心理学論への窓(整備中)

心理学論とは何でしょう。心理学について考える学問です。学問という営為について考えるという意味では科学社会学や科学論に近いと思われます。しかし、非常に簡単な比喩で言ってしまうと「鏡」です。自分がやっていること(たとえば化粧やネクタイ結び)について、鏡を見なくてもできますが、鏡を見た方が失敗は少ないしうまくいくことが多いです。それと同じで、学問をする場合にも、自分の行為がどうなっているのか、外からどのように見えるのか、ということを考えるのが心理学論の1つの目的です。鏡を使えば自分では直接見えないアタマの後ろも見ることができる。たとえば、知能検査について、それをいかにより良いものにするか、というのが心理学研究の目的ですが、知能検査をするということはどのような意味をもつのか、されるということはどういうことなのか、を考えるのが心理学論ということになります。また、「心理学の研究をする」ということの歴史的文脈、暗黙に存在する制約、などについても考えることで、より自由に意味のある研究を行えるようにしたい、というのも心理学論の目的です。

現在は主として歴史的研究を行うことで、心理学の在り方を反省的に捉えていますが、そのものズバリ『心理学論の誕生』という本も出しました。

性格概念や知能概念の歴史と意味=『知能指数』講談社現代新書

日本における心理学の受容と展開=『通史 日本の心理学』北大路書房

心理学論(へ)の挑戦=『心理学論の誕生』北大路書房((ポップとアカデミック、レフリー制度、モード論)

          心理学論・その後の執筆=(臨床心理学とポップ心理学、21世紀の教育心理学)


サトウタツヤ研究室