作品3 『たまゆら錯視』 (現象の説明) (1) 放射状の縞模様の下を、黄色と紺のドットが回転している。しばらく注視点を見ていると、黄色のドットの回転だけが停止して見える。 (2) 縞模様をドットと逆向きに回転させると、黄色のドットは止まって見えるだけでなく、縞に付随して逆向きに回転しているようにも見える。 (3) 縞模様がないと動きは消えない。 (4) 縞模様とドットの前後関係を逆転すると、黄色のドットも紺のドットもその場で自転 しているように見える。 (メカニズムの考察) (1), (2)では、背景とのコントラストが低く可視性の低い黄色のドットの運動が、可視性が高い紺のドットの運動情報との対比によって見えなくなってしまう、という説明が考えられる。また(2)では運動の同化が生じているものと考えられる。一方これだけではなぜ(3)では同じ錯視が起きないか、(4)では全て止まって見えるのかを説明できないため、縞模様とドットの間の相対運動も何らかの影響を与えているのは間違いない。また(4)で一つ一つのドットがその場で動いて見えることには、フットステップ錯視に近い機構が働いている可能性がある。