サイクロン錯視 (現象の説明) 円周上に傾いて並んだ線分(羽根)の上をドット群が回転することで、羽根に沿う方向にドット群が拡大あるいは縮小して見える。この効果は、ドットが動かず羽根が回転しても生じる。一方、この効果はドットと羽根が伴って動く場合や、ドットが羽根の下にある場合には生じない。 (メカニズムの説明) ドットと羽根の間の色の対比効果によってドットの内部に知覚的な明暗のムラが生じ、これがドットと羽根との相対運動にともなって外向きあるいは内向きの運動エネルギーを生じさせることでドット群の拡大あるいは縮小が知覚される、と考えると錯視の起きる場合・起きない場合を統一的に説明することができる。 この説は、ドットと羽根の間のコントラストが大きい方が錯視量が大きいことおよびドットが内部に色ムラが見えない程度に小さいと錯視量が弱くなることもともに説明することができる。また、付随的な錯視現象として、ドットと羽根の間のコントラストが大きい場合に小さい場合よりもドットの運動そのものが速く知覚される。これは、色ムラによる拡大・縮小方向への運動ベクトルが本来の円運動の運動ベクトルに加算されることでドットの運動ベクトルの絶対値(速さ)が大きくなることで生じているものと思われる。