三次元映像シンポジウム~3Dイノベーションの可能性~
北九州イノベーションギャラリー
2010年9月5日(日)・シンポジウム13:00~17:10

  視    

北岡 明佳 (立命館大学 文学部 心理学専攻email HP

2010/8/11より


兵庫県明石市の馬場啓利様から、「本年初め頃に、ふとしたことから一般放送(スイスアルプス風景のハイビジョン放送や NHKの歌謡ショウなど)を特殊な眼鏡を使用することではなく、普段使用中の眼鏡を目の位置から離してゆくと立体的に見ることを発見しました。(スイスアルプスなどの風景は見事に立体的に見えました。歌謡ショウでは客席に座っている客が雛壇に座って見えました。特徴的に言えることはハイビジョンカメラで撮影したもので顕著に立体的に見えことです) 理論的な理由がわかりません。想像するに、騙し絵のお面で顔の表面を見ているつもりが、見る角度を変えて行き横から見る位置に近づくと実は裏側から見ていたことを発見する例がありますが、今回の例はこのようなことかと思いつつご意見をうかがわせて頂くと幸いだなと思いながら、メイルをさせていただくことにしました。」 との電子メールを頂きました。 確かにそう見える! 下の写真で試されたい。 <2010年8月29日>

「馬場効果」

メガネを離して見ると立体的に見える。左のグラフィックスも手前に浮き出て見えることから重なりの要因は貢献しているようだ。

Copyright Aliyoshi Kitaoka 2010 (August 29)

2010年8月24日、スイスにて北岡が撮影。レッチベルク線の車内より。写りこみの修正あり。



さらに馬場様より <2010年8月30日>

先般お届けした事象の他にも次のような点に気づいていますので、追加してお届けいたします。

1)テレビでは、画像の前に字幕が放映(ニュース、歌番組での歌詞・・・)されますが、これも浮き上がって見えます。CMなどでは映像とCG画像を合成したもので、やはり3Dに見えるものがあります。
2)活版印刷されたカレンダー(山や畑の風景、街角風景)などでも同じ方法で3Dに見えます。
3)目の前に見えている景色も同様な方法で見てみると、より立体的に強調されて見えます。

市販の3Dテレビや、一般の3Dの解説では人間は2つの目を持っているので、立体的に見るには2つの角度からの映像を別々の目で見て脳の中で合成する必要があると解説されそのために色々な技術開発がされています。

ところが、わたしの発見(?)では普通の1枚の映像を提案の方法で見ると3Dに見えることです。眼鏡を遠ざけて行くと光学的に映像に歪みが起きて、その映像を脳が判断するときに立体的に判断しているのではないでしょうか。そこで、これは騙し絵の錯覚の現象に違いないと思ったわけです。これは、立体的にものを見るには2つの視点から見た映像を提供する必要があると言う常識を覆すので学問的(光学的解析、錯覚の脳の研究など)にも面白いことかと思いました。



さらに馬場様より <2010年8月31日>

本件の追加情報ですが、片方の目だけでこの方法を実施しましても、まったく同じような立体的画像を見ることが出来ます。(これは、いよいよ脳の錯覚現象ですね)


いわゆる3Dとは、両眼立体視による奥行き視をデモンストレーションしたもの、あるいはそれを用いたディスプレーシステムのことである。

   錯覚とは、対象に関する知識とその対象の知覚のズレが認識されたものである。


本日のメニュー

立体視・空間視(両者合わせて奥行き視)の分類

(1) 両眼立体視(binocular stereopsis)・・・いわゆる3D
(2) 重なりによる奥行き視・・・T接合部という手がかり
(3) 陰影による奥行き視・・・シャドー・シェード・ハイライトという手がかり
(4) きめの勾配による奥行き視・・・空間周波数という手がかり
(5) 輝度コントラストによる奥行き視・・・コントラストという手がかり
(6) 色による奥行き視・・・色という手がかり
(7) 形の恒常性という奥行き視・・・形という手がかり
(8) 運動視差による奥行き視・・・動きという手がかり
(9) 透明視による奥行き視・・・知覚的透明という手がかり
(10) 反射面知覚による奥行き視・・・上下対称性という手がかり
(11) 図地分離による奥行き視・・・図地分離という重要な機能
(番外編・その1) 遠近法的錯視・・・奥行き視が成立した時に起こる錯視
(番外編・その2) 顔の錯視・・・立体物である顔というもの特有の錯視


(1) 両眼立体視(binocular stereopsis)・・・いわゆる3D

「両眼立体視の説明用の図」

図のような奥行きの位置に物体Aと物体Bがあると、右目に映るAB間の距離は、左目のそれよりも長くなる(両眼視差)。この情報を手がかりにして計算されて作られた知覚が、両眼立体視である。

Copyright Akiyoshi.Kitaoka 2006 (June 30)

立体視の説明のプリント(18MB)


<オートステレオグラム>



「羊羹」

1つずつずらして融合すると羊羹のように見える。透明視タイプのネッカーの立方体の立体視版。

Copyright A.Kitaoka 1997


「秋の沼の波3D」

平行法でも交差法でも図が波打って見える。

Copyright Akiyoshi.Kitaoka 2006 (August 22)


「錯視空間あるいは錯視の屋根」

平行法では奥行きのある錯視模様の空間に見え、交差法では錯視で葺いた屋根のように見える。

Copyright Akiyoshi.Kitaoka 2006 (August 22)

帽子屋さんのStereoPictを使用



(2) 重なりによる奥行き視・・・T接合部という手がかり



「無限無限階段」

上がり続けるか、下り続けるかの階段に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (March 13)

不可能図形のページ


「不可能男」

不可能図形でできている。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (July 1)


「最少の無限階段」

無限階段の簡略版。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (March 11)



「本当に最少の無限階段」

無限階段の簡略版。階段という感じではなくなるが。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (March 15)


ペンローズの三角形(Penrose's triangle)


ペンローズの三角形の基本構造



「アモーダル補完タイプの不可能図形、シェパード錯視付き」

赤い平行四辺形は合同であるが、上の方が細長く見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (July 11)

杉原厚吉先生のページ



(3) 陰影による奥行き視・・・シャドー・シェード・ハイライトという手がかり

「隠されたジャストローの台形錯視」

上の図の台形が下の図の台形よりも大きく見える(ジャストローの台形錯視)がこれにすぐには気づかないのは、影が物体の空間位置の知覚に及ぼす効果のデモンストレーション(影の位置が違うだけなのだが上図では球が浮いて見える)に注意が取られてしまうためであろう。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 29)




Shape from shading (1) ・・・中の2列が出っ張って見え、両側の2列ずつは引っ込んで見える。




Shape from shading (2) ・・・中の2列が出っ張って見え、両側の2列ずつは引っ込んで見える。


Ramachandran, V. S. (1988) Perception of shape from shading. Nature, 331, 163-166.



「メタルウォール錯視」

水平で平行な4つの境界が、上から左・右・左・右に傾いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (April 3)

Kitaoka, A. (2007) Tilt illusions after Oyama (1960): A review. Japanese Psychological Research, 49, 7-19 PDF


「折れ折れ詐欺」

前後方向に折れ曲がっているように見える。黒い水平線が上下に波打って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2005 (September 21)


静止画が動いて見える錯視

「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ II

「蛇の回転」

蛇の円盤が勝手に回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2003 (September 2, 2003)

<配布プリント>


 黒→濃い灰色→白→薄い灰色→黒 の方向に動いて見える錯視である。


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ I

「タイムトンネルショー」

リングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (February 24)


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ III


「影付きの左右に動く蛇 2」

蛇が左右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 7)


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ IV

"3D Forum 2008"

Rings appear to rotate.

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (November 18)

北岡明佳 (2008) 陰影によって立体的に見える図形における動きの錯視(A new type of the optimized Fraser-Wilcox illusion in a 3D-like 2D image with highlight or shade) (3Dフォーラム・第86回研究会「視覚と錯視:Vision&Illusion」 電気通信大学・2008年11月22日(土)) 発表に使用したウェブページ



「錠剤の回転」
(たくさん版)

錠剤のリングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (March 24)


赤と紫特有の「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ V


「赤い円盤の回転」

赤い円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 18)


「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ IV形式の「最適化型」フレーザー・ウィルコックス錯視・タイプ V


「赤いボタンの回転」

リングが時計回りに回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (September 5)



「双子のマンホール」

マンホールが時計回りに回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 19)



最適化型フレーザー・ウイルコックス錯視群


Kitaoka, A. (2007) Phenomenal classification of the “optimized” Fraser-Wilcox illusion and the effect of color. Poster presentation in DemoNight, VSS2007, GWiz, Sarasota, Florida, USA, May 14, 2007.


この錯視のわかりやすい説明のある本

北岡明佳著 人はなぜ錯視にだまされるのか? トリック・アイズ メカニズム カンゼン刊

(定価:1,600円(税別) ISBN 978-4-86255-020-0) アマゾンのページ


北岡明佳著 錯視入門 朝倉書店 (2010年7月)  new! 

 もっと情報



(4) きめの勾配による奥行き視・・・空間周波数という手がかり

「クッション」

すべて長方形か正方形でできているが、丸みや立体感が感じられる。

Copyright A.Kitaoka 1998


「渦巻きアンパン」

灰色の線は同心円なのだが渦巻きに見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 1998



「ハート」

ハートが不安定に見える。メガネをかけている人は、メガネを動かすとおもしろい。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (June 4)



「地磁気」

モアレ(干渉縞)は錯視扱いされることがある。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (August 1)



フレーザー錯視の渦巻き錯視

同心円が渦巻きに見える。


フレーザー錯視基本図形・・・水平に並べた斜線の列全体が傾いて見える。上から、反時計回り、時計回り、反時計回り、時計回り。


単純化したフレーザー錯視


カフェウォール錯視の渦巻き錯視


カフェウォール錯視

「余呉湖」

賤ヶ岳(しずがたけ、滋賀県北部、柴田勝家と羽柴秀吉との合戦場として有名)から撮影した余呉(よご)湖がミニチュアに見える。写真家本城直季氏の手法で知られる本城効果を用いて合成。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (July 14)


本当は下のような風景である。



(5) 輝度コントラストによる奥行き視・・・コントラストという手がかり

コントラストの低いところは遠くに見える。あるいは手前に霧・霞が見える。


輝度コントラスト依存の立体視

輝度コントラストの高い部分が、低い部分よりも手前に見える現象。この図では、白い四角形でてきた円形領域は背景が黒のためコントラストが高く、周辺の暗い灰色は背景の黒とのコントラストが低い。このため、中央の円形領域が手前に見える。

produced by Akiyoshi Kitaoka 2006 (Aprl 13)

輝度コントラスト依存の立体視

背景が白でも同じである。輝度コントラストの高い部分が、低い部分よりも手前に見える。すなわち、黒い円形領域のコントラストが高いので、明るくてコントラストの低い周辺よりも手前に見える。

produced by Akiyoshi Kitaoka 2006 (Aprl 13)

Egusa, H. (1983) Effects of brightness, hue, and saturation on perceived depth between adjacent regions in the visual field. Perception, 12, 167-175.

Farné, M. (1977) Brightness as an indicator to distance: relative brightness per se or contrast with background? Perception, 6, 287-293.

Mount, G. E.,  Case, H. W., Sanderson, J. W. and Brenner, R. (1956) Distance judgments of colored objects. Journal of General Psychology, 55, 207-214.

もっと多くの論文があります。

謝辞 東工大の澤田君ありがとうございました。

膨張色・収縮色

黄色の正方形が青色の正方形よりも大きく見えるが、実際は同じ大きさである。このように、黄色(あるいは赤色)が膨張色、青色が収縮色と呼ばれることが多い。この概念は日本のアートやデザインでは一般的であるが、日本国外ではあまり聞かれない。

produced by Akiyoshi Kitaoka 2006 (Aprl 13)

「逆」膨張色・収縮色

背景を白に変えると、逆に青色の正方形が黄色の正方形よりも大きく見える。つまり、膨張色・収縮色は色特有の現象ではなく(Oyama and Nanri, 1960)、光滲現象(irradiation)(下記)か、輝度コントラストが高いものが大きく見え、低いものが小さく見える現象によるものと考えられる。

produced by Akiyoshi Kitaoka 2006 (Aprl 13)

Oyama, T. and Nanri, R. (1960) The effects of hue and brightness on the size perception. Japanese Psychological Research, 2, 13-20.



(6) 色による奥行き視・・・色という手がかり


空気遠近法の例


<色立体視>

「青い穴」

青い穴が開いているように見える。離れて見ると効果的。孔の周囲のドットが赤紫に見えるが、その外側の赤と同じ色である。

Copyright Akitaoka Kitaoka 2007 (March 9)





(7) 形の恒常性という奥行き視・・・形という手がかり






大きさの恒常性

形の恒常性


 杉原厚吉先生の作品



「不可能図形的蛇の回転 2」

内側のリングは時計回りに、外側のリングは反時計回りに回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (June 22)


「サクラソウの丘」
(リメーク)

市松模様の背景はすべて正方形で描かれているが、膨らんでこちらにせり出しているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (January 19) (Original 2002)


「打ち上げ」

金属的なものが迫ってくるように見える。丸を除くとすべての線は垂直・水平に描かれているが、中央部は外に凸に見えるように傾いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (January 20)



「水槽の厚さが薄く見える錯覚」

海遊館にて、2010年8月10日撮影。物理的錯覚である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (August 9)


(8) 運動視差による立体視・・・動きという手がかり

「パイルの揺らぎ」

パイルが左右に揺らいで見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (March 6)


オオウチ錯視(蘆田最適化版)

内側の領域が動いて見える。

References

Ouchi, H. (1977) Japanese optical and geometrical art. Mineola, NY: Dover.

Spillmann, L., Heitger, F. and Schuller, S. (1986) Apparent displacement and phase unlocking in checkerboard patterns. Paper presented at the 9th European Conference on Visual Perception, Bad Nauheim


Ashida, H. (2002) Spatial frequency tuning of the Ouchi illusion and its dependence on stimulus size. Vision Research, 42, 1413-1420.


「秋の沼2」

中の領域が動いて見える。垂直・水平のエッジが傾いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2003 (corrected April 12, 2006)



"Spine drift illusion"

The inset appears to move.

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2010 (July 6)


「ピンボケ」

内側のぼやけた市松模様が動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2001


「コメの波 2008」

図が波打って見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (February 25)


「秋の沼の波」

垂直・水平のエッジが傾いて見える。動く錯視あり。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2002, 2003, 2007


(9) 透明視による奥行き視・・・知覚的透明という手がかり

「透明に見えるビル」

中央のビル(クリスタルタワー)が透明に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (May 1)

「透明に見える山」

中央の山が透明に見える。

Copyright Midori Takashima 2007
高島翠さんより, 2007/5/1

(東京都町田市内の小山馬場谷戸公園付近から西の方角を望む)

北岡明佳のコメント: Adelson-Anandan-Andersonのモデルで言えば、bistable transparency (両義的透明視あるいは二値安定透明視あるいは反転可能透明視)である。

なお、「透明に見える山」の報告はこれが初めてではなく、池田(1993)(関西大学『社会学部紀要』第25巻第1号pp.165-168)によると、大阪府吹田市の一角から遠望した山に見えるとして、写真が載っている。その池田によると、Metzger (1953) に既に載っている。


透明視については、以下を参照されたい。

透明視講義用のプリント

Kitaoka, A. (2005) A new explanation of perceptual transparency connecting the X-junction contrast-polarity model with the luminance-based arithmetic model. Japanese Psychological Research, 47, 175-187. Reprint or PDF request to me



「透明に見える川」

川が透明に見える。(実際に透明ぢゃー)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (May 1)

鴨川の上流の高野川です。清流とまでは言えませんが。



「貝の詰め合わせ」

貝が動いて見える(左2つは拡大、右2つは縮小)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (August 1)



(10) 反射面による奥行き視・・・上下対称性という手がかり

金閣
(立命館大学より徒歩10分)


金閣?


「立命館湖」

立命館大学衣笠キャンパスが水没したように見える。

Copyright A.Kitaoka 2004 (August 14)

ここが水没するようでは京都市街全域水没で~す。もちろん大阪も、神戸も。

実際の風景

(11) 図地分離による奥行き視・・・図地分離という重要な機能

図は手前に、地は奥に見える。

「リアルなルビンの盃」

黒い横顔2つか白い盃1つが見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (August 14)


The chromatic Anderson's illusion is possible.

Wollschläger, D. and Anderson, B.L. (2009) The role of layered scene representations in color appearance. Current Biology, 19, 430-435.

The inset surrounded by the bluish background appears to be yellowish while the inset surrounded by the yellowish background appears to be bluish.


Chromatic Anderson's illusion does not depend on colour contrast, as shown below.



(番外編・その1) 遠近法的錯視・・・奥行き視が成立した時に起こる錯視

シェパード錯視
(Shepard illusion or table-top illusion)

Shepard, R. N. (1990) Mind sights: original visual illusions, ambiguities, and other anomalies, with a commentary on the play of mind in perception and art. New York: Freeman. (R.N.シェパード著、鈴木光太郎・芳賀康朗訳 (1993) 視覚のトリック:だまし絵が語る「見る」しくみ 東京:新曜社)

「赤い屋根」 赤い屋根は合同なのであるが、左の屋根は右の屋根に比べて細長く見える。シェパード錯視のバリエーション。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 24)

「楕円の錯視」

右の楕円は左の楕円よりも細長く見えるが、同じ形である。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)


斜塔錯視
(Leaning Tower illusion)

左右の写真は右方向に傾いたように撮影した斜塔であるが、右の写真の傾きが大きく見える(Kingdom et al., 2007)。

Kingdom, F. A. A., Yoonessi, A., and Gheorghiu, E. (2007) The Leaning Tower illusion: a new illusion of perspective. Perception, 36, 475-477.


「岩船寺の三重の『斜』塔」

左の三重塔は右の三重塔よりも傾いて見えるが、同じ写真である。

写真は2008年11月12日、fMRI実験の後、K大のA先生(運動残効研究でも有名)と観光した時に撮影

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (December 22)


「錯視砦の三錯視」

この図には錯視が少なくとも3種類ある。 (1) 左の階段は左向きに、中央の階段は中央向きに、右の階段は右向きに見えるが、3枚とも同じ写真である。これは、斜塔傾き錯視(Leaning Tower illusion)(Kingdom et al., 2007)のバリエーションと考えられる。 (2) 階段の下の方は左に、上の方は右に傾いて見える。これは、對梨成一氏のゆがんだ階段錯視(skewed staircase illusion)である。 (3) 階段が上昇するように見える。 (ん、そうは見えない?)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (April 21)


「桜の嵐電」

この嵐電は北野白梅町行きなので、後ろから撮影している。左の嵐電は右に比べてより左の方向に向かっているように見えるが、同じ写真である。

写真は2003年4月10日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 30)


「御室の切り通しの嵐電」

この嵐電は帷子の辻行きなので、後ろから撮影している。上の嵐電は下に比べてより上の方向に向かっているように見えるが、同じ写真である。

写真は2002年9月20日

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (April 30)


「滑走路」

左右同じであるが、右の方が垂直からの傾きが大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)

ピサの斜塔傾き錯視と同じメカニズム?


「箱傾き錯視」

左右の箱は同じ絵であるが、右の箱の奥は左よりも右に振っているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (July 14)


「斜塔錯視反転図形」

開散・収斂の方向が知覚された図の奥行きによって反転する(一番下の図)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2008 (September 29)


<斜塔錯視は新しいか?>


グレゴリーのテーブルの錯視

左右の赤い平行四辺形は同じ形であるが、左の平行四辺形は左辺と右辺は上方に開いて見え、右の平行四辺形は左辺と右辺は下方に開いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (July 15)

References

"a top-down distortion"

Gregory, R. L. (1998) Eye and Brain, the fifth edition Oxford University Press. (pp. 232)

斜塔錯視は基本的にはグレゴリーのテーブルの錯視のようである。


<「後方の過大視」をデモしてみる>


「後ろにいるのがおにいさん」

左右同じ大きさの人物であるが、後方に知覚される人物(上図では左、下図では右)の方が大きく見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (August 22)

「ハム」

左のハムが大きく見えるが、左右同じ大きさに描かれている。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2008 (July 16)

「干草ロール」

3つの干草ロールは同じ大きさであるが、左から大・中・小に見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2009 (August 24)

2009年8月21日撮影



(番外編・その2) 顔の錯視・・・立体物である顔というもの特有の錯視






ホロウフェース錯視(凹面顔錯視)


Gregory, R. L. (1970) The Intelligent Eye. London: Weidenfeld and Nicolson. (グレゴリー著・金子隆芳訳 インテリジェント・アイ みすず書房 1972年刊)

Schröder, H. (1858) Ueber eine optische Inversion bei Betrachtung verkehrter, durch optische Vorrichtung entworfener physischer Bilder. Annalen der Physik und Chemie, 181, 298-311.


「目の大きさ錯視」

左右の図の両目は物理的には同じに描かれているが、左の図では自然な感じだが、右の図では不自然に右目が小さく左目が大きく見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (August 17)


い 

ご清聴ありがとうございました。


錯視の参考書

今井省吾 (1984) 錯視図形-見え方の心理学- サイエンス社
大山正・今井省吾・和気典二(編) (1994) 新編 感覚・知覚心理学ハンドブック 誠信書房
後藤倬男・田中平八(編) (2005) 錯視の科学ハンドブック 東京大学出版会
北岡明佳 (2005) トリック・アイズ グラフィックス カンゼン
北岡明佳 (2007) だまされる視覚 錯視の楽しみ方 化学同人
北岡明佳(監修) (2007) Newton別冊 脳はなぜだまされるのか? 錯視 完全図解 ニュートンプレス
太田光・田中裕二・北岡明佳 (2008) 爆笑問題のニッポンの教養 この世はすべて錯覚だ 知覚心理学 講談社
北岡明佳 (2008) トリック・アイズ メカニズム カンゼン
北岡明佳 (2010) 錯視入門 朝倉書店


北岡明佳の錯視のページ