日本基礎心理学会第34回大会@大阪樟蔭大学・小坂キャンパス
大会企画シンポジウム2 「錯視と発達」
2015年11月29日(日) 14:00-16:30

指定討論

立命館大学文学部人文学科心理学専攻(心理学域) 北岡 明佳 email HP
立命館大学 文学部 心理学専攻

2015/11/27 より


Q: 錯視とは何か?
A1: 錯視は普通の知覚のメカニズムの誤動作あるいはアーチファクト
A2: 錯視は普通の知覚とは異なり、そもそも間違った知覚
A3: 錯視は何かよいもの (マスコミが求めてくるアイデア)


A1なら錯視の発達は知覚の発達とイコールで、A2なら錯視の発達と知覚の発達は異なることになる。


大きさの恒常性によるとされる錯視を考察


「でっカー」

青いクルマの画角は同じであるが、左のが大きく、右のが小さく見える。もちろん真ん中がオリジナル。

Copyright Aliyoshi Kitaoka 2012 (December 4)



ミュラー・リヤー錯視





ポンゾ錯視



色の恒常性による錯視を考察



sRGBの値に基づく透明度50%でシアンと合成した画像 (各ピクセルのRGB値に対応する輝度はオリジナルの50%の値とシアンの50%の値を足したもの)




参考: 乗法的色変換でシアンのフィルターを透明度50%でかけた画像



参考: 乗法的色変換で赤のフィルターを透明度70%でかけた画像


Both “multiplicative” and “additive” color changes make the color constancy illusion.

Kitaoka, A. (2011). A variety of color illusion: (2) Color constancy and two types of color filters. Journal of Color Science Association of Japan, 35(3), 234-236 (in Japanese).


The right eye appears to be cyan in the left panel, yellow in the middle panel, and red in the right panel, though in each panel the right eye is the same color (= gray) as the left eye.

色の恒常性錯視デモ用のプリント用ファイル DOC




並置混色による錯視を考察


 
加法混色の並置混色   減法混色の並置混色

「白い髪と服のおねえさんと黒い髪と服のおねえさん」

髪と服はどちらも赤色とシアン色の縞模様でできていて同じであるが、加法混色か減法混色かの違いによってそれぞれ白と黒に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (July 15)

 
原画



拡大画像






さらなる拡大画像







あしゅら男爵化




早変わり
(GIF アニメ)


並置混色には2種類ある


加法混色       減法混色




Spatial color mixture with two colors (red and cyan): additive color mixture (left) and subtractive one (right)


明るさの恒常性錯視との関係


加法混色                        減法混色

 

 

↓↑ 類似                        ↓↑ 類似

 

↑ 乗法的色変換(黒50% sRGB)             ↑ 加法的色変換(白50% sRGB)

 

 



「あしゅら男爵錯視」

髪と服は左半身と右半身がくっついていると同じ灰色であることがわかるが(左)、離れていると明るさが異なって見える(左が明るく右が暗く見える)(右)。コフカの環(下図A)と同型。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (September 5)











図地分離錯視との関係


(再掲)
 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 

左右とも髪と服は白と黒の縞模様でできていて全く同じであるが、左は白く見え、右は黒く見える。




「図地分離による明るさ錯視」・・・左右の円内は同じ縞模様であるが、左は白い円、右は黒い円が見える。



アンダーソン錯視との関係


 

↓ グレースケールパターンで乗法的色変換   ↓ グレースケールパターンで加法的色変換

 

左右とも髪と服はグレースケールの雲模様でできていて全く同じであるが、左は白く見え、右は黒く見える。

 
Anderson's illusion

Anderson, B. L. and Winawer, J. (2005) Image segmentation and lightness perception. Nature, 434, 79-83.

The inset surrounded by the darker background appears to be lighter than the same pattern surrounded by the brighter background.

See Bart's Homepage

(Lightness scission)



The chromatic Anderson's illusion is possible.

Wollschläger, D. and Anderson, B.L. (2009) The role of layered scene representations in color appearance. Current Biology, 19, 430-435.


 

↓                            ↓

 



明るさの対比との関係


Spatial color mixture with three colors: additive color mixture (left) and subtractive one (right)




ホワイト効果との関係

オリジナル図
 

↓ 乗法的色変換(黒50%)             ↓ 加法的色変換(白50%)

 

↓ 等間隔に白線を乗せる             ↓ 等間隔に黒線を乗せる

 



ホワイト効果(White's effect)・・・左右の灰色は同じであるが、左半分の方が明るく見える。

White, M. (1979) A new effect on perceived lightness. Perception, 8, 413-416.



逆ホワイト効果との関係


 

↓ 等間隔に黒線を乗せる             ↓ 等間隔に白線を乗せる

 


逆ホワイト効果(inverted White's effect)・・・・・・左右の灰色は同じであるが、左半分の方が明るく見える。

Ripamonti, C. and Gerbino, W. (2001) Classical and inverted White’s effects. Perception, 30, 467-488.

cf.

ホワイト効果(White's effect)・・・左右の灰色は同じであるが、左半分の方が明るく見える。




要するに


 

い 

北岡明佳の錯視のページ