2004年9月14日(火)
日本心理学会第68回大会(関西大学)ワークショップ
WS83 日本の風景・建築の中の錯視 ―エコロジカル・イリュージョンの世界―
企画:仁平義明先生(東北大学)

街角錯視
(Illusion observed outdoors)

立命館大学文学部心理学科
北岡明佳

(このページを使って発表)


源光庵(京都市)



これが本ワークショップの内容に関係のある窓である。たいていの観光ガイドに載っている。





坂道錯視

京都国際会館裏の宝ヶ池公園の園路にて。この坂は結構きつい上り坂なのだが、時々下りに見える。

浮き輪付き自転車がなくてもそう見える。ちゃんと上り坂に見えることもある。反対側を見ると正しく下り坂に見えるので(下の写真)、こっち向き(宝ヶ池向き)に限るようだ。この上り坂が下りに見えると、自転車のペダルが重く感じられる。コゼレフの錯覚の親戚筋かな・・・いや、かなり遠いなあ。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2004 (August 30, 2004)

ある坂道錯視の研究者のホームページはこちら


「小倉山の錯視」

阪急嵐山駅西側の道を渡月橋方向に歩いていくと、大きい山が見える。


渡月橋に着くと、そんな山はない。


よく見ると、さっきの大きい山は小倉山。ズームで撮影。こうは見えない。


最初の地点から普通に撮影すると、小倉山はこんなに小さい。でも、こうは見えない。

このような「山や建物の錯視」はどこでも見られる。月の錯視(天体錯視)と関係ありや?


斉藤茂吉記念館(山形県かみのやま温泉)のヘリング格子錯視


ヘリング格子錯視

黒の交点が明るく見える。


ヘルマン格子錯視もよく見かける。

今回は適切な写真がなかったので省略。

白の交点が暗く見える。


「大阪ほんわかテレビのディレクターのきらめき格子錯視」


きらめき格子錯視(scintillating grid illusion)

白丸の中に黒いものが光って見える。


「京福電車北野線・高雄口駅のポッゲンドルフ錯視」

後ろの鉄棒は真っ直ぐですが、ガクガクしているように見えます。後ろから見ると下の写真の通り。


ポッゲンドルフ錯視

2つの斜線は一直線上にあるのだが、右の斜線が相対的に上にあるように見える。角度の錯視とも位置の錯視とも考えられる。


錯視量の多いポッゲンドルフ錯視

2つの斜線は一直線状にあるのだが、上の斜線は右にずれて見える。図のように斜線が短く、遮蔽線で両側を切断されている時に、ポッゲンドルフ錯視の錯視量が多くなる。Metzger(1953)に載っている。


京都タワーの錯視




京都タワーを横にしてみたところ



フィック錯視(Fick illusion)

長さが同じでも,垂直に置かれた線分は水平に置かれた線分よりも長く見える。垂直・水平錯視(vertical-horizontal illusion: V-H illusion)という名称もよく用いられる。da Pos and Zambianchi(1996)によると、Fick(1851)が最初に示した。Oppel(1854-1855)が最初とした文献がある(例えば、Robinson, 1972 / 1998)のは、フィックは単に視空間の非対称性の例として示したのにすぎないのに対し、オッペルはこれを錯視として初めて研究したことによる。


「階段アイコンの錯視」

直角の階段の角が少し鋭角に見える(上の写真)。一部を8倍に拡大(下の写真)してみると直角であることがわかる。


隅効果(corner effect)

この図の角はすべて直角であるが、少し鋭角に見える。白い角についてPierce(1898)が最初に指摘したが、黒い角も同様であることをKitaoka(1998)が示した。


クレーター錯視

「点字ブロックのカニ」

中の点字ブロックは出っ張っているのに引っ込んで見える。カニのあしが上下に動いて見えることもある。

Copyright A.Kitaoka 2003 (December 9, 2003)


「動く点字ブロック」

点字ブロックが上下に動いて見える。出っ張っているのに引っ込んで見えるところもある(クレーター錯視)。

Copyright A.Kitaoka 2003 (December 8, 2003)

元の画像


錯視作品「点字ブロック」

上下に動いて見える。(周辺ドリフト錯視)

(c)Akiyoshi Kitaoka 2002, (c)KANZEN 2002 (Trick Eyes 2)


「ロシアからカフェウォール錯視」

ロシアの Nizhny Novgorod にある Alexey の職場の床の写真です。
(c)Alexey Tsaryov 2003

ついでに左右に動いて見える。


カフェウォール錯視(Cafe Wall illusion)

水平に引かれた灰色の線が左に傾いて見える。


カフェウォール錯視図で見られる動く錯視の例・その1

「編み物」

動いて見える。もちろん、カフェウォール錯視であるから、縦の灰色の線は垂直でお互いに平行である。

Copyright A.Kitaoka 2002


カフェウォール錯視図で見られる動く錯視の例・その2

「動くタイル」

中央の領域が動いて見える。なお、すべて正方形でできている。

Copyright A.Kitaoka 2002


「道路斜線錯視」

上の写真では道路の斜線が上下に動いて見える。カーソルを左右に振って、目で追いかけると見やすい。神戸のポートタワーから見おろしたところ。

上の写真では道路の斜線が左右に動いて見える。カーソルを上下に振って、目で追いかけると見やすい。


「紅葉見物の月」

半月が動いて見える。上の列は右に、下の列は左に。中心ドリフト錯視と仮称している動く錯視の例である。

Copyright A.Kitaoka 2003 (November 18, 2003)


「月の運行」

中の2列の半月が右に動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2003


中心ドリフト錯視


「動物」

楕円の列がゆっくり動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2003


「ビル上昇錯視」

高層ビルが上昇するように見える。ビルに目を向けていない時によく起きるようである。神戸のポートタワーから見たところ。周辺ドリフト錯視?


周辺ドリフト錯視の例


もう1つ周辺ドリフト錯視の例

第38回知覚コロキウム(2005年3月22日〜24日・立命館大学びわこ・くさつキャンパス)のページ


国鉄線の錯視・・・白黒の縞模様の線(JR線)が線の方向に動いて見える。


結論

風景に錯視は認められるが、錯視量が少なく、エコロジカル・イルージョン研究の遂行時にはいろいろな困難に直面すると予想される。しかし、まだ世界中の誰もやっていない研究領域である点が魅力である。


北岡の研究業績ダウンロードのページ

北岡明佳の錯視のページ