総合心理学コロキウム・立命館大学大阪いばらきキャンパス・AN110
2024年10月28日(月)4限(14:40-16:10)
並置混色とオストワルト表色系の融合
立命館大学総合心理学部 北岡明佳 akitaoka@lt.ritsumei.ac.jp
オストワルト表色系(Ostwald Color System)は、あらゆる色は「白色」「黒色」「純色」の合成比で記述できると考える。本研究においてはこの考え方を並置混色に適用する。並置混色とは、適切な原色を空間的に並列に配置することで視覚的に混色を起こさせ、観察者に豊かなカラー画像を知覚させる手法である。RGBが原色である並置混色が標準的である。一方、本研究の手法では、「白色」「黒色」「純色」が原色である。
Friedrich Wilhelm Ostwald (1853-1932)
Wikipediaに掲載の写真をsRGBオストワルト表色系的な並置混色変換をして得られた画像
こういう画像を作成する技術である。
顔の部分を拡大
標準的なRGBを原色とした並置混色画像の例
顔の部分を拡大
強度を面積表現したRGBを原色とした並置混色画像の例
顔の部分を拡大
本研究が提案するsRGBにおける黒色量(black content)、白色量(white content)、純色量(color content)の定義
black content = 1 - max(Rlinear, Glinear, Blinear)
white content = min(Rlinear, Glinear, Blinear)
color content = max(Rlinear, Glinear, Blinear) - min(Rlinear, Glinear, Blinear)
black content + white content + color content = 1
sRGBオストワルト表色系の色度図の例
●ある色相において等黒色系列のもの同士、等白色系列のもの同士、等純系列のもの同士は色彩が調和するという。
sRGBオストワルト表色系の色度図を作るウェブプログラム <December 23, 2023>
sRGBオストワルト表色系の色度図を作るウェブプログラム(並置混色表現) <December 23, 2023>
●等価値色系列(isovalents)(黒色量・白色量・純色量は等しくて、色相だけ異なる色の組み合わせ)の色は調和するという。
cf. PCCS
等黒・等白・等純(等価値系列)画像を作成するウェブプログラム <October 2, 2024>
オストワルト表色系的並置混色のやり方の説明
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いろいろなオストワルト表色系的並置混色法
黒色、白色、純色のサブピクセルをランダムな位置に配置した。
純色をさらにRGB分解した。
黒色、純色、白色という並びと、白色、純色、黒色という並びを交互に配置した。
いろいろなオストワルト表色系的並置混色法の画像を生成するウェブプログラム
オストワルト表色系的な並置混色画像 <December 17, 21, 2023, May 3, 2024>
オストワルト表色系的な並置混色画像・ランダム配置 <April 23, May 7, 2024>
オストワルト表色系的な並置混色画像・市松模様配置 <May 4, 2024>
オストワルト表色系的な並置混色画像・RGBWK <April 24, 2024>
Q. 色彩調和以外にオストワルト表色系的並置混色法は何の役に立つと期待されるか?
A. 捺染への応用を考えています。
●写真あるいは写真のような画像の捺染を実現させたい。
「3色の雪の金閣」
水色、橙、黄緑、白、黒の5色でできている。
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2024 (April 2)
A. 切り絵への応用もできそうです。
Friedrich Wilhelm Ostwald (1853-1932)
Wikipediaに掲載の写真をsRGBオストワルト表色系的な並置混色変換をして得られた画像
色の錯視をオストワルト表色系的並置混色変換してみると?
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明るさの錯視をオストワルト表色系的並置混色変換してみると?
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等黒色変換と等白色変換で作成した明るさの錯視をオストワルト表色系的並置混色変換してみると?
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<参考>
アブストラクト
本発表では、オストワルト表色系の考え方を適用した並置混色の新技法を紹介する。並置混色とは、適切な原色を空間的に並列に配置することで視覚的に混色を起こさせ、観察者にフルカラー画像を知覚させる手法である。今日のカラーディスプレーの大半はRGBを原色とした加法混色の並置混色を色表現の手段として採用している。それらのカラーディスプレーでは原色のサブピクセルは肉眼では弁別できないほど小さいが、サブピクセルを弁別できるほどの大きさで表示しても、一定の範囲内でフルカラー画像は知覚できる。本研究においては、オストワルト表色系の考え方を適用した新技法を並置混色に導入する。オストワルト表色系の考え方とは、あらゆる色は「白色量」「黒色量」「純色量」の合成比で記述できると考えるものである。オストワルト表色系は回転混色盤を用いた継時混色で実現する色を想定しているが、本研究においてはこの考え方を並置混色に適用する。具体的には、各色相における白色、黒色、純色をsRGBに準拠して定義した上で、それぞれの量の比を面積比として表示する。本技法の有用性について考察する。
北岡明佳 (2024) オストワルト表色系の考え方を適用した並置混色の新技法 日本色彩学会第55回全国大会 九州大学大橋キャンパス・2024年6月30日(日)11:30-11:45 Presentation