立命館大学文学部心理学科
佐藤達哉 「**を信じるな!」1 血液型性格判断 を疑ってみよう!
能見正比古の「血液型でわかる相性」以降の動向をまとめたもの。ただし*印がついているものは血液型カルチャーに批判的な動向である。
第1期 黎明期 カルチャーの産声あがる 血液型の超人・能見正比古の活躍 能見正比古、様々なメディアで活躍する一方、他者が血液型について語るのを嫌う。 「血液型人間学」という本には自説の盗用だとしてSから始末書をとったとの記述さえある。 1971 能見正比古「血液型でわかる相性」青春出版社 1972.7 男性誌初 「アサヒ芸能」SEXセミナー 血液型が教える男女の体位ABO方式 1973.7 女性誌初 「ヤングレディ」まったく新しい血液型相性学 1973.12 批評系初 *「科学朝日」血液型で人格が決まるか 1979.7 「ABOの会」発足 1979.10 「アボ・メイト」創刊 1980 ルネ・ヴァン・ダール「ルネのハッピー占い」に「血液型ラブ作戦」という章 1981.10 「女性自身」 星座+血液型で見る良い相性、悪い相性、普通の相性 1981.10 能見正比古死去(10月30日) |
第2期 隆盛期 占い師の参入による多彩な展開と忍びよる批判 能見俊賢が活動を開始。占い師たちが積極的に血液型を援用しはじめる。 様々な記事や言説が雑誌記事や街にあふれ、Tシャツ、キーホルダーなどのグッズも盛んに作られた。 その一方で、新聞、TVを中心に批判が開始された。 1982.5 *NHK「ウルトラ・アイ」日本大学山岡淳教授による調査結果 1982.6 *松田薫「ABO遺伝子(分布図)と文化現象」科学基礎論学会 1983.1 高島(現谷姓)澄江「血液型とパーソナリティに関する一研究」 日本大学卒業論文(大村政男指導) 1983 血液型別コンドーム「ABOBA」発売 1984.1 能見俊賢「月刊カドカワ」で「男と女の血液型愛情学」を連載 1984.1 フジTV「血液おもしろ大百科」を放映 おしんの血液型など 1984.2 *NHK「おはよう広場」 日本大学大村政男教授による調査結果 1984.7 *TBS「諸君! スペシャルだ!」 東京都立大学詫摩武俊教授ほかによる調査結果 1984.11 *「毎日新聞」「え!血液型で求人 新差別を生む恐れ」の記事 1984 雑誌記事に掲載された「血液型」記事は60件以上。また、血液型による求人広告も行われた。 |
第3期 衰退・潜伏期 マスコミ、性格心理学的批判の展開 マスコミや学者の批判が体系化され、雑誌などでの特集記事が少なくなる。 1985.3 *森本毅郎「血液型人間学のウソ」 *詫摩武俊・松井豊「血液型ステレオタイプについて」 1985.4 *米国「NEWS WEEK」 「Typecasting by blood」 の記事でブームを揶揄する 1986 *大西赤人「血液型の迷路」 1986 *溝口元「古川竹二と血液型気質相関説」 |
第4期 復活期 新しい理論化により大衆の常識として再生 潜在化していた血液型への興味が主に占いを通じて引き起こされ、サイエンスライター・竹内久美子によってお墨付きが与えられる。 黎明期に影響を受けた世代の子どもたちが全く無批判な「血液型カルチャー2世」に。 学者の批判はより多彩になるも多勢に無勢。 1990.7 「anan」特集号 「血液型でわかる、あなたの性格、他人の性格」 1990.10 *大村政男「血液型と性格」 福村出版 1990.11 森永「ハイチュウ」血液型別買い物のCM 1990.11 「朝日新聞」 「AB型社員でチーム」 の記事 1991.5 *松田薫「血液型と性格の社会史」 河出書房新社 1991 ポッカ「血液型別ソーダ」発売 1993 *佐藤達哉「血液型性格関連説についての検討」 レフリー付き学会誌初 1994.4 竹内久美子「小さな悪魔の背中の窪み」 1994.5 「SINRA」「血液型性格判断は正しい!」 1994.6 *詫摩武俊・佐藤達哉(編) 「血液型と性格」 現代のエスプリ 至文堂 1994.11 「anan」特集号 「血液型性格判断で性格と相性はやっぱりわかる」 1995.6 茨城県警、交通事故を起こした人の血液型分布調査報告を発表 1995.7 「サンケイスポーツ」 「オウム血の結束 化学班はA型集団」 の記事
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第5期 再衰退期 社会心理学的批判の展開 学者の批判は「なぜ人は血液型性格関連説を信じるのか」という社会心理学的なものになる。 また、血液型をカルチャーとして捉えた本「オザケツ」も登場。 1995.11 「サンデー毎日」 「血液型占いは「ウソ」の反証!」 の記事 1996 *柴内康文、インタネットホームページ上に「「血液型を書くのをやめましょう」のページ 1996.6 *佐藤達哉・渡邊芳之 「オール・ザット・血液型」 コスモの本 1996.8 「ABOFAN」血液型ファンホームページがインタネット上に登場 1997.2 「anan」特集号 「血液型で判る性格と相性」 1997.5 *高校教諭・森田浩之、G社発行の文部省検定済高校英語教科書に“血液型と性格”についての俗説 を紹介した部分があることを発見。多くの心理学者に情報提供を行う 1997.6 CX系「発掘!あるある大事典」にて「検証! 血液型性格のウソ・ホント」放映 1997.8 *坂元章、第2回アジア社会心理学会にて日本の研究状況をレビュー報告 |
第6期 再隆盛期 TV番組による取り上げ 好意的にとりあげるTV番組が2004年2月以降の1年間で70本以上オンエアされる。 2004年2月21日 「探検!ホムンクルス」が血液型性格関連説を好意的にとりあげる。 |
第7期 再再衰退期 BPO勧告によりTV番組放映は下火に。 *2004年12月8日 「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送と青少年に関する委員会が「『血液型を扱う番組』に対する要望」を出す。 |
第8期 再再隆盛期 書籍の大ブーム 『★型 自分の説明書』シリーズが大流行 TVがダメなら本がある?読書と自己判断の融合による「批判されない自己完結型血液型ライフ」の完成か。 2007年9月 『B型自分の説明書』(Jamais Jamais著) 発刊。 2008年10月現在、各血液型ごと「説明書シリーズ」累計400万部突破。 雑誌・TVは批判的論調で取り上げるも多勢に無勢。 |