立命館大学 総合心理学部 学部ポータル 人間科学研究科 SPSS入門

交互作用の分析 (分散分析で反復測定の方法を用いた場合)


被験者内要因 (interval) の単純主効果

ここでは,シンタックス・エディタを使って,コマンドを編集していますが,メニュから選択しても実行できます。

  1. まず,データを選択して,condtion の水準別に分散分析を行います。



  2. IF 条件が満たされるケースを選択し,condtion = 1 を指定します。



  3. 条件を設定できたら,貼り付けボタンをクリックし,シンタックス・エディタを開きます。



  4. 以下のようなコマンドが表示されます。



    ラベルと書式の設定については削除します。



  5. 一般線形モデルの反復測定を選択し,interval の 6水準を設定した後,貼り付けをクリックします。

    GLM の部分が作成されますので,ケース選択のコマンドとあわせてコピーし,2回貼り付けます。

    その後,COMPUTE 文の condtion = 1 の部分を condtion = 2,condtion = 3 にそれぞれ変更すると以下のようになります。



  6. コマンドを実行すると,condtion の各水準における interval の主効果が表示されます。

    Howell (2002, pp. 488-490) は,被験者内要因についての単純主効果を検定する場合, 球面性の仮定の問題から,condition と interval の交互作用についての検定で用いた誤差項を使わずに,被験者間要因の水準ごとに被験者内要因についての分散分析を行うことを推奨しています。

    しかし,ここでは,分散分析の誤差項を用いて,各水準における interval の効果 (単純主効果) を検定してみましょう。

  7. 出力された分散分析表をダブルクリックし,interval の主効果に関する平方和,自由度,平均平方をコピーし,エクセルなどのスプレッドシートに貼り付けます。



  8. 最後に,全データの分散分析における interval の主効果,あるいは,condtion と interval の交互作用を検定する際の誤差項 (平方和,自由度,平均平方) をコピーし,スプレッドシートに貼り付けます。



  9. 各水準における interval の平均平方を誤差項の平均平方で割れば,F 値が計算できます。


被験者間要因 (condtion) の単純主効果

  1. condition と interval の設定,および,condtion と interval の交互作用について平均値の表示の設定を行った後,貼り付けをクリックして,シンタックス・エディタを開きます。



  2. EMMEANS 文の TABLES(condtion*interval) の後に以下のようにコマンドを追加します。



  3. シンタックス・エディターから実行すると,以下のような分析結果が出力されます。

    ペアごとの比較における標準誤差と 1変量検定における誤差項は,condtion の水準別のデータから計算されたものが使用されています。





  4. プールされた誤差項による分析を行うために,分散分析表の出力をエクセルなどのスプレッドシートへコピーし,統計量を計算しなおします。

    condtion の単純主効果を検定するための誤差平方和は,データ全体の分散分析で condtion の主効果を検定する際に使用した誤差項の平方和と,condtion と interval の交互作用を検定する際に使用した誤差項の平方和の和になります。

    誤差平方和,384,722.06+281,199.31 = 665,921.38 になります。平均平方は平方和を自由度 126 (21+105) で割った値です。



  5. プールされた誤差項は同質でない誤差変動を合計しているので,検定する際には自由度を調整する必要があります (Howell, 2002, pp. 490-493; 宮本・山際・田中, 1991; Winer, Brown, Michels, 1991, pp. 529-531)。

    condtion の主効果を検定する際に使用した誤差項には被験者による変動が,condtion と interval の交互作用と関連する誤差項には interval と被験者の交互作用による変動がそれぞれ含まれていると考えられます。

    そのため検定を行う際,F 値の 2番目の自由度を Satterthwaite の方法により調整します。



    したがって,interval の各水準における condtion の単純主効果のF 値の自由度は,検定を行う際,2 と 57 になります。


  6. ペアごとの比較を行うための標準誤差(SE)を,プールされた誤差項(MSS)から計算することができます。

    SE = √(MSS / M + MSS / N)

    MN は,それぞれ,2つのサンプルの大きさです。


  7. 宮本・山際・田中 (1991) は,被験者間要因の単純主効果を検定する場合, 自由度を修正する必要があるので,プールされた誤差項を使わずに被験者内要因の水準ごとに被験者間要因についての分散分析を行うことを推奨しています。