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上り坂が下りに見えたり、下り坂が上りに見えたりする坂、あるいはその錯視のこと。これらの錯視は、俗に、おばけ坂、幽霊坂あるいはミステリー坂という(例:カナダにある「磁石の丘」Wikipedia)。学術的には、縦断勾配錯視という(今井省吾 (1971) 道路の縦断勾配の錯視 東京都立大学人文学報, 83, 13-28)。坂道錯視は、さらに、左右方向の傾き錯視も含む。実例はたくさんありそうであまりない。 <坂道錯視の写真募集中>

2013年8月16日より


津南の坂道錯視群の実地調査

場所:新潟県十日町市原町から中魚沼郡津南町源内山までの約5kmのほぼ直線区間。一部は国道117号線からニュー・グリーンピア津南へ向かう県道(482号線)のため交通量が多い。坂道錯視の起こるポイントが8箇所あった(これまで調査した中では断トツで最多)。下(北側)から、十日町市に3箇所(調査済)、十日町市と津南町の境界の集落付近に1箇所(未調査)、津南町に4箇所(調査済)である。

調査日:2013年8月14日(水)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO



1.1 十日町市の一番下(一番北)のポイント・上向き(南向き)に撮影

いきなり、写真を撮り忘れ・・・


1.2 十日町市の一番下(一番北)のポイント・下向き(北向き)に撮影

向こうに向けて下り坂であるが、上り坂に見える。測定したものの数値の記録なし(失敗)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (August 14) 新潟県中十日町市にて、撮影日は 2013年8月14日(水)、以下同様



2.1 十日町市の真ん中のポイント・上向き(南向き)に撮影

下方から見るとクレストの向こう側が見えない。この場合、そこは下り坂のように見えるようだ(実際は上り坂である(0.8度、1.4%))。クレストの手前は 2.6度(4.5%)の上り坂。


センターラインが薄くなっているところは少し下り坂に見えるが、上り坂である(0.8度、1.4%)。サグの向こうは 2.8度(4.9%)の上り坂。


2.2 十日町市の真ん中のポイント・下向き(北向き)に撮影

センターラインが薄くなっているところは上り坂に見えるが、下り坂である(0.8度、1.4%)。


蜃気楼の向こうは上り坂に見えるが、下り坂である。



3.1 十日町市の一番上(一番南)のポイント・上向き(南向き)に撮影

蜃気楼が見えているところは上り坂なのである(1.0度、1.7%)が、下り坂に見える。クレストの手前およびサグの奥はともに 2.8度、4.9% の上り坂であった。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (August 14)


蜃気楼がよく見える。


このポイントをAPC-Sの焦点距離18mmで撮影

下の写真は上の写真をトリミングしたもの


蜃気楼の向こうは下り坂に見えるが、上り坂である(1.0度、1.7%)。


サグの手前の坂は下り坂に見えるが、上り坂である(1.0度、1.7%)。


3.2 十日町市の一番上(一番南)のポイント・下向き(北向き)に撮影

手前と奥の蜃気楼の間の坂が上り坂に見えるが、下り坂である(1.0度、1.7%)。



4.1 津南町の一番下(一番北)のポイント・上向き(南向き)に撮影

横断歩道より向こうは下り坂に見えるが、上り坂である(0.9度、1.6%)。サグの向こうの急な上り坂の勾配は 2.9度(5.1%)である。

一番手前は下り坂に見えるが、上り坂である(0.9度、1.6%)。サグの向こうの急な上り坂の勾配は 2.9度(5.1%)である。


4.2 津南町の一番下(一番北)のポイント・下向き(北向き)に撮影

横断歩道の手前は上り坂に見えるが、下り坂である(0.9度、1.6%)。横断歩道の向こうの急な下り坂の勾配は 2.2度(3.8%)である。サグの手前の急な下り坂の勾配は 2.9度(5.1%)である。

新潟県中魚沼郡津南町にて、撮影日は 2013年8月14日(水)、以下同様

下り坂であるが(0.9度、1.6%)、上り坂に見える。


手前から下り坂・上り坂と続いているように見えるが、すべて下り坂である。



5.1 津南町の上から三番目(下から二番目)のポイント・上向き(南向き)に撮影

サグの手前は下り坂に見えるが上り坂である(1.5度、2.6%)。サグの向こうの急な上り坂の勾配は 2.5度(4.4%)である。


蜃気楼の向こうは下りに見えるが、上りである。


5.2 津南町の上から三番目(下から二番目)のポイント・下向き(北向き)に撮影

蜃気楼の手前の坂は上り坂に見えるが、下り坂である(1.5度、2.6%)。サグの手前の急な下り坂の勾配は 2.5度(4.4%)である。

上り坂に見えるが、下り坂である(1.5度、2.6%)。


軽トラのいるあたりが上り坂に見えるが、下り坂である(1.5度、2.6%)。



6.1 津南町の上から二番目(南から二番目)のポイント・上向き(南向き)に撮影

サグの手前は下り坂に見えるが、上り坂である(1.1度、1.9%)。サグの向こうの急な上り坂は 2.7度(4.7%)である。


6.2 津南町の上から二番目(南から二番目)のポイント・下向き(北向き)に撮影

蜃気楼の向こうの坂は下り坂であるが、上り坂に見える(1.1度、1.9%)。蜃気楼のある下り坂の勾配は 2.7度(4.7%)である。


ここは向こうむきに下り坂なのだが、上り坂に見える(1.1度、1.9%)。



7.1 津南町の一番上(一番南)のポイント・上向き(南向き)に撮影

サグの手前は若干下り坂に見えるが、上り坂である(0.6度、1.0%)。サグの向こうの急な上り坂の勾配は 2.1度(3.7%)である。


一部下り坂があるように見えるが、すべて上り坂である。


7.2 津南町の一番上(一番南)のポイント・下向き(北向き)に撮影

下り坂なのだが上り坂に見える(0.6度、1.0%)。


クルマが下って来る、いや、上ってくる。



謝辞 津南町建設課土木班長 江村善文様、ご協力ありがとうざいました。本報告ページの完成が遅くなりまして恐縮です。

2014年9月20日


京都市内からクルマで9時間



坂道錯視のページ(對梨成一氏のホームページ)


坂道錯視13 (新潟県中魚沼郡津南町の坂上りの水)

坂道錯視12 (京都府綴喜郡宇治田原町の坂上りの水)

坂道錯視11 (滋賀県甲賀市、滋賀県立陶芸の森の階段錯視)

坂道錯視10 (埼玉県飯能市、正丸駅の階段錯視)

坂道錯視9 (種子島、南種子町河内の錯視の坂)

坂道錯視8 (種子島、中種子町納官深久保の錯視の坂)

坂道錯視7 (熊本県天草郡苓北町志岐山の木山弾正無念坂とお京坂)

坂道錯視6 (京都府南丹市美山町田歌の坂上りの川)

坂道錯視5 (福岡県遠賀郡岡垣町内浦のゆうれい坂)

坂道錯視4 (福岡県久留米市田主丸の坂上りの水)

坂道錯視3 (青森県三戸郡階上町の後戻り坂)

坂道錯視2 (岩手県花巻市東和町のミステリー坂)

坂道錯視1 (いろいろ)


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