北岡講義ページ2015

立命館大学 オンラインシラバス

since April 2, 2015


学生の皆さんへ

世間を騒がすトップ研究所とトップ私大のスキャンダルに関連しまして、緊急に申し上げます。自分のレポートや論文に他者の著作物から何かをコピペしたら、その部分は引用であることを明らかにするのですよ。引用文献は正確にクレジットするのですよ。引用のやり方は教わるはずですし、まともな著作物の体裁を見てもやり方がわかります。引用の正式なやり方に自信がなくても、「コピペしてきたこの部分は自分のオリジナルではなく借りものである」ことがわかるようにしておく必要があります。なお、インターネットで見られる文書には引用に不備があることが多く、参考にしてはいけないことが多いです。もし、コピペして正しく引用していなければ、その部分は剽窃(盗用)ということになり、アウトです。「コピペしても減るもんじゃあるまいし」と考える人もいるかもしれませんが、引用であることを示されていない部分はコピペした人のオリジナルということになりますので、他者の著作物からコピペしたにもかかわらず正しい引用を示さないと、その他者の著作物の価値が下がっていきますから、「減るもの」なのです。

<March 17, 2014>


1. 心理学入門講義・心理学概論 I (前期・心理学入門講義は心理学域の1回生のみ受講可、心理学概論Tは5回生以上)  ・・・ 心理学の全体を概説致します。内容は心理学域・心理学専攻の学生向けです。 <木曜1限・洋々館958>

2. 知覚心理学 (前期・2回生以上)  ・・・ 感覚・知覚のメカニズムの基礎を学びます。 <月曜1限・敬学館250>

3. 心理学入門 EBクラス (後期・教養科目・経済学部開講)  ・・・ 心理学の全体を概説致します。内容は心理学を専門としない学生向けです。 <木曜2限・BKC C204>

4. ゼミナール III・IV (SA) (テーマリサーチゼミの北岡ゼミ) (前期・後期 登録許可の出た文学部4回生のみ)・・・ 各自の発表と全体での討論が中心です。内容は、論文講読、研究構想発表、研究成果発表など。プレゼンテーションの腕も磨きます。 <月曜2限・尽心館情報語学演習室>

5. 専門演習 I RM クラス(北岡ゼミ) (3回生・心理学専攻の学生のみ受講可) ・・・ 各自の発表と全体での討論が中心です。内容は、論文講読、研究構想発表、研究成果発表など。プレゼンテーションの腕も磨きます。 <水曜4限・清心館502(地階)(後期は504)>

ゼミ選択Q&A (2009/4/9)

6. 卒業論文 (通年・4回生以上・心理学専攻の学生のみ受講可) ・・・ 特定の教室の指定はなく、適宜実験室や教員研究室で指導致します。

7. 前期課程 特別研究 (前期・後期 前期課程の文学研究科心理学専修の大学院生対象) <火曜2限・清心館503(地階)>

8. 後期課程 特別研究 (前期・後期 後期課程の文学研究科心理学専修の大学院生対象) <火曜1限・清心館503(地階)>

9. 心理学研究法 IV (後期 文学研究科の大学院生対象) <月曜4限・尽心館情報語学演習室>


このページには、学外の方がご覧になっても構わない情報や資料を載せます。受講者は、大学の公式情報を Campus WebManaba+R で見ることができます。休講等のお知らせは Campus Web で行ないます。


人を対象とする研究倫理の申請について 研究上倫理審査が必要と思われる方はこちらのページをご覧下さい。 <2009年7月16日に運用開始>


2015年度修士論文!

菊地祥子 (2015) 奥行情報が視線方向知覚に与える影響 2015年度立命館大学文学研究科修士論文(主査:北岡明佳、副査:東山篤規、副査:星野祐司)

他者の視線方向の知覚は目の輪郭の中における黒目(虹彩と瞳孔)の位置だけで決まると思われがちである。実際には、その情報と顔の向きの知覚の両者で決まる。このことは、200年も前からウォラストン錯視(Wollaston illusion)として知られていることであるという紹介から始めた上で、顔の向きではなく、描かれた目の載っている面の向きでも同様の効果があるかということを、実験1では調べた。実験1の「面の傾き」(菊地氏の用語では「奥行き」)は線遠近法的(形の恒常性的)単眼性の手がかりで与えられた。実験1の前に「予備実験」と称して同様のデータ取得を行なっているが、その方がより定量的で説得力も強そうに思われたが、菊地氏はメインの研究を一対比較法による実験1とした。結果としては、顔の刺激が載っている面の傾きは顔の向きと同様に視線方向知覚に影響を与えた。実験2では、面の傾きとして両眼視差による両眼立体視を操作した。その結果、実験1と同様の結論を言うことはできたが、データの解釈上、どうしても十分な補足説明が必要な部分があった。凹型図形は実験参加者18名中5名しか「正しく」見えなかったという点である。これを菊地氏は両眼立体視と(単眼立体視手がかりである)大きさの恒常性(錯視)との関係で説明した。コンパクトであるが実質のある論文と思われる。


東向久美子 (2015) 先端接合六角形集合体に隠されたパターンの弁別知覚の研究 2015年度立命館大学文学研究科修士論文(主査:北岡明佳、副査:東山篤規、副査:星野祐司)

本論文には冒頭からゲシュタルト要因ということばが出てくるが、ゲシュタルト要因とは知覚の原初的なまとまりの法則のようなものである。それらは100年ほど昔にゲシュタルト心理学として心理学史を飾った。東向氏は未知の新しいゲシュタルト要因を発見したと主張し、本研究はこの知見を心理学の知識に加えようという試みである。その新しいゲシュタルト(知覚のまとまり)は東向氏が「先端接合六角形集合体」と称する幾何学的パターンに観察できる。東向氏によれば、タイプ1・2・3が区別でき、その数理も示された。実験1は、東向氏だけでなくともそれらが見えることを証明する実験である。その結果、平均すればどのタイプも同程度に認められるということがわかった。実験1では全体としては均整の取れたパターンを用いていたが、実験2では全体として歪んだ形や周囲に「飾り」の付いた形で同様のデータを収集した。その結果、実験1と同様どのタイプも観察はされたが、タイプ2の現象が比較的弱い傾向にあるという結果が得られた。埋没図形とは逆の現象であり、タイプ1・2・3は新しい現象であるという東向氏の主張は妥当であるように思われた。


戴子堯 (2015) The Bogart Illusion Inverted 2015年度立命館大学文学研究科修士論文(主査:北岡明佳、副査:東山篤規、副査:林勇吾)

他者の視線方向知覚の研究の中に「錯視」をテーマにした現象「ボガート錯視」(Bogart illusion: Sinha, 2000)がある。肖像をネガポジ反転させると視線方向が逆転して見えるという現象である。その現象は倒立顔(さかさまにした顔)でより強く観察できることをTai氏は見出し、Sinhaと同じ刺激を用いて、正立顔・倒立顔の要因に加えて、瞬間提示(0.5秒)・長時間提示(10秒)の要因も付け加えて、Sinha実験との比較を行なった(実験1)。結果としては正立顔ではあまりボガート錯視は見られず、倒立顔でよく見られることがわかった。瞬間提示の方で効果が大きいこともわかった。しかし、これはSinhaの結果と一致しないわけで、この不一致の理由を検討した実験2でも説明がつかなかった。実験2ではボガート錯視図形を反転図形とみなし、視線方向の知覚をタイムラプス的に調べた。その結果、反転が起こる人もいるが、あまり頻繁に反転は起きないことがわかった。すなわち、正立顔でボガート錯視が少なかった理由として、測定のタイミングにおいてたまたま錯視ではない側の知覚をしていたからとは言えないことがわかった。実験3ではポズナー課題を用いて、錯視的な視線知覚が注意を誘引するのかどうかを調べた。その結果、そのようにならず、錯視的知覚では注意には影響を与えない、という可能性を示唆した。どの実験もそれぞれ意義のある研究と思われる。

<2016年3月27日>


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