モデルの適用
以下のようなクロス集計表 (Howell, 2002, p. 673) を考えてみます。Moral と Fault は犠牲者の特性です。一方,Verdict は被告に対する判決です。ですから,関心は犠牲者の特性と判決との間の関連性にあります。

- 集計結果を SPSS のデータシートに入力します。data をケースの重み付け変数として指定します。

- メニューの分析から対数線型の一般的を選びます。

- Verdict,Fault,Moral を因子欄に入れます。

- モデルをクリックして,「ユーザの指定による」 をチェックします。モデルの選択より,Fault × Verdictと Moral × Verdict を含むモデルが選択されました。Fault × Verdict と Moral × Verdict をモデルを含むように指定します。

階層的対数線型モデルなので,Fault,Verdict,Moral のそれぞれを明示的に含めても,含めなくても分析結果は変わりません。ただし,Fault,Verdict,Moral のそれぞれの効果を明示的に含ませるかどうかで,パラメータの推定値が異なります。パラメータはオプションで指定すれば出力されます。
- OKをクリックすると出力が表示されます。収束情報から,無事に収束していることがわかります。収束しない場合には,オプションの最大反復回数を大きな値に変更してください。

- 適合度検定の結果が有意でないことは,モデルが良く当てはまっていることを示します。

- 期待度数と残差が表示されます。調整済み残差を使って z 検定を行うことができます。
- 今度は,Fault × Verdict をモデルに含めない場合を考えてみましょう。

- 適合度検定が有意になりました。モデルはデータに適合しないことを示しています。

Fault × Verdict をモデルから除いたことによるカイ二乗値の増加分は 40.163 - 2.812 = 37.351 になります。その自由度も差をとり 5 - 4 = 1 になります。χ2(1) = 37.351 が Fault × Verdict と Moral × Verdict を含むモデルにおける Fault × Verdict の貢献度になります。
- 調整済み残差は z 値とみなすことができるので,調整済み残差の絶対値が 1.96 より大きいセルは当てはまりが悪いといえます。
モデルに含まれる項を変えて,適合度を比較してみます。
- 2変数の交互作用をすべて含むモデル (Fault × Moral × Verdict を除いたモデル) を当てはめてみます。


- 次に,上記のモデルから Fault × Verdict を除外した場合を考えてみましょう。


モデルから Fault × Verdict を除去したことによるカイ二乗値の増加分は 37.245 - .255 = 36.99 になります。この値は,Fault × Verdict と Moral × Verdict を含むモデルから Fault × Verdict を除去した場合の値とはいくらか異なります。