建築学会:建築空間における色彩・質感の視覚効果定量化WG
2013年11月22日(金) 16:00~17:30・キャンパスプラザ京都 5F 第4演習室

2013年11月19日より


変な建築物が普通に見える錯視

上から見ると三角形の建物がある。北方文化博物館(新潟市)の中にある「三楽亭」である。その建物の内外にはきっと何か錯視あるいは変な見え方があるだろうと考え、調査に訪れた。調査日は2012年8月6日(月)、調査員は北岡明佳と對梨成一、研究資金は科研費とR-GIROであった。その結果、建物はほぼ正三角形なのに正三角形をあまり感じさせないという錯視があることがわかった。なお、三楽亭内部は普段は非公開である。

Copyright Seiichi Tsuinashi 2012 (August 6) 新潟県新潟市江南区沢海・北方文化博物館にて、撮影日は 2012年8月6日(月)、以下同様

「ちゃんとした長方形の部屋を撮影したら写真が歪んで見えている」写真のように見えるが、実際の部屋は長方形ではなく、平行四辺形である。


図面

隅の角度は60度である。



畳の形は平行四辺形

畳は鋭角60度、鈍角120度の平行四辺形である。 (魚眼レンズで撮影)



(2013年5月8日追加)

隅は60度の角度だと言われるとそんな気もするが、写真が歪んでいるだけのようにも見える。


この写真では棚や引き出しが平行四辺形に作られていることがわかる。


室内全景


肖像画は三楽亭を建造した六代目伊藤文吉氏。カメラを持っているのは對梨成一研究員

三角形と言われれば確かに三角形である。しかし、実際に滞在してみて、特段の違和感はなかった。 (魚眼レンズで撮影)


天井

天井は三角形や平行四辺形である。 (魚眼レンズで撮影)


外観

普通の直角の角に見えるが、60度である。


この写真なら角度が60度であることがわかるかもしれないが、それでも角度は90度で写真が歪んでいるように見えることもある。


魚眼レンズで撮影すると、角度が鋭角であるように見えやすい。


建物の角は直角に見えようとするという傾向があるのだとすると、奇しくもそのような仮説が最近数学者の杉原厚吉先生(明治大学)によって提唱された(杉原, 2012)。

杉原厚吉 (2012) 投影の幾何学と立体錯視 心理学評論, 55(3), 296-306.

杉原仮説
仮説 1. 三方向の線のみを使って描かれた線画は、面と面が直角に接続されてできた立体を表すと、無意識のうちに思い込みやすい。 (p.301)
仮説 2. 人は、画像から立体を知覚する際に、直角立体とみなせる部分構造があれば、その部分は直角立体であるという解釈を優先する。 (p.305) 


焦点距離 8mm (APS-C)で撮影。45度の出隅はさらに急な鋭角に見える。 (立命館大学衣笠キャンパス創思館)


焦点距離 16mm (APS-C)で撮影。45度の出隅は妥当な角度に見える。 (立命館大学衣笠キャンパス創思館)


焦点距離 8mm (APS-C)で撮影。90度の出隅は鋭角に見える。 (立命館大学衣笠キャンパス創思館)


焦点距離 16mm (APS-C)で撮影。90度の出隅は妥当な角度に見える。 (立命館大学衣笠キャンパス創思館)


電話ボックスも三角亭


この写真は魚眼レンズで撮影したためか、角度が鋭角であるように見える。


資料

角田夏夫 (1985) 三角亭物語 続・豪農の館 北方文化博物館 1500円

「越後の三角亭」(=三楽亭)のことを書いたこの本によると、三楽亭は明治24年(1891年)に伊藤謙次郎(6代目伊藤文吉)によって建造された。同様な建物が、江戸時代には津(三重県)にあったという(伊勢の三角亭)。また、仙台にもあり、江戸時代からいろいろな人の手で継承され、現在は「馬渕株式会社の馬渕家の邸内にある」という(陸奥の三角亭)。この本には当時撮影したと思われる陸奥の三角亭の写真と図面が十数点掲載されている。この本の出版は1985年で、現在は2013年であるが、インターネットで検索したところ、馬渕株式会社は仙台市内に現存することがわかった(2013年4月13日アクセス)。また、この本には「陸奥の三角亭を購入したのは十二代目で昭和16年のことであり、現在の社長は十三代目に当たる」と書かれているが、同社のウェブサイトによれば、平成10年(1998年)に十三代目は社長を退いて会長になっている。陸奥の三角亭の現状については不明である。


豪農伊藤家の所蔵物を中心とした博物館である。 (魚眼レンズで撮影)


伊藤家のお屋敷 (魚眼レンズで撮影)


新潟市中心部からクルマで20分、京都からクルマで8時間。三楽亭内部は普段は非公開(外からは見える)。


謝辞 北方文化博物館には、三楽亭への特別の入室と撮影を許可して頂いたことを感謝します。加古川茉莉恵様にはご案内頂き、ありがとうございました。 北岡明佳・對梨成一 <2013年4月12日>



追伸 <2013年5月8日>

明治大学の杉原厚吉先生が、三楽亭模型を作って下さいました。下図ののぞき穴からのぞくと奥の隅は60度の角度なのだが、


直角に見える!

展開図のPDF (杉原幸吉先生作)



天井が歪んで見える錯視

「願宗寺の錯視」

天井の蛍光灯をつけると、まっすぐなはずの横の桟が傾いて見える。具体的には、(1)蛍光灯部分が天井方向に引っ込んで見え、(2)蛍光灯の付いている桟と平行な(左右とも)2番目と3番目の桟をつなぐ横の桟も外側が天井方向に傾いて見える。

蛍光灯を消すと、これらの錯視は起きない。

2005年9月3日
Copyright Nishiwaki Osho 2005

この錯視は、新潟県上越市の願宗寺(浄土真宗本願寺派)にある。阿弥陀如来のお導きか。

北岡明佳のコメント: (1)は視覚的ファントムで桟の手前に面が知覚され、そのため奥行き対比が起きたものと私は考察する。(2)はブルドン錯視と考えられる。ブルドン錯視の実例の報告はひょっとして世界初ではないだろうか。


Dark phantoms
(i.e. standard phantoms)

The visual phantom illusion refers to a phenomenon that an illusory grating appears to bridge the occluder that occludes a luminance-modified grating. When the luminance of the occluder is the lowest luminance of the grating, dark parts appear to be continual in front of the occluder.


Light phantoms

When the luminance of the occluder is the highest luminance of the grating, light parts appear to be continual in front.


(When the cursor is placed on this image, the occluder becomes dark)


Tynan, P. & Sekuler, R. (1975). Moving visual phantoms: A new contour completion effect. Science, 188, 951-952.

Genter, C. R. II. & Weisstein, N. (1981). Flickering phantoms: A motion illusion without motion. Vision Research, 21, 963-966.

Gyoba, J. (1983). Stationary phantoms: A completion effect without motion and flicker. Vision Research, 23, 205-211.

Sakurai, K. & Gyoba, J. (1985) Optimal occluder luminance for seeing stationary visual phantoms. Vision Research, 25, 1735-1740.


ブルドン錯視

左下の三角形の上辺と右上の三角形の上辺は一直線上にあるのだが、真ん中で左上方向を凸に折れ曲がっているように見える。

Bourdon, B. (1902) La perception visuelle de l'espace. Paris: Reinwald.

ついでにいうと、2つの三角形の接合部を中心として、左下の三角形は反時計回りに、右上の三角形は右回りに回転する錯視的運動を私は感じる。<2005/9/3>



岩が顔に見える錯視

「種子島宇宙センター沖のおっさん(上)とチンパンジー(下)」

ようけありますなあ。おじゃり申せ。*

*種子島弁で「いらっしゃいませ」という意味らしい。

photo by Seiichi Tsuinashi 2013 (February 3)


大きい画像


種子島宇宙センター
photo by Seiichi Tsuinashi 2013 (February 3)


種子島宇宙センター発射場



坂道の錯視(種子島・その1)

種子島の「中種子町納官(なかたねまち のうかん)深久保の錯視の坂」の実地調査

調査日:2013年2月2日(土)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO

中種子町の錯視の坂

この坂は手前から奥に向かって下り坂(勾配は0.9度)なのだが、上り坂に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 17) 撮影日は、2013年2月2日(土)、以下同様


中種子町の錯視の坂・水平線付き

手前の坂は上り坂に見えるが下り坂である。下図がその証拠で、手前の坂の両端の延長線の消失点は水平線よりも下に来る。


サトウキビ畑の切り通しの形も錯視に寄与していそうである。


サトウキビの刈り方と林のシルエットも錯視に寄与しているかも。この写真では道路は左に下がっているのだが、左に上り坂に見える。


サトウキビ畑の切り通しがよく見えないこの位置からでも、下り坂が上り坂に見える。


これが海に向かっての下り坂というのはないよな。


写真で確認しても下り坂である。もし上り坂なら、消失点(赤線の交点)は水平線よりも上になければならないからである。


手前の坂は緩い上り坂(0.9度)、奥の坂は急な上り坂(5.7度)であるが、手前の上り坂は下り坂に見える。


手前の坂は緩い上り坂(0.9度)、奥の坂は急な上り坂(5.7度)であるが、手前の上り坂は下り坂に見える。


手前の坂は急な下り坂(5.7度)、奥の坂は緩い下り坂(0.9度)であるが、奥の下り坂は上り坂に見える。



(對梨研究員撮影)

手前の坂は急な下り坂(5.7度)、奥の坂は緩い上り坂(0.9度)であるが、奥の下り坂は上り坂に見える。


近所の人の話によると、「ゆうれい坂」という看板があるとのことであったが、どこにもなかった。看板そのものがゆうれいであった可能性がある。



北岡の反省点 ・・・ クレストの下方から緩い坂を撮影しておくんだった(上り坂が下り坂に見えたはず)。クレストの下方の急な坂の勾配も測定しておくのだった。というわけで、また種子島に行こうっと。



坂道の錯視(種子島・その2)

種子島の「南種子町河内(みなみたねまち かわち)の錯視の坂」の実地調査

調査日:2013年2月3日(日)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO

南種子町河内の坂

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (February 24) 撮影日は、2013年2月3日(日)、以下同様

手前の坂は急な下り坂(3.5度)、奥の幅が狭くなっている坂は緩い下り坂(0.8度)であるが、奥の下り坂が上り坂に見える。写真では手前の坂まで上りに見えることがあるが、現地ではそのようなことは感じなかった。


右側の旧道に入ってすぐ、手前の坂は下り坂に見えるが、緩い上り坂である(0.8度)。奥の坂は急な上り坂(3.5度)であるが、左側の新道の傾斜がさらに急である(4.5度)ためか、あまり急勾配に見えない。


手前の坂は急な下り坂(3.5度)、奥の幅が狭くなっている坂は緩い下り坂(0.8度)であるが、奥の下り坂が上り坂に見える。写真では手前の坂まで上りに見えることがあるが、現地ではそのようなことは感じなかった。


緩い下り坂(0.8度)が上り坂に見える。


地元の人に話を聞いたところ、ここが錯視のスポットであることは特に有名ではないということであった。

今回の立命館大学の調査につながった唯一の情報源(大木田敏明さん)を通してわかったことは、この錯視の坂の発見となるきっかけを作ったのは大﨑佳寿美さんである。2010年か2011年の頃、雨の日に高校にバイクで通学途中に、この地点で「雨水が逆流している」ことに気づいた。佳寿美さんは不思議でならず、それを父親の大﨑寿徳さんに伝えたところ、寿徳さんは早速現場を訪れた。一級土木施工監理技術者である寿徳さんは、先の坂の勾配と手前の坂の勾配が違うだけで、両方とも下り坂である事を確認した1)。その後、寿徳さんが所要で大木田さんの別宅に来たときに、大木田さんが「中種子町のゆうれい坂を、誰も知らないから、撮影し動画にしてUPするんだ」という話をしたところ、「娘が見つけた坂が南種子にもある」と教えた。そこで、大木田さんは寿徳さんの案内で現場に行き、それが錯視の坂であることを確認した。後日、大木田さんは、別の友人のクルマで一緒に来て、ギアをニュートラルにするとみかけの上り坂をクルマが上っていく様子を撮影し、その動画をウェブページで公開した。ちなみに、立命館大学の北岡と對梨がこの坂を知ったのは、2012年12月のことである。 <2013年3月2日>

1) 「具体的には、車で坂を上がって行って(注:下の写真の向こうから来た)、旧道に入って手前の下りに見える坂で アクセルを緩めたところ、スピードが緩んだので、これは下りではなく、同じく上り坂である事を確信して途中で車を止め、ニュートラルにしたら、バックした」 とのことである。 <2013年3月5日>


旧道入り口。旧道入ったところは下り坂にしか見えません!


現場から数百メートルのところにあるホテル

星がきれい。食事がおいしい。お酒がおいしい。お風呂は温泉。たいへんよい。

坂道錯視研究者御用達のホテルといったところなのだが、そういう利用は初めてのようだった。



坂道の錯視(新潟県津南町)

津南の坂道錯視群の実地調査

場所:新潟県十日町市原町から中魚沼郡津南町源内山までの約5kmのほぼ直線区間。一部は国道117号線からニュー・グリーンピア津南へ向かう県道(482号線)のため交通量が多い。坂道錯視の起こるポイントが8箇所あった(これまで調査した中では断トツで最多)。十日町市に3箇所(調査済)、十日町市と津南町の境界の集落付近に1箇所(未調査)、津南町に4箇所(調査済)である。

調査日:2013年8月14日(水)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO



1.1 十日町市の一番上(一番南)のポイント・上向き(南向き)に撮影

蜃気楼が見えているところは少し上り坂なのであるが、少し下り坂に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (August 15) 新潟県中魚沼郡津南町源内山にて、撮影日は 2013年8月14日(水)、以下同様


蜃気楼がよく見える。


このポイントをAPC-Sの焦点距離18mmで撮影

下の写真は上の写真をトリミングしたもの


1.1 十日町市の一番上(一番南)のポイント・下向き(北向き)に撮影



2.2 十日町市の一番上(一番南)のポイント・下向き(南向き)に撮影

緩い下り坂は緩い上り坂に見える。蜃気楼が見えているところは急な下り坂。



津南町の上から二番目(南から二番目)のポイント・下向き(北向き)に撮影

下り坂なのだが上り坂に見える。


緩い下り坂は緩い上り坂に見える。



津南町の上から三番目(南から三番目)のポイント・下向き(北向き)に撮影

緩い下り坂は緩い上り坂に見える。


津南町の一番上(一番南)のポイント・下向き(北向き)に撮影

下り坂なのだが上り坂に見える。


京都市内からクルマで9時間



坂道の錯視(北海道上富良野町)

上富良野の「ジェットコースターの路」の実地調査

調査日:2013年9月18日(水)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO


ジェットコースターの路(部分)


手前(西南側)は下り坂(4.4º、7.7%)で、奥(東北側、美馬牛側)は上り坂(6º、10.5%)なので、通常の坂道錯視の定義にはあてはまらないが、実測値よりもはるかに急に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (September 18) 北海道空知郡上富良野町・町道西11線にて。撮影日は 2013年9月18日(水)。以下同様


標準的な撮影では見た感じが伝わらない。


反対側から見たところ。手前は下り坂(6º、10.5%)で奥は上り坂(4.4º、7.7%)。奥の上り坂が大変急であるようには見えない。


遠方をカットすると少し急に見える。


谷から西南側の坂道を見上げたところ。急な坂道に見える。


谷から東北側(美馬牛側)の坂道を見上げたところ。急な坂道に見えるが、西南側の坂上から見た時ほどの迫力はない?


ズームアップ撮影すると、急な坂道に見える。


(再掲)

左上の明るい土色の部分は崖のように見えるが畑である。


この畑はそんなに急な勾配ではない。


(再掲)

ジェットコースターの路のつづき





山消失錯視(北海道上富良野町)


「山消失錯視」

富士山のような形の山が消失したように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (September 27)
photo September 27, 2013 上富良野町から見た十勝岳 



山が透明に見える錯視

善通寺市の透明に見える山 ・・・ 山が透明に見える。

手前の山は「筆ノ山」(ふでのやま)、奥の山は「我拝師山」(がはいしやま、がはいしざん)と思われる。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (August 1) 香川県善通寺市・高松自動車道善通寺インターチェンジ付近にて。撮影日は 2013年7月31日(水)




拡大するとバレバレ


宮城蔵王の透明に見える山

2012年10月22日、宮城蔵王(不帰ノ滝を見に行く駐車場から仙台方向を望む)にて撮影。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (October 26)

ついに1つ撮影した!


「透明に見える山」

中央の山が透明に見える。

Copyright Midori Takashima 2007
高島翠さんより, 2007/5/1

(東京都町田市内の小山馬場谷戸公園付近から西の方角を望む)

北岡明佳のコメント: Adelson-Anandan-Andersonのモデルで言えば、bistable transparency (両義的透明視あるいは二値安定透明視あるいは反転可能透明視)である。

なお、「透明に見える山」の報告はこれが初めてではなく、池田(1993)(関西大学『社会学部紀要』第25巻第1号pp.165-168)によると、大阪府吹田市の一角から遠望した山に見えるとして、写真が載っている。その池田によると、Metzger (1953) に既に載っている。


透明視については、以下を参照されたい。

透明視講義用のプリント

Kitaoka, A. (2005) A new explanation of perceptual transparency connecting the X-junction contrast-polarity model with the luminance-based arithmetic model. Japanese Psychological Research, 47, 175-187. Reprint or PDF request to me


関連した錯視写真

「透明に見えるビル」

中央のビル(クリスタルタワー)が透明に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (May 1)

大阪城の天守閣からの眺めなので、いつでも見ることができる。大阪城にはエレベーターがあるので、登るのは楽である。なお天守閣は8階が最上階であるが、エレベーターは5階までである。なぜ途中までかというと、「大阪夏の陣の後、徳川家が再建した当時の技術では、エレベーターは5階までが限界だったから」と言っている人がいた。(オレや)



「十字隠し電球」

右の図に左の図のような十字形が隠れているが、気づくのに時間がかかる。「よい連続の要因」というゲシュタルト心理学の法則を用いた隠し絵。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (April 25)



合成写真のように見える錯視

「合成写真錯視」

2枚の写真を水平線部分で張り合わせた写真に見えるが、1枚の写真である。

(白い柱が対岸を支えているようにも見える)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (October 4)

2009年9月30日、シドニーにて撮影



斜めの階段の錯視(滋賀県甲賀市信楽町)

滋賀県立陶芸の森の「階段錯視」の実地調査

調査日:2013年4月4日(木)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO

陶芸の森階段

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (April 4) 撮影日は、2013年4月4日(日)、以下同様

階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、下から見上げると上部は右に傾いて見える。 測量値のPDF

階段がエスカレーターのように上昇して見える錯視もあるなあ・・・


階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、下から見上げると下部が右上がりに見えることもある。


階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、下から見上げると上部は右に傾いて見える。


階段の踊り場がなく連続しているように見える写真


階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、上から見下ろすと踏面の水平が左に傾いて見える。写真ではあまりそう見えないが、現場では左に体が傾いて、左側の手すりを握る傾向にあった。


さらに上から見たところ(魚眼レンズ使用)


錯視の原因か?


對梨研究員が測量しているところ


京都から1時間



斜めの階段の錯視(埼玉県飯能市正丸駅)

西武秩父線「正丸駅の階段の錯視」あるいは「階段錯視」(對梨, 2005)の実地調査

調査日:2013年3月13日(水)  調査員:北岡明佳と對梨成一  研究資金:科研費、R-GIRO

正丸階段

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (March 13) 撮影日は、2013年3月13日(日)、以下同様

階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、下から見上げると上部は右に傾いて見える。中央の手すりは垂直に立てられているが、左に傾いて見える。


階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、下から見上げると下部が右上がりに見えることもある。


階段の踏面(ふみづら)は水平なのだが、上から見下ろすと踏面の水平が左に傾いて見えることもある。


上から見ると、中央の手すりは右に傾いて見え、階段の右側は狭く感じる。


下から見ると、中央の手すりは左に傾いて見え、階段の左側は狭く感じる。


中央の手すりの支柱が垂直かどうかを調べているところ


遠くから見ると錯視は弱くなるが、よく見るとやはり奇妙な感じに見える。


正丸駅。左の3本の白い支柱があるところが、問題の錯視の階段である。

西武鉄道4000系電車。子どもが小さかった頃は狭山市に住んでいたので、何度か乗ったものだ。






距離知覚が狂う錯視(京都市建勲神社参道)

「建勲神社の錯視」

建勲神社の鳥居が見えるが、ずいぶん遠くに見える。そんなに遠いはずはないのだが・・・
(建勲大徳寺交差点から撮影。地図で見ると建勲神社まで200メートル程度なのだが)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (August 16)



これが答えだ!

建勲神社は船岡山にあり、ご神体は織田信長である。



建築物の平行が狂う錯視(オランダ・ロッテルダム)

「オランダ高層ビル高層階広がり錯視」

寸胴のはずなのに、ビルの上の方に行くほど広く見える。

2005年3月31日
Copyright Stephen G. Murray 2005 (March 31, 2005)

イギリス人Steveによる。ロッテルダムにて。

北岡明佳のコメント: この錯視を基本図形にすると下図の通り。垂直な棒が、左から、右・左・右・左・右に少し傾いて見える。(動く錯視も入っているなあ)

これはポップル錯視(下図)かな、と。下図では、垂直に配列しされたガボールパッチが、左から、右・左・右・左・右・左に少し傾いて見える。

Popple, A. V. and Levi, D. M. (2000) A new illusion demonstrates long-range processing. Vision Research, 40, 2545-2549.

Popple, A. V. and Sagi, D. (2000) A Fraser illusion without local cues? Vision Research, 40, 873-878.



建築物の平行が狂う錯視(札幌)


「札幌の読売新聞社の傾き錯視」

水平線が交互に傾いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (September 30)
photo September 30, 2013 札幌駅前の読売新聞社 


市松模様錯視でしょう。



東京にもそれらしいものはある。(有楽町・レムホテル)

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (November 3)
photo November 3, 2013 有楽町



建築物の平行が狂う錯視(ロシア)

「ロシアからカフェウォール錯視」

灰色の平行線が傾いて見える。

ロシアの Nizhny Novgorod にある Alexey の職場の床の写真です。
(c)Alexey Tsaryov 2003

カフェウォール錯視

鷲見成正先生から、グレゴリー先生によるカフェウォール錯視の再発見(Gregory and Heard, 1979)の元となったブリストル(イギリス)のカフェウォールの写真(1988年に鷲見先生がECVPに参加された時の撮影)を頂きました。 <2010年7月11日>

Copyright Shigemasa Sumi 1988

Rerefernces

Gregory, R. L. and Heard, P. (1979) Border locking and the Café Wall illusion. Perception, 8, 365-380.

カフェウォール錯視



豆知識 :
カフェウォール錯視(Café Wall illuision)の前身はミュンスターベルク錯視(Münsterberg illusion)(Münsterberg, 1897)で、カフェウォール錯視はフレーザーによる改変(Fraser, 1908)が最初である。このあたりの経緯については、Kitaoka et al. (2004) や北岡(2005)も参照されたい。

Rerfernces

Fraser, J. (1908) A new visual illusion of direction. British Journal of Psychology, 2, 307-320.

北岡明佳 (2005) 方向の錯視 後藤倬男・田中平八(編) 錯視の科学ハンドブック 東京大学出版会(pp. 136-153

Kitaoka, A., Pinna, B., and Brelstaff, G. (2004) Contrast polarities determine the direction of Café Wall tilts. Perception, 33, 11-20.

Münsterberg, H. (1897) Die vershobene Schachbrettfigur. Zeitschrift für Psychologie, 15, 184-188.

ミュンスターベルク錯視




日本のブラジル・鷲羽山ハイランド(岡山県)のカフェウォール錯視。観覧車のそばにある。 (2008年1月4日撮影)




ルイ・ヴィトン(高知市)の市松模様錯視(2006年1月3日撮影)・・・長方形の「レンガ」が膨らんで見える。

Rereernces

Kitaoka, A. (1998). Apparent contraction of edge angles. Perception, 27, 1209-1219.



街角錯視はこの中に満載!


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北岡明佳の錯視のページ