第10回日本感性工学会春季大会・視覚感性研究部会・企画セッション3
2015年3月28日(土)

について

2015年3月24日より  配布プリント


ドレス問題

Goddamn Colour-Switching Dress (Dress illusion or Dress debate)

According to Stephen Macknik on CVNet on March 7-10:
1. Swiked originally tweeted the image on tumblr on February 25, 2015.
2. She did ask the 2AFC question, not the open ended question: http://swiked.tumblr.com/post/112073818575/guys-please-help-me-is-this-dress-white-and
3. She then retweeted herself on instagram on 2/27 (unless by some freak coincidence there is a different user on Instagram named swiked who just so happened to retweet the tumblr post).

"Original" (Royal-Blue #TheDress Lace Bodycon Dress, Roman Originals, UK)

Akiyoshi Kitaoka talked about this issue in his poster session of the International Symposium on Psychological vs Mathematical Approaches to Optical Illusion held in the Nakano Campus of Meiji University, Tokyo Japan, on March 4-6, 2015.

Kitaoka, A. (2014). Color Illusions Accompanied by Color Constancy Phenomena. Demoes at the Exhibition, International Symposium on Psychological vs Mathematical Approaches to Optical Illusion (Tokyo Symposium on Optical Illusion 2015), Meiji University, Nakano Campus, Tokyo, Japan, March 5-7, 2015. Demo (PDF)

Akiyoshi Kitaoka got Japanese TV interviews there on March 4 and 5 in this regard.

<March 10, 2015>

以下、facebook 2015年3月2日

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10204192446546137&set=a.2215289656523.118366.1076035621&type=1&theater

本日、ドレス問題につきまして、あるテレビ局の取材に下記のように回答しました。 (図は @budoucha (ぶどう茶)制作)

1. 青黒に見える人、白金に見える人、どちらも見える人がいる。

2. 青黒に見える人は白金に見える人よりも数が多いようだ。Twitter
  上で自発的に調査されたものを友人が拾ったところ、3対1程度で
  あった。他の調査でも同様な結果となっている。 

3. どちらも見える人は反転図形のように切り替えができるわけだが、
  容易に切り替わらないようである。切り替わる時も随意では
  なかったり、かなりの努力を必要とするようだ。

4. 青黒に見える人は時間がたつと青茶に見えて黒に戻らなく
  なることがある。初見のみ青黒に見えたという人も多い。

5. 白金に見える人は時間がたつと白が青く見えてくることがある。

6. 年齢が高いほど青黒に見える割合が多い、というネット上のデータが
  ある。

7. 青黒の人は青と接している茶色を黒とラベルする。茶色単独だと
  茶色と答えることが多いことから、要因として色の関係性も考えられる。

8. 青黒に見える人は、青に見えている時に彩度が上がって知覚されて
  いる。これも色の関係性の要因を示唆する。

9. 一部の視覚科学者は添付ファイルのような色の恒常性の考え方で
  説明できるとインタビューに答えている。添付ファイルをご使用の
  場合は  @budoucha (ぶどう茶) とクレジットして下さい。
  作者はTwitterの住人です。

10. その図で言うと、右側の色変換は乗法的色変換で普通にあるもので、
  問題ないが、左側の色変換は加法的色変換でやや特殊な変換である。
  数学的には可能でも実在という点で物理的にはそのような変換は困難
  である。要するに左側の色変換は不自然であり、そのような知覚は
  理論的には考えられないところであるが、現実には青黒に見える人が
  過半数を超えるのだから、理論の方の再検討が必要となった。

11. いわゆる色覚異常とは関係がないと考えられる。

12. 必ずしも色の錯視の範疇ではない。

以上です。


@budoucha (ぶどう茶) (Twitter)

<March 19, 2015>

産経新聞 平成27年(2015年)3月7日土曜日夕刊 p.8 社会面

<March 21, 2015>

Gilchrist, A. (2015). Perception and the social psychology of ‘The Dress’. Perception, on line.
http://www.perceptionweb.com/openaccess/p4403ed.pdf

<March 25, 2015>

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 25)

Kitaoka, A. (2015). Color Illusions Accompanied by Color Constancy Phenomena. Demoes at the Exhibition, International Symposium on Psychological vs Mathematical Approaches to Optical Illusion (Tokyo Symposium on Optical Illusion 2015), Meiji University, Nakano Campus, Tokyo, Japan, March 5-7, 2015. (part of the poster)

「インテルミラノ錯視」

ドレス問題のドレスが青黒に見える人の一部は、左の画像はインテルミラノのユニフォームのように見える(らしい)。さらに、右のベタ塗りの「こげ茶」の領域も「黒」とラベルできる人が少なくない。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2015 (March 23)

下図がくすんだように見えるらしい。



黒とは何か?



ポンゾ錯視の異方性


一番左が標準的な図形


「でっカー 富士3」

青いクルマの画角は同じであるが、左のが大きく、右のが小さく見える。もちろん真ん中がオリジナル。

Copyright Aliyoshi Kitaoka 2012 (December 4)



「蛇の回転」の錯視の強さ



「蛇の回転」

円盤が回転して見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2003, 2014 (February 20)


黒→濃い灰色→白→薄い灰色→黒 の方向に動いて見える。

Direction: black → dark-gray → white → light-gray → black



"Rotating snakes: a gray scale version"

Each disk appears to rotate 'spontaneously' in the constant direction, from black to dark gray, white, light gray, back to black.

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2013 (May 27)


「蛇の回転」の作り方


Kitaoka, A. (forthcoming). The Fraser-Wilcox illusion and its extension. A. Shapiro and D. Todorović (Eds.), Oxford Compendium of Visual Illusions, Oxford University Press.



視線方向知覚の左バイアス


「モナリザ視線異方性効果」

左のオリジナルのモナリザは観察者か観察者の少し右方を見ているように見えるが、右の左右反転のモナリザは観察者のかなり左方を見ているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (August 3)

立命館大学の都賀美有紀さんによると、左のモナリザの顔は観察者の前額平行面に近く見えるが、右のモナリザは彼女の左側が右側よりも奥に傾いたように見える。

2012年8月6日~8日 (一般発表) 北岡明佳 (2012) 「視線方向の知覚における左右の異方性」 日本視覚学会2012年夏季大会・山形大学工学部(米沢市)
顔は概ね左右対称なので、視線方向の知覚もおおむね左右対称であると考えるところであろう。しかしながら、左右の異方性があると 考えられる顔画像が見つかったので、実験データとともに報告・考察する。その顔画像は筆者が描いた人物イラストであり、その人物は筆者を見ているように描 いたつもりであった。ところがこの画像を左右反転すると、視線方向は正面ではなく、向かって左を見ているように筆者には見える。そこで、大学生146名に 8種類の画像(オリジナル、左右反転させたもの、目のみ左右反転させたもの、目以外を左右反転させたもの、およびそれぞれの倒立画像)を見せ、画像の人物 の視線の方向を評定させた。その結果、視線方向の知覚において、左右の異方性が見られた。この異方性は正立画像に見られ、倒立画像には見られなかった。キ メラ顔の研究知見との関係などを考察する。

Kitaoka, A. (2014). Left bias of gaze perception in a cartoon face. Psihologija, 47(3), 315-318. PDF (open Access) --- Color images new!


人物の視線が観察者に向かっているつもりで北岡が描いたイラスト
『オリジナル画像』

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2011 (April 2)

授業内調査によれば北岡の見えと同じ観察者は 25% (37/146)。最多の見えは、「ほぼ観察者を見ているように見えるが、わずかに右を見ているようにも見える」で 38%、次いで多かった見えは、「わずかに右を見ているように見える」で 32%。


元画像を左右反転させたら、(北岡には)人物の視線が向かって左向きに見えた。
『完全左右反転画像』

授業内調査によれば北岡の見えと同じ観察者は 21% (31/146)。最多の見えは、「わずかに左を見ているように見える」で 53%。


元画像の目(と眉)だけ左右反転させたら、(北岡には)人物の視線が向かって左向きに見えた。
『目のみ左右反転画像』

授業内調査によれば北岡の見えと同じ観察者は 0% (0/146)。最多の見えは、「観察者を見ているように見える」で 71%。


元画像の目以外を左右反転させたら、(北岡には)人物の視線が正面向きに見えた。
『目以外左右反転画像』

授業内調査によれば北岡の見えと同じ観察者は 38% (56/146)。この見えが最多で、次いで多かった見えは、「ほぼ観察者を見ているように見えるが、わずかに左を見ているようにも見える」で 36%。



The eight stimuli


n = 146


結果と考察1: 平均的に正面に見える顔は Image 2 (下図) であった。


Image 2


Image 2 では、視線の方向に有意な左右差はなかった(χ2 = 1.52, df = 1, n.s.)。一方、Image 2 の左右反転画像(Image 3)では、視線は有意に左に見える割合が多かった(χ2 = 78.40, df = 1, p < .01)。その傾向を Image 2 の右に見えた割合と比較したところ、その優位方向(Image 3の左方向)への偏りは有意に多かった(χ2 = 48.13, df = 1, p < .01)。


Image 3


  
Image 2             Image 3

個人差: 「左バイアス」(鏡映像で右向きの視線方向知覚より左向きの視線方向知覚の方が強いこと)を示した割合は 53%、バイアスなしは 37%、逆に「右バイアス」を示した割合は 5% であった(残り 5% は鏡映像同士で同じ視線方向を知覚した)。左バイアスは右バイアスよりも有意に割合が多かった(χ2(1) = 59.31, p < .01)。

画像の左右反転による視線方向の非対称性(左バイアス)が現れる場合が確認された。 


結果と考察2: 元画像(Image 1)では視線方向を右と答えた割合が多かった。一方、その完全な左右反転画像である Image 4 では視線方向を左と答えた割合が多かった。その偏りを比較したところ、Image 4 で左方向に見える偏りの方が有意に大きかった(χ2 = 27.79, df = 1, p < .01)。

  
Image 1             Image 4

個人差: 「左バイアス」(鏡映像で右向きの視線方向知覚より左向きの視線方向知覚の方が強いこと)を示した割合は 54%、バイアスなしは 40%、逆に「右バイアス」を示した割合は 4% であった(残り 1% は鏡映像同士で同じ視線方向を知覚した)。左バイアスは右バイアスよりも有意に割合が多かった(χ2(1) = 62.69, p < .01)。

画像の左右反転による視線方向の非対称性(左バイアス)が現れる場合がここでも確認された。 


Image 1 は 平均的視線方向が正面である Image 2 とは目が異なるだけであるから、Image 1の視線方向の右方への偏りは目の形状に原因があると考えられる(Image 3 と Image 4 の関係も同じ)。この要因を、「目の要因」と呼ぶことにする。

Image 1の右目は向かって左の白目部分が多いので、これが視線方向を右方に偏らせる要因となっている可能性がある。そうであるならば、北岡自身の知見とは異なって、平均的には視線方向知覚は右目重視ということになる。あるいは逆に、Image 2 の左目は向かって右の白目部分が多いので、これが視線方向を左方に偏らせる要因となっている可能性がある(北岡の知見と同じ)。この仮説の場合は、Image 2 では目以外の要因は視線方向を右方に偏らせる要因となっていて、目の要因とキャンセルしあっていると仮定する必要がある。結論としては、後者が支持される(Image 2 から目以外を反転させると Image 4 となるが、前者は視線は正面なのに後者は左方に偏るため)。

「目の要因」においては、左目の情報が重視されている可能性がある。

この図は左右対称であるが、北岡には左の目は左方を、右の目はやや右方を見ているように見えるため、(北岡には)知覚は左右対称ではない。


一方、Image 1は Image 3 とは目以外のパーツ(輪郭を含む)が左右反転の関係にある(Image 2 と Image 4 の比較も同様)。平均すると Image 1は右方、Image 3 は左方に視線が向いているように見えた*。この要因を、「顔の要因」と呼ぶことにする(目も顔の一部ではあるが)。Image 1 と Image 2 の関係と比較すると、「顔の要因」は「目の要因」よりも効果が大きいことがわかる。

*Image 1で右方に見える偏りは Image 3 で左方に見える偏りよりも有意に多かった(χ2 = 6.13, df = 1, p < .05)。

本研究における「顔の要因」は「目の要因」よりも視線方向知覚に及ぼす効果が大きいことがわかった。



得点化して分析しても結果は同じ


結果と考察3: 倒立顔でも「顔の要因」と「目の要因」は観察された。一方、画像の左右反転による視線方向の非対称性は平均したところでは認められなかった。


その他、倒立顔の方が正立顔よりも観察者の方を向いて見える割合が多かった(χ2 = 21.49, df = 1, p < .01)。

倒立顔でも、「目の要因」においては、左目の情報が重視されている可能性がある。

「視線方向知覚の非対称性」に顔倒立効果あり。

  
Image 5             Image 8

個人差: 「左バイアス」(鏡映像で右向きの視線方向知覚より左向きの視線方向知覚の方が強いこと)を示した割合は 35%、バイアスなしは 43%、逆に「右バイアス」を示した割合は 21% であった(残り 1% は鏡映像同士で同じ視線方向を知覚した)。左バイアスは右バイアスよりも有意に割合が多かった(χ2(1) = 4.88, p < .05)。

画像の左右反転による視線方向の非対称性(左バイアス)が現れる場合がここでも確認された。 



  
Image 6             Image 7

個人差: 「左バイアス」(鏡映像で右向きの視線方向知覚より左向きの視線方向知覚の方が強いこと)を示した割合は 27%、バイアスなしは 50%、逆に「右バイアス」を示した割合は 21% であった(残り 1% は鏡映像同士で同じ視線方向を知覚した)。左バイアスは右バイアスよりも有意に割合が多いとは言えなかった(χ2(1) = 1.14, n.s.)。

画像の左右反転による視線方向の非対称性(左バイアス)が現れる場合がここでも確認された。 



「ガンつけにいさんとガンつけないにいさん」

左のフリョー(死語か? 今は何と言うんだ?)はガンつけているように見えるが、左右反転した右のフリョーはそうでもなく、観察者の左の方を見ているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2012 (August 4)



最近北岡の facebook で意外な人気の作品

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10204337694937256&set=a.2215289656523.118366.1076035621&type=1&theater

「綱」

2つの綱は同心円なのだが、どちらもいびつな円に見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2007 (August 29)

藍藻風の錯視

Popple illusion (phase-shift illusion):

Popple, A. V. and Levi, D. M. (2000) A new illusion demonstrates long-range processing. Vision Research, 40, 2545-2549.
Popple, A. V. and Sagi, D. (2000) A Fraser illusion without local cues? Vision Research, 40, 873-878.


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