スイングバイ錯視 (現象の説明) ある円の接線上を同期的に一定の速度で直線運動するドット群が、実際には直進しているにもかかわらず、円と軌道の接点付近で円周に沿うように蛇行しているように見える。この効果はドット数が多いほど顕著であるが、最低3ドットでも生じる。 同様に、ドットの接する円そのものをドット同様に別の円に接するように動かすことで、直線運動するドットが非常に複雑な動きをしているように見せることができる。 (メカニズムについての考察) 円に接するように直進運動しているドット群の運動は、実際に回転運動と拡大縮小運動に分割することができる。言い換えれば、群としてのドットの回転運動は個々のドットが曲率を持った運動をしていることを(幾何学的には)必ずしも意味しない。にも関わらずこの錯視が生じることは、我々の視覚系がひとたびローカルな運動情報をグローバルな運動パターンへと統合してしまうと、個々のドットのローカルな運動を正確に把握することは難しくなることを示している。