA: MIT.
「プルキンエ・サンソン像による視線方向の錯視」
3つの図は、プルキンエ・サンソン像(Purkinje-Sanson image)(黒目の中で強く光っているところ)を除いて同一であるが、左の図は向かって左方向を、中央の図は正面を、右の図は向かって右方向を人物が見ているように見える傾向がある。プルキンエ・サンソン像の方向に、みかけの視線方向が寄る現象である。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 17)
絵描きや漫画家は自明のごとく知っている現象で、錯視というほどでもないかもしれない。
「目の輪郭による視線方向の錯視」
3つの図は、目の(上まぶたの)輪郭を除いて同一であるが、左の図は向かって左方向を、中央の図は正面を、右の図は向かって右方向を人物が見ているように見える。視線の方向は、顔における黒目の位置ではなく、目の輪郭の中の位置の情報が重要であることがわかる。(ん、あたりまえか?)
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 17)
「安藤新樹先生の充血錯視のイラスト版」
輝度に誘導された視線方向のずれ効果(luminance-induced gaze shift)あるいは充血錯視(bloodshot illusion)(Ando, 2002)。白目の部分を暗くすると、暗くした方向に視線がずれて見える。3つの図は赤い部分を除いて同一であるが、左の図は向かって左方向を、中央の図は正面を、右の図は向かって右方向を人物が見ているように見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 15)
Ando, S. (2002). Luminance-induced shift in the apparent direction of gaze. Perception, 31, 657-674.
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 15)
「『顔ガクガク錯視』はサッチャー化しても起こるが、そのさかさま顔では弱い」
左図を見ると、4つ目で口が2つの女性というよりは、観察者の目が落ちつかないかのように、図がガクガクして見える。 すみませーん、この錯視、名前はありますか? 知っている方は文献を教えて下さい。 →北岡にメールする この「顔ガクガク」錯視は、さかさま顔では弱い(右図)ので、顔特有の錯視であろう。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (December 11)
サッチャー錯視のページはこちら
「サッチャー錯視のイラスト版 2」
上下の図は上下対称の図に見えかもしれないが、これはサッチャー錯視の図で、対称ではない。この図をさかさまにして見る(下図)と、かなり違うことがわかる。サッチャー錯視は、Peter Thompson先生が1980年(サッチャーが首相になった次の年)に発表した。Peterは自分自身の顔でもやっている。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (November 16)
「サッチャー化したさかさま顔の過大視」
サッチャー化(目と口を上下反転させること)しても、さかさま顔の過大視が見える。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (November 16)
サッチャー錯視とさかさま顔の過大視のページはこちら
さかさま顔の過大視の研究のページ
(2007年6月9日)