2025年3月4日(火)11:20~12:00
第19回錯覚ワークショップ 明治大学

ロトレリーフ研究

(続き)(3ページ目)
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運動視差(motion parallax)のデモ


JavaScript-motion_parallax01b.html (両方向)

JavaScript-motion_parallax02b.html (片方向・水平方向)

JavaScript-motion_parallax02v.html (片方向・垂直方向)




運動性奥行き効果(kinetic depth effect)のデモ


JavaScript-motion_transparency01b.html



運動奥行き効果の例としては上記のデモはどちらかというと特殊なもので、一般には静止していてもある程度は立体的に見えるシルエットを動かすと、より生き生きとした立体物が知覚されるとともに、その奥行き方向の向きが反転するという性質で特徴づけられる。この意味では、ロトレリーフは運動奥行き効果の仲間であると考えることもできる。






きめの勾配の立体感への寄与





きめの勾配、正確には隣接した2つの領域のきめの違いであるが、奥行き方向に傾いた面の知覚に重要な貢献をしていると考えられる。




クレーター錯視との関係



クレーター錯視。上部が明るく下部が暗いパーツは手前に凸に、上部が暗く下部が明るいパーツは凹に見える。







みかけは似ているが、ロトレリーフでは部分の平均輝度の差が生じるわけではないので、クレーター錯視とは関係ないかもしれない。




各ピクセルの回転半径はD値(深度値)


ロトレリーフの画素の動きについて(再掲)



追跡したい点を5つ(中心に1つ、不動の一番外側に一つ、それらの中間に3点)用意し、ロトレリーフ変換します。



1. 同心円を用意する。
2. 錯視立体の頂点を決める。
3. 同心円の中心と錯視立体の頂点を結ぶ線 l を引く。その長さを d とする。
4. 一番外側の円の半径を r0 とする。
5. 半径 r の円周上にある点は、ロトリーフ運動においては円を描く。(真円かどうか要検討。以下は近似かもしれない)
6. その円の中心は元の点の位置であり、半径は、d × (r0 - r) / r0 である。


各点の軌跡
(縦軸・横軸は参照のため残してある)



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まとめ

1. ロトレリーフの立体感は運動視差(motion parallax)ときめの勾配による単眼立体視と考えられる。

2. ロトレリーフは運動奥行き効果(kinetic depth effect)の一種と位置づけることもできる。

3. ロトレリーフにおけるゴムのような動きの知覚については別途検討したい。





追伸 下記動画もロトレリーフ作品

(mp4)

KDEanycone-image-instruments-Earth-satellite-NASA-Suomi-National-2012s07-.mp4 (15MB)



(mp4)

KDEanycone-image-instruments-Earth-satellite-NASA-Suomi-National-2012s08-.mp4 (15MB)



(mp4)

KDEtwistcone-image-instruments-Earth-satellite-NASA-Suomi-National-2012s01-.mp4 (10.4MB)










要約

ロトレリーフ(rotorelief)とは、回転運動を利用して平面のデザインに立体効果(奥行き知覚効果)を生じさせる視覚芸術である。1926年に制作された『アネミック・シネマ』(Anémic Cinéma)という実験的映画の中で、マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)によって導入された。回転させることによって立体効果が増強されることから、運動性奥行き効果(kinetic depth effect)の一種と考えられる。運動性奥行き効果と同様、奥行き反転も観察される。本発表では、この現象には静止画像の回転が本質的というわけではないことを示すとともに、運動視差による奥行き知覚との関係を考察する。 抄録原稿PDF


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