企画・司会
無藤隆(お茶の水女子大学)
サトウタツヤ(立命館大学)
話題提供者
松嶋秀明(名古屋大学)
西條剛央(早稲田大学)
やまだようこ(京都大学)
指定討論者
麻生武(奈良女子大学)
南博文(九州大学)
概要
私たちが創刊を試みた『質的心理学研究』には15本ほどの投稿があり、こうした場を求めている人が決して少なくないと実感できた。これらの論文は厳正なピア・レフリーシステムによる査読を経て、そのうちの半数が創刊号に掲載されることになった。ただし査読過程は淡々と進んだわけではなく、そこで問題になったのは、「質的研究における良質の研究とは何か」ということであった。
そして、それは実際に質的研究にチャレンジしている多くの人の悩みとも共通していると思われるし、答えは単純なものではないだろう。
そこで私たちは、編集過程において『質的心理学研究』の良さが現れているのではないかと思われる論文とその著者に話題提供をしてもらうことで「良質な質的心理学研究のあり方」について多くの参加者と共に考えてみようと思うに至った。
松嶋氏の論文「いかに非行少年は問題のある人物となるのか?」は二人のレフリーが文句なく採択と考えたもので、質的心理学研究の1つの範型となりうるだろう。
西條氏の論文「生死の境界と「自然・天気・季節」の語り:「仮説継承型ライフストーリー研究のモデル提示」は、投稿された論文が良質であったことはもちろんだが、それに対してレフリーが判定したりコメントや注文をするのではない方法で論文を活かそうと考えた。すなわちレフリーの一人が発展継承論文を書くことで西條論文に応えようとしたのである。やまだ氏の論文「なぜ生死の境界で明るい天空や天気が語られるのか?:質的研究における仮説構成とデータ分析の生成継承的サイクル」がそれである。論文のキャッチボールを通じて研究を推進していこうという姿勢はこの『質的心理学研究』の特色となっていくのではないかと思われる。
このように3人の方にご自分の論文について語ってもらうことで良い質的心理学研究について考えることがこのシンポジウムの目的である。
編集委員として運営にあたっている他の者が司会や指定討論を務める。南氏は当日滞米中の予定だが何らかの形(ヴァーチャル・メールなどによる伝達)での参加を考えている。
シンポジウム当日の様子(敬称略)
企画趣旨説明・無藤隆(お茶女大教授)
松嶋秀明(名大大学院) | 西條剛央(早大大学院) | やまだようこ(京大教授) |
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左=指定討論・麻生武(奈良女大教授) 右=企画・司会・サトウタツヤ(立命館大学助教授)による全体のまとめと最後の挨拶 |
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(写真提供・文京女子大学松田浩平先生)
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