立命館大学 総合心理学部 学部ポータル 人間科学研究科 SPSS入門

対応のあるデータのクロス集計


例題: 説明前後の態度の変化を調べました。

  1. 50名の態度変化は,以下のようなものでした。説明の影響を知るために,賛成から反対に移った人数 (5名) と,反対から賛成に移った人数 (17名) に違いがあるかどうかを検討します。態度を変えなかった 28名については分析から除外します。

    説明前 説明後
    賛成 反対
    賛成 15 5 20
    反対 17 13 30
    32 18 50

    賛成する比率が説明前後で変化しないことが帰無仮説になります。各セルの頻度を f11, f12, f21 とすると,(f11+f12)-(f11+f21) = f12-f21 であるので,説明前後で比率が変わらないことは f12 と f21 が等しことを意味します (詳しくは,Agresti, 2003, 9章)。

  2. 集計結果を SPSS のデータシートに入力します。



  3. 度数をケースの重み付け変数として指定します。



  4. 左の枠内にあった度数を選択し,度数変数の欄に挿入します。



  5. 分析メニューの記述統計からクロス集計表を選択します。



  6. 説明前を行の欄に,説明後を列の欄に入力します。



  7. セルを選択し,パーセンテージを表示するように設定します。



  8. 統計の設定では,McNemar をチェックします。クロス集計の非対角セルの対称性を検定することができます。



  9. カイ二乗検定の出力が表示されますが,実際には二項分布の確率が計算されます。

上記の McNemar検定は,SPSS を用いて 2項分布の確率を計算した結果と同じです。そのことを確かめてみましょう。

  1. 賛成から反対に移った 5名と,反対から賛成に移った 17名を SPSS のデータシートに入力します。



  2. 左の枠内にあった頻度を選択し,度数変数の欄に挿入します。



  3. 分析メニューのノンパラメトリック検定から 2項を選択します。



  4. 検定変数リストに態度変化を加えます。また,検定比率は .50 です。



  5. 2項検定の結果は以下のようになります。McNemar検定と同じ確率が表示されました。