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クロス集計
例題: 2つのクラスで,ある意見に対する賛成 ・反対を集計しました。クラスごとに,男女別の賛成と反対の人数を 2 X 2 のクロス集計表にまとめました。
カイ二乗検定ではサンプルサイズが小さいと χ2分布への当てはまりが悪くなります。そのため,すべてのセルの期待値が 5以上であることが一つの経験的基準として知られています。Howell (2002, p. 159) は,この基準は厳しいものなので,当てはまらないからといって過度に罪悪感を持つことはないと述べています。しかし,サンプルサイズが小さいと検定力は低下することが知られています。 |
Fisher の直説法を用いた両側検定で,SPSSがどのような場合を考慮して計算しているかは示されません。通常は,データが示すパターンの確率(クラス1 の例では (30C21 X 33C11)/63C32 = .0030)と等しいか,より小さい確率を示すパターンの確率を合計して両側検定の確率が計算されます(Agresti, 2003, p. 57)。上記クラス1 の例ならば,男性の賛成が 21名以上の場合と 9名以下の場合の確率を合計します。各行の周辺度数が等しい場合には,両側検定の確率は片側検定の確率の 2倍になります。 サンプルが小さいときに Fisher の直説法が推奨されます。しかし,Fisher の直説法では確率を計算する際に周辺度数が固定される点が問題です。今回の例では賛成と反対の人数は統制できないので,Fishser の直説法が必ずしも適切であるとはいえないでしょう (Howell, 2002, p. 155)。 たとえば,20個のコップに缶コーヒーを注いだとします。そのうちの 10個のコップには新しい銘柄が,残りの 10個のコップには従来の銘柄が注がれています。判定者には,新しい銘柄が入っている 10個のコップと,古い銘柄が入っている 10個のコップに分けるように求めたとします。そのような場合,Fisherの直説法を用いることが適切であるといえます。 |