錯視作品「目の色の恒常性」  36個あるそれぞれの絵の中では、人物の左右の目は物理的には同じ色で彩色 されているが、異なる色に見える絵がある。たとえば、一番上の列の右から3番目の 絵では、右目は水色に見えるが、物理的には左目と同じ灰色で描かれている。 照明に色がついていて、そのため対象が実際とは異なる色に色づいていも、 人間の目は対象の「本当の色」をある程度知覚することができるが、この機能を 「色の恒常性」(color constancy)という。本作品では、右目の色が左の側頭部に あるビーズと同じ色に見えれば、色の恒常性が成立したとみなせる。ただし、 この現象は「色の対比」に過ぎないという批判も可能である。もっとも、これまで 色の対比でこれだけの錯視量を示すデモンストレーションはなかったので、 この現象が色の対比だとしても色覚のサイエンスに貢献する新しい手がかりを 含んでいる。