視覚学会2007冬季大会
(東京工業大学、2007年1月31日〜2月2日、2月1日発表)

何もしなくても動いて見える錯視:バージョン

北岡明佳(立命館大学)

since 2007年1月28日


(reproduced on October 17, 2012 because I found that the original image had been changed to another image)

「海流」

上から3本ずつ水平線は左・右・左・右に動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「ひだの付いた金網の回転」

ひだの付いた金網が垂直軸を軸に回転しているように見える。上から1、3、5、7、9番の水平線が手前に見える時は、金網は観察者に対して右側方向に面しているように見え、次第に観察者に向かって面を回転してくるように見える。逆に、上から2、4、6、8番の水平線が手前に見える時は、金網は観察者に対して左側方向に面しているように見え、次第に観察者に向かって面を回転してくるように見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 22)

この錯視デザインの構成
(1)謎の(新型の?)動く錯視
(2)遠近反転図形
(3)運動方向反転図形

cf. シルエット錯視(Kayahara, 2003)


「線画が動いて見える錯視」

上の水平線は右に、下の水平線は左にゆっくり動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「ミュラー・リヤー錯視の増量」

左右の矢羽の先端間の距離は上下で同じであるが、下(外向図形)が上(内向図形)よりも長く見える(ミュラー・リヤー錯視)。この図には動く錯視があって、上の矢羽の先端の間隔は短くなる方向に、下の矢羽の先端の間隔は長くなる方向に動いているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 22)


「ブレンターノ型ミュラー・リヤー錯視の増量」

左右の矢羽の先端間の距離は同じであるが、左側が右側よりも長く見える(ミュラー・リヤー錯視・ブレンターノ型あるいはミュラー・リヤー錯視・接次図形)。この図には動く錯視があって、真ん中の矢羽が右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 24)


「回旋」

それぞれの円で矢羽の先端は垂直線上にあるのであるが、左の円では右に傾いて見え、右の円では左に傾いて見える(ミュラー・リヤー錯視)。さらに、動く錯視があって、この効果を促進する方向に作用している。カーソルを図の上に持っていくと、矢羽の先端が実際に垂直線上にあることが確認できる(確認できずに、逆方向に傾いて見える錯視を見ることもある)。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 27)


「続・回旋」

左のリングは反時計回りに、右のリングは時計回りに回転して見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「竜の回転」

リングが回転して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 22)


「雪の妖精」

ディスクが拡大して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (June 22)


「ガンガゼ」

ウニが拡大して見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (July 4)

いまいち痛くなさそうなガンガゼだなあ・・・


「ポッゲンドルフ錯視の増量」

左下と右上の斜線は一直線上にあるが、右上の斜線は相対的に右の方にずれて見える(ポッゲンドルフ錯視)。この図には動く錯視があって、右上の斜線は右に、左下の斜線は左に動いているように見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (June 22)

この図はほとんどポッゲンドルフ錯視基本図形だから、もともとポッゲンドルフ錯視には動く錯視があって、ズレて見えるのは動く錯視によるrepresentational momentum のような説はどうだ!(査読論文に通すのは大変そうなので、無審査ホームページで垂れ流したりして・・・)


「動くはしご」

上と下の水平線が右に傾いて見える(ツェルナー錯視)。この図には動く錯視があって、右上の斜線は右に、左下の斜線は左に動いているように見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「動くツェルナー錯視」

水平線は2本ずつ、上から右・左・右・左・右に傾いて見える(ツェルナー錯視)。水平線にはさらに動く錯視があって、上から左・右・右・左・左・右・右・左・左・右に動いているように見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「逆進」

矢印の方向と反対方向に矢印が動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (September 7)


「逆進」
(反転版)

矢印の方向と反対方向に矢印が動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (September 7)


「線画が動いて見える錯視」
(反転版)

上の水平線は右に、下の水平線は左にゆっくり動いて見える。(かなり弱い)

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


ところが、


「ミサイル」

上の列は右に動いて見え、下の列は左に動いて見える。

Copyright Akiyoshi .Kitaoka 2006 (July 5)


「逆・線画が動いて見える錯視」

上の水平線は左に、下の水平線は右に動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「逆・線画が動いて見える錯視」

上の水平線は左に、下の水平線は右に動いて見える。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「独鈷杵」

上と下の独鈷杵は左に、中の独鈷杵は右に動いて見える。

Copyright Akiyoshi Kitaoka 2006 (August 16)


「線画があまり動いて見えない図」

決まった方向に動いて見えない。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「線画があまり動いて見えない図・その2」

決まった方向に動いて見えない。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


「線画があまり動いて見えない図・その3」

決まった方向に動いて見えない。

Copyright A.Kitaoka 2007 (Januzry 28)


何もしなくても動いて見える錯視の分類
北岡2007年版

1. 最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視

(コントラストの高いところから低いところに動いて見える。周辺視でよく起こる)
タイプ I   フレーザー・ウィルコックス錯視タイプ
タイプ IIa  「蛇の回転」タイプ
タイプ IIb
タイプ III   中心視でも見えるタイプ  

2. 中心ドリフト錯視

(コントラストの低いところから高いところに動いて見える。中心視でも見える)
タイプ I   暗から明方向に動いて見えるタイプ
タイプ II  明から暗方向に動いて見えるタイプ

3. 線画の動く錯視 new! 

(線画で起こる。中心視でも見える)
タイプ I   矢印とは反対方向に動いて見えるタイプ
タイプ II  矢印とは同じ方向に動いて見えるタイプ

ご清聴ありがとうございました。


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